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ザ・スーパー・ポップ宣言

私の好きなディープソウル

私の好きなディープソウル
MY FAVORITE DEEP SOUL

ディープソウル 200選

私の好きなディープソウル

私の好きなディープソウル2

SOUL FROM THE VAULT・RARE DEEP DYNAMITE

スウィート・ソウル・ベスト10 集計一覧

甘茶ソウル百科事典の世界(1) (2) (3) (4) (5) (6)

私の好きな甘茶ソウル(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

マニアック甘茶ソウル@YOU TUBE

U.S.BDG 究極のLPコレクション - グループ編(1) (2) (3)

フリーソウルコンピ未収録推薦曲(1) (2) (3) (4)

RARE GROOVE@YOU TUBE(1) (2) (3) (4) (5)

モダンソウル・コンピの世界(1) (2) (3)




【 ディープ偏差値 75

THOMAS BAILEY / WISH I WAS BACK (FEDERAL 12567)'71



ディープソウル 200選のページでも言及済みですが、この曲が私が好きな、そして私がNO.1だと思うディープソウル。「WILSON PICKETT / BACK IN YOUR ARMS '69」のカバー曲です。ディープソウルのコンピCD「KING'S SERIOUS SOUL : TOO MUCH PAIN」収録。「Sir Shambling」さんのページにコンピのライナーに書いてあるのと同様の解説が書かれています。

南部臭漂うギター・サウンドをバックに黒光りする野太い声での粋な語りから入ります。そして歌に入ると声質が骨太ながらもカラリとした陽性な、随分と魅力的なものであることに気づかされます。加えて明朗快活、溌剌と歌いこんでいく様子に好感が持てますね。更に一節一節を噛み締めるように力を込めて豪快に歌いきっていくところが素晴らしい。この過剰なまでに黒さを前面に押し出す姿勢こそが70年代ソウルの醍醐味と言えるでしょう。途中に入る語り部分も我を忘れたかのような熱の入り様で痺れますねー。曲が進むにつれドンドン鬼気迫った歌いっぷりになっていき、終盤ではしゃくり上げ唱法やシャウトを交えて大盛り上がり。声質・唱法・メロディ・南部臭とどれも申し分ないディープソウルの王様曲です。

「YOU TUBE」で聴けます。

【 ディープ偏差値 74

SAM COOKE / BRING IT ON HOME TO ME (LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB 1963バージョン)



ソウルの創始者と言っても過言ではないサムクックが1963年に行ったライブ録音がその22年後の1985年になって「LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB 1963」として発売されました。当時白人相手の大人しいパフォーマンスを余儀なくされた不遇の時代をも過ごしたサムですが、このハーレム・スクエア・クラブで、恐らくは黒人を中心とした観衆を相手に黒人らしさ、ソウルを強く押し出した、まるで水を得た魚のように活き活き、伸び伸びとした素晴らしいパフォーマンスをみせてくれます。発売当時山下達郎がサウンドストリートで「あまりの素晴らしい出来」故にアルバム全曲オンエアしたという快挙も。

この「BRING IT ON HOME TO ME」のライブバージョンは、そのアルバムの中でも一番盛り上がる曲の一つ。オリジナルはピアノをバックにしっとりと歌われるバラードという感じだけれども、この日のライブではアップテンポに大変貌。実にソウルフルに激しく、ディープに歌いこみます。笑い声を入れたり、シャウトしたり、コール&レスポンスを入れたりと自由度の高い即興的パフォーマンスはライブの楽しさが伝わる素晴らしい内容。この曲の真の姿ここにあり!って感じですね。このアルバムは個人的に全音楽ジャンルのライブ・パフォーマンスの中でもベスト中のベスト。黒人音楽・ソウル好きを自称する人でこのアルバムを聴いたことが無いという人はいないよね?

