ゼノタのブログ

あまりメジャーな設定ではありませんが、古い設定では
MSも馬力表記されておりまして、ガンダムなら6万5千馬力とか、
そういう設定があります。

6万5千馬力（とりあえず英馬力ということにしときます）というと、48,490kWに相当し、
もうジェネレーター出力と数値的に乖離があるんですが、まぁスラスター吹かしながら
踏ん張ればそのくらいのパワーは出るので、良しとしましょう＜ぇ

前置きはこのくらいにしておいて、現在の主流のスペックではMSの出力はジェネレーター出力
で表現される場合が殆どなので、馬力表記はほぼ黒歴史化されているのですが、
スラスター推力もジェネレーター出力も設定されていないコア･ファイターについては、
未だにこの設定が生き残ってしまっており、パーフェクトグレード・ガンダムの
インストラクション・マニュアルにも、はっきりとコア・ファイターの出力が
12,000HP（ホースパワー：英馬力のこと）と書かれていたりします。

細かな突っ込みをすれば、日本ではフランス発祥の仏馬力（単位：PS）を使うのが
一般的だろうが！とか、そもそも宇宙世紀は世界各国の統一政府＝地球連邦が発足した
世界観なんだから、SI単位（Le Syst?me International d'Unit?sの略。国際単位系
を意味するフランス語です）を使うべきで、kW表記が正解やろが！！
とか‥色々突っ込みどころはあるのですが、

根本的な問題として、前回も書いたように、ジェットエンジンの出力は推力表記するのが
正解であって、馬力（必然的に推力馬力ということになります）表記するのはおかしい、
ということがあります。
ぶっちゃけ話をしてしまえば、この設定をつくった人は第二次世界大戦あたりの戦闘機が
好きで、故に馬力と推力表記の“なぜ”を知らずにゼロ戦の10倍くらいの数値があれば
すげーだろうくらいのつもりでいたに違いありませんが、大真面目に逆算すると、
とんでもないことになります。


推力馬力の式は、　THP＝Fn×Va／75
で求められますから、THP＝12000、あとはコアファイターの最高速度が分かれば
必然的にFn（推力）の算出が可能です。
コア・ファイターの速度設定としては、マッハ3.6と4.8が有名です。
この数値から逆算すると、音速を340m/sとして、

＜マッハ3.6説を採用すると＞
Fn＝12000／3.6／340×75≒735kg

＜マッハ4.8説を採用すると＞
Fn＝12000／4.8／340×75≒551kg

実に推力0.5tでマッハ4.8の速度が出せるということに。コア・ファイターの全備重量は
8.9tとすると、推力比は0.056。当然こんなことはあり得ません。

推力馬力というのは、推力と速度があって算出される相当値であって、逆算できるもの
ではないのです。

この12,000馬力を肯定するには‥実は前回は書いた、ガンダムの推力馬力は計算上
12万5千馬力（ガンダムの飛行速度をマッハ0.5とした場合）となり、実にドンピシャ。

コアファイターの馬力とは、ガンダムの推力馬力を誤植してしまった値なんだよ！
なんだってー？！

などとお茶を濁してみる。

桁が一個違ってますね。ガンダムすら12万推力馬力でした。失礼しました。
折角なので、コア・ファイターがマッハ4.8で飛行できるとすると適切な推力馬力は‥
F-15の倍の速度が出せるということで、少なく見積もっても推力比は倍くらいだろう
といいかげんに計算すると、

THP＝40000×4.8×340/75≒87万馬力“相当”。推力が適当すぎるので、
まぁ大きく取って100万馬力±50万馬力といったところですかね。

ちなみに言えば、宇宙空間では推力馬力というのはもはや成立しなくなりますね。
なぜなら、宇宙に上がった時点で7.9km/sという超スピードで飛んでますから、
計算すると推力馬力はえらいことになります。馬鹿馬鹿しいですが、一応最低速度
（第一宇宙速度）でガンダムの推力馬力を計算すると、

THP＝55500×7.9×1000/75≒584万馬力“相当”≒438,450kW“相当”

空気抵抗がないので、エンジンが仕事をしなくても、ガンダムがホワイトベースから
発進した時点でこの値になります。
繰り返しますがエンジンを吹かさなくても“最初から”この数値です（苦笑）

無重力（または無重量）空間では推力馬力というのは意味を成さない値なのです。

本来、仕事率というのは時間あたりの仕事を指す値です。では仕事はと言えば
力とその力が加わって移動した距離の積です。抗力がある場合は、あるところまで行けば
力と抗力が均衡しますから、仕事という概念が成立しますが、宇宙空間では力を加えた
だけ増速してしまうので、逆説的に静止飛行＝力が掛かっていない状態となり、
つまり推力馬力という概念は使えなくなります。


ということで今回はコアファイターと馬力の話でした。次回は未定。