「YOU TUBE」で聴けます。この頃のサムのライブ映像が是非とも見てみたいものです。

OVATIONS / YOU KEEP ME HANGING ON (CHESS 2176)'75

OVATIONS SWEET THING 2.JPG

日本編集盤の「SWEET THING LP(VIVID VS-1025)'81」にも「JUST ENOUGH TO KEEP ME HANGIN' ON」と曲名を変えて収録。このLPは甘茶ソウル百科事典MOONY'S SELLECT 075で取り上げられているし、U.S.BDG #104でも少し触れられている。然しながらこの傑作甘茶曲についてはどちらも一切コメントなし(ていうか無視?)です。更にこの曲が無性に好きという甘茶ファンにも出会った記憶がない。なんでやねん?個人的にこの曲は、「WALK AWAY FROM LOVE」、「SOMETIMES WHEN WE TOUCH」と並んでカバーバージョンの多い世界三大黄金旋律曲の一つだと思っているのですが、こんな状況では無条件に「みんな大好き!YOU KEEP ME HANGING ON」と断言出来ないではないですか。この曲が三度の飯より好きという方、いらっしゃいませんか?

本来が深い情感と甘い黄金旋律を持った曲ですが、オヴェイションズのリード、ルイ・ウィリアムスのねっちょりとした熱のこもった歌いこみはこの曲と抜群の相性を示し、本来の持ち味を100%以上に引き出す相乗効果を生み出しています。曲良し、歌良しで甘ーく心の奥深くに染み渡ります。2分55秒と短いのが切ないですね。

このオヴェイションズの傑作カバーのオリジナルは、1964年のRay Sanders & Irene Bell。作詞作曲はBuddy Mize/Ira Allen。「It's true you have me twisted round your finger」と歌いだす曲です。ソウルファンにはJoe Simon 版が御馴染みですね。(VANILLA FUDGE版やSUPREMES版とは違いますのでお間違いなく。)この曲には多くのカバー曲が存在しますが、その中でも素晴らしい出来なのが、レゲエ/ラヴァーズロックもので、「JUNIOR SOUL / YOU KEEP ME HANGING ON 12"(ROHIT 531)'87?」。OVATIONS版に負けず劣らずの素晴らしい内容で近々レビュー予定です。他にもある20曲ほどのカバーを「甘茶ソウル百科事典の世界(3)」のページで一覧にしてありますので、ご参照下さい。

【 ディープ偏差値 73

SISTERS LOVE / ARE YOU LONELY ? (A&M 8581)'71



シスターズ・ラブの1971年のシングル曲。当時結構ヒットしたみたいですね。プロデュースはGENE CHANDLERでアレンジはTOM TOM。甘茶ソウル百科事典 TERRY'S SELLECT 009で、かなりディープな歌声なのに何故かテリー氏はセレクト。コーラスや全体の曲調は明るく軽やかでポップとさえ言えますね。メロディは甘いと言えば甘いけど、甘い辛い云々というよりも何より素晴らしく良く出来たメロディです。そして更に特筆すべきなのはリードの女性のド・ディープな歌声。情感たっぷりに歌い上げ、起伏は激しく、感情表現も豊か。特に盛り上がり部分の絶唱ぶりは鳥肌ものでグレイト!彼女達はクラブシーンでも「GIVE ME YOUR LOVE」 (FREE SOUL PARADE収録)が人気のようですが、この「ARE YOU LONELY ?」の方が音楽史的には圧倒的に重要だと思います。なお、元はRaelettesというグループが母体となってできたグループの模様。出来は良く無いけれど「YOU TUBE」には1995年のライブ映像が上げられています。

「YOU TUBE」で聴けます。

CLIFF NOBLES / THIS FEELING OF LONELINESS (ROULETTE 7142)'73

cliff nobels

「THE HORSE (PHIL. L.A. OF SOUL 313)'68」の景気のいいアップテンポ・ダンサーで有名なディープ系シンガーのクリフ・ノーブルズ。そのイメージからは相当かけ離れた実に甘いバラード名曲をシングル・オンリーで残しています。控えめで上品なトラックに超極甘と言っていい、なだらかで優雅な旋律。それをしゃがれぎみの歌声で終始泣きを入れて情感たっぷりに歌いこみます。シンガーとしてどうこう言われる人ではないけど結果的に曲調ともうまくマッチし、ソウル史上に燦然と輝く至極の名曲を残せたということでしょうね。日本人の琴線を撫でまくる内容で、ディープ/甘茶にかかわらずソウルファンなら誰でも好きになることでしょう。U.S.BDG #76では高沢仁氏に「シングル盤中のシングル盤」と言わしめたものの、甘茶ソウル百科事典、楽ソウルでの言及が無いのは残念。

TROY / AND TOMORROW MEANS ANOTHER DAY WE'RE APART (COLUMBIA 4-45748)'72

troy.JPG

この曲は多くのソウルファンにはどう位置づけられているのだろう?甘茶ソウル?ディープソウル?ヴォーカルだけ聴けば絶唱タイプでスウィートというよりはディープ風。ただし制作はフィリー、アレンジはBOBBY MARTINなので、サウンドは甘茶ソウル仕立て。然しながらこれだけの名曲にもかかわらず甘茶ソウル百科事典には未掲載。コンピで言うと「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.1 SILVER BLUE COLLECTIONS」に収録。スウィートとタイトルでは言ってても一応シルバーブルー・コレクションの一環なのでディープソウルだよという言い訳も通用するか。「MASKMAN PRESENTS THE CITY OF BROTHERLY LOVE 2」のマスクマン氏のライナーでは、「フィリーのバラード」、「デルズのマーヴィン・ジュニア」なんて表現されている。「THE LOST SOUL GEMS」で鈴木啓志氏は「スウィートなバラード」と。(ここではTROYの正体は66年にMUSICORからシングルを二枚出しているJEFF B.TROYだと推測されている。因みにそれを受けて収録された「THE SPIRIT OF PHILADELPHIA 3」では、単に正体不明と書かれているだけ。)

以上を踏まえて考えると、絶唱タイプの甘茶ソウルとカテゴライズするのが妥当な気がするけど、個人的編集盤ではディープ篇に収録しています。是非他の人の意見も聞いてみたいですが、ディープソウルなんて言ったら笑われちゃうかな?曲は素晴らしく良く出来たメロディで徐々に盛り上がっていく感動的なナンバー。途中転調する箇所もバッチリ決まってて痺れます。女性コーラスにストリングス、グロッケンの入ったサウンドは大甘ですがヴォーカルは超絶唱・熱唱タイプでかなり圧巻的。単なる恋愛系の歌詞のようだけど、壮大・荘厳なテーマを持ったファンタジーの主題歌にでも似合いそうなぐらいの奥深さを感じさせます。ズバリ絶唱系甘茶ソウルの最高傑作と言えるでしょう。

「YOU TUBE」で聴けます。

【正体判明】あのTROYはBENNY MARDONESだった!【誰得】



絶唱系甘茶ソウルの傑作として知られる「AND TOMORROW MEANS ANOTHER DAY WE'RE APART (COLUMBIA 4-45748)'72」の歌手TROYは正体不明の人物ということで長らくソウルファンの謎だった訳ですが、この度彼の正体が判明しました。TROYは1980年に「Into the Night」というヒットを出したBenny Mardonesという白人歌手で、事情により変名で活動していたようです。いわゆるブルーアイドソウルだったってことになりますね。

こちらの記事のコメント欄もご参照下さい。

BENNY MARDONES / Into the Night

TROY...A.K.A. BENNY MARDONES

Benny Mardones Biography


【 ディープ偏差値 72

TIMI YURO / WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY (Frequency 101)



白人女性歌手ティミ・ユーロがSam & Daveのヒット曲をカバーしたもの。72年に録音されて79年に発売されたらしい。結構人気のある曲で、オーティス・レディングやアーロン・ネビルやホール&オーツなんかもカバーしている。オリジナルは物静かで悲しげなバラードで、上記のカバー群も全て忠実なカバーなのだけれど、このティミ版はアップテンポに焼き直している。曲調も明るく、元気に、一言で言うとポップに変貌。ティミも力強く縦横無尽に歌いまくり完全に自分のものにしてますね。元々オリジナルのメロディの出来は良かったんだけれど、個人的に暗めの内容は全く食指が動かなかった。それをアップテンポに躍動感溢れるカバーに仕上げたことで、オリジナルの良さを120%引き出せた感じ。ある意味全く別曲へとと大改造した訳だけど、これぞカバー曲の醍醐味といった感じですね。個人的には「カバー中のカバー」としてかなりの高評価をしています。2分弱で終わってしまうのが勿体ないな。

「YOU TUBE」で聴けます。

LEADERS / HOW DO YOU MOVE A MOUNTAIN ? (VOLT 4072)'71



71年STAX傘下のレーベルVOLTからのシングル曲でプロデュースとアレンジを甘茶ではお馴染みのBERT KEYESが担当している。録音はニューヨークなのでサザンソウルと言うには厳しいし唱法は兎も角、曲調的にはディープというよりも絶唱系甘茶ソウルと言った方が良さそう。グループ仕立てだし実際にこのグループは甘茶系の曲「Anyone Can」も残してるみたいしね。

曲はイントロからして劇的だけどサビでは更に劇的に盛り上がる実にダイナミックで大仰なバラード。譜面を見たら将に6000メートル級の山々が連なる大山脈のようになっているんじゃないかな?歌詞も「山を動かす」ということで実にスケールが大きい。そして単に大仰であるだけではなく感動的で心に沁みるメロディに仕上がっているのがイイ。そんな高音域のメロディをしっかり歌いきるリードの力量も素晴らしいけど、しっかりサポートし感動的に盛り上げるBERT KEYESアレンジによるサウンドも素晴らしい。

ちょっと音悪いけど「YOU TUBE」で聴けます。

Eddie "Buster" Forehand (LITTLE BUSTER) / Young Boy Blues (Josie45-993)'68



61年のBen E. Kingの曲をディープ歌手リトル・バスターがカバーしたディープソウル。オリジナルはフィルスペクターによるものでウォール・オブ・サウンドを本格的にやり始める前の作品。有名な彼の作品集「BACK TO MONO」には収められなかった曲なので隠れた名曲とも言えるでしょう。ストリングスなども入った品の良さを感じさせる内容です。

比較して聴いてみるとリトル・バスター版は、よく通るメリハリのあるドス黒い声質が印象的。そして大らかに溌剌と深く、深ーく歌い上げる様が素晴らしい。語りぎみに歌ったり、思いっきりタメたりと水を得た魚のように縦横無尽に暴れまわり完全に曲を我物へと掌握していますね。特に終盤に聴かれるシャウトには心底痺れます。とても初期スペクター作品とは思えない内容へと変換されていて驚かされます。曲良し声質、歌唱良しと三拍子揃ったディープソウルの金字塔と言えるでしょう。

「YOU TUBE」で聴けます。

【 ディープ偏差値 71

JOHNNY TRUITT / YOUR LOVE IS WORTH THE PAIN '68



60年代中後期に何枚かシングルを残したルイジアナの歌手の68年のディープソウル。大仰で感動的なバラード仕立てで起伏に富んだメロディが素晴らしい曲。静かな出だしから徐々に盛り上げていきサビでは大絶唱大会。特に雄たけびのような長ーいシャウトが感動を呼びます。こういう過剰な姿勢こそが聴き手を厚くするソウルの醍醐味でしたね。後半に入るコーラスも盛り上がりに一役買っています。

「YOU TUBE」で聴けます。

FABULOUS 3+1 / BAD GIRL (T&L 1039) '63?



アトランタ辺りのグループが1963年頃にだしたアーリー・ディープ。録音が悪く雑音混じりなのが、かえって土埃を感じさせ味わい深さを生んでいる。ピアノを交えた簡素なサウンドと悲し気なコーラスをバックにヴォーカルが切々と歌います。強弱、押し引き、シャウト、語り風と縦横無尽で自由度の高い唱法が実に魅力的。声質もいいしね。メロディ、唱法、声質、そして全体として感じさせる素朴な味わいが素晴らしい。Lee MosesやHermon Hitsonによる好カバーもあるけど、私はFABULOUS 3+1版の『狙って作りました(笑)』感を全く感じさせないところに好感が持てるんですよね。

「YOU TUBE」で聴けます。

この曲の他のカバーや経緯については楽ソウルさんの記事「Bad Girl 不良少女」が詳しい。

Lee Moses / Bad Girl Part 1 & 2

Hermon Hitson / She’s A Bad Girl

JOHNNIE TAYLOR / LADY, MY WHOLE WORLD IS YOU '84 「THIS IS YOUR NIGHT」



U.S.BDG #350 #745掲載の70年代のサザン/ディープソウルを代表する歌手ジョニーテイラーが80年代になってMALACOから発表したアルバム「THIS IS YOUR NIGHT」収録曲。如何にも南部といった趣の平和でのんびりしたムードに暖かい空気を感じさせる曲。ちょっと感傷的だけど甘く切ないメロディを大御所ジョニーテイラーが自由気ままに歌い上げます。作曲はU.S.BDG #378のPAUL KELLYで心を優しく温めてくれるキャッチーなメロディの出来は実に素晴らしい。トロリとしたギターに品の良いストリングスなどサウンドもいいね。派手さが無い分かなり聴き易い内容で、サザン/ディープソウルの代表的かつ入門編としても最適な曲の一つだと思います。

「YOU TUBE」で聴けます。

DEBBIE TAYLOR / I DON'T WANNA LEAVE YOU (ARISTA 0144)'75

DEBBIE TAYLOR  I DONT WANNA LEAVE YOU.jpg

甘茶ソウル百科事典には未掲載で、U.S.BDG #418の女性シンガーのNOT ON LPのバラード大作。その唱法からディープソウルと言っても差し支えない感じですが、全体に漂う甘い雰囲気は甘茶ソウルのそれ。75年作で「A TOM MOULTON MIX」とあるから、おそらくフィリー録音なんでしょうね。流麗かつ高潔なストリングスに包まれ、咽るように濃厚なフィリー臭に思わず胸がキュンと締め付けられます。別れを惜しむ悲しげな女性の気持ちを表現したメロディも、出だしからサビに到るまで実に情感深く、ダイナミックなラインを描いています。

このメロディなら、どう料理しても駄作になるはずが無いって感じですね。ヴォーカルは太く、唱法も激しくディープですが、とっても美味しく頂けます。イントロが静かだったり、途中甘い語りが入ったりとバランスのとれた構成も見事。甘く切なげな女性コーラス、厚みのあるゴージャスなバック、ドラマチックな曲調と将に70年代ソウルの黄金期の作品といった感じです。「YOU TUBE」で聴けます。

【 ディープ偏差値 70

TOMMY TATE / BIG BLUE DIAMOND '66 (Okeh 4-7253)



1950年のカントリー系ヒット曲のカバーでオリジナルはRed Perkins版。カバーは多いですが、やはり主にカントリー系のカバーが多いです。ソウル系だと1962年のLittle Willie Johnや1967年のLittle Johnny TaylorPercy Sledgeなどもやってます。でもソウル的にはやはりこの1966年のTOMMY TATE版がサウンドも歌もディープソウルしていて良い。元々のメロディの良さもありますが、特にサビを伸び伸びと劇的に歌い上げる仕様が素晴らしいですね。オリジナルの牧歌的雰囲気を薄めほのかな傷みや緊迫感が増している感じ。元々のカントリー系の良さとディープソウルの要素が上手く融合して出来たナイスカバーという感じです。

「YOU TUBE」で聴けます。

ROZETTA JOHNSON / HOLDING THE LOSING HAND (CLINTONE 006)'71



ソウル作曲界の巨匠サムディーズの作曲&アレンジ作品。歌うは主に70年代前半に活躍した女性ディープ歌手のロゼッタ・ジョンソンでアラバマ録音。基本はゆったりとしたディープソウル。良く出来たメロディで和み系といえば和み系だけど全体としてはパンチ不足という感じ。ところがこの曲には最後に最大にして唯一の聴き所があってバックの女性が盛大にタイトルコールで感動的に盛り上げます。それをバックにロゼッタもガンガンとディープに歌いまくる。その相乗効果でディープソウルとして劇的な変貌を遂げた感じ。やったね!惜しいのはその盛り上がりが最後の30秒間のみだけだということ。つまり通常は最後の30秒の聴き所のために3分間はゆったりと和んで待たないといけないんですねえ。そこで私はMDで編集して最後の30秒だけ3回繰り返したバージョンを作成。通常3分30秒の曲を4分30秒のロングバージョンにして楽しんでます。これ簡単に出来てしかも曲のグレードもグッと増すのでお勧めです。

「YOU TUBE」では3分30秒バージョンが聴けます。

OTIS CLAY / YOU HURT ME FOR THE LAST TIME '69(DAKAR 45-610)



オーティス・クレイというと『ド』ディープな歌手ということで一般のソウルファンにはなかなか敷居が高い。然しながらフリーソウル指数の高い『THE ONLY WAY IS UP』はかなり聴きやすいし、この69年のシングル曲もメロディの良さもあって馴染みやすいのではないかな。シカゴのDAKARから出たこの曲はWILLIE HENDERSONのプロデュース。明るく肯定感に満ちた雰囲気の曲でオーティスも明朗・快活に歌い上げます。終始力が入っていてその熱のこもった唱法は圧巻ですが、特にサビで『YOU HURT ME ~』と気合を込める瞬間が聴き所。『THE ONLY WAY IS UP』もそうだけどメロディの出来が良いとディープ歌手も更に輝きが増しますね。

「YOU TUBE」で聴けます。


HERMAN HITSON(HERMON HITSON) / YOU ARE TOO MUCH FOR THE HUMAN HEART (ATCO 45-6566)'68



フィラデルフィア出身のディープ歌手、ハーモン・ヒットソンのディープソウル。シングルではHERMANという表記ですが、CDではHERMONとなっていて、どうやらHERMONが正規表記みたいですね。曲はとろりんとしたギターやオルガンの味わい深い響きなどで南部臭漂うディープバラード。作曲は「BAD GIRL」でお馴染みのLEE MOSESで「BAD GIRL」と同レベルの素晴らしい出来のメロディ。温かく甘い内容で深く心に響きます。どこか寂し気な女性コーラスもいい。そしてメロディの出来と同じぐらい歌も良い。溌剌としたよく通るHERMONの声質も素晴らしいし、シャウトなどを交え情感深く自在に歌い上げる唱法も実に魅力的。作家のLEE MOSES自身もやっているんだけど、聴き比べてみると如何にHERMONの歌が突出しているか分かるでしょう。

「YOU TUBE」で聴けます。それと恐らく本人による最近のライブ演奏も見れます。

C.L.BLAST / 50/50 LOVE (FIFTY-FIFTY LOVE) (PARK PLACE 104-7)'84



60年代初頭から活躍していたアラバマ出身のディープソウル歌手、CLブラストが晩年になって出したヒット曲。CLというのは本名のClarence Lewis Jr.からとったみたいですね。84年のマッスル・ショールズ録音のサードアルバムに収録されていて、この曲はFREDRICK KNIGHTが作曲/プロデュースをしています。流石の作曲能力という感じですが、ギャンブル&ハフによる「Teddy Pendergrass / Turn Off The Lights」に激似(笑)。でも、そちらが甘茶ソウルど真ん中であるのに、こちらがディープに感じられるのですから不思議です。まあ、それだけCLブラストの唱法、声質がディープど真ん中だということでしょうね。大掛かりな曲の作りにメロディの良さ、それに負けない彼の迫力のある歌い込みが魅力的です。時折ファルセットや笑い声を散りばめたりと縦横無尽に歌いこなすセンスと力量も素晴らしい。

「YOU TUBE」で聴けます。

FREEMAN BROTHERS / YOU GOT ME ON A STRING (INTERNATIONAL ALLIED 501)'63



60年代にニューヨークで活躍したフリーマン兄弟によるディープソウル。ゆったりとした曲調に甘いメロディのディープバラードという感じですね。なにしろメロディの出来が良く、どこを聴いても申し分ない。イントロから何度も「ドドドットット」とメリハリ良く調子をつけるバックの演奏もいい。兄弟といいつつ歌はリードのジョニー・フリーマンのソロみたいけど、情感深くダイナミックに歌いこむ唱法が曲調にもマッチして実に感動的。時折ファルセットぎみに絶叫を入れるところとかも最高です。これだけ素晴らしい曲だけどカバーは存在しないみたいですね。調べてみると63年産ということのようだけど、年代の割に情感深くディープソウルとして完成度が高く本当かな?という気はします。

「YOU TUBE」で聴けます。

Bill Brandon / Tag Tag (Piedmont ‎078)'76



77年唯一のアルバムのジャケ写の人なつっこく、どこか剽軽な表情が印象的なビル・ブランドンの76年のシングル曲。彼が残した作品は多くはないけれど、「Self Preservation」「The Streets Got My Lady」など名作は多い。76年のその「The Streets Got My Lady」のB面になるこの曲はソウル界のバカラックと呼んで良さそうな名作曲家のサム・ディーズによる作品。ビルの実力が認められたからサムが曲を提供したんですかねえ。

曲は南部らしい、ゆったりとした甘めのディープソウル。落ち着いた中にも温かみ、思慮深さとどこか異世界情緒的な不思議な雰囲気を醸すイントロが秀逸。この辺りのアレンジはA面のアレンジを担当している鬼才Moses Dillardによるものなんでしょうかねえ。その後のA,Bメロやサビなど全てのメロディの完成度は高く魅力的。サビのキャッチーさも素晴らしいけれど特にAメロの起伏に富みながらも綺麗なラインはサムの真骨頂という感じがします。全体を通して安定した表情豊かなビルの歌唱も素晴らしい。お皿的にもソウル界の天才達が集結したダブルサイダーってことになりますね。作曲者SAM DEESによるカバーも良い出来です。

「YOU TUBE」で聴けます。

SCOTTY WILLIAMS / I'VE GOT TO FIND HER (AND TELL HER)(JUBILEE 5602)



68年頃の作品で、ニューヨークのシンガーらしいです。短く静かな歌いだしから一気に盛り上がるサビが素晴らしい。ギュギュギューっと搾り出すように深く、深ーく歌いこむところが実に私好みの唱法です。そして単に深いというだけじゃなく、歯切れの良さも感じさせますし、絶妙な間の取り方、緩急及び静と動の対比、ハイトーン・ヴォイスを入れたりと多様な工夫が盛り込まれているのもいい。ここでのディープ唱法は個人的にはディープソウルの5指に入れたい程のものですねえ。もちろんサビを含めてメロディの出来も良い。全体的に古臭く土埃りをかぶったような味わいもまた良し。

「YOU TUBE」で聴けます。

BOBBY PATTERSON / IF HE HADN'T SLIPPED UP AND GOT CAUGHT (CONTEMPO 7006)'77

BOBBY PATTERSON  IF i granite.jpg

サザンソウルのプロデューサー、ボビー・パターソンの名曲。タイトルは仮定法過去完了ですね。「もしも彼が失敗しないで、捕えられていなかったならば・・・」ってところでしょうか、ちょっと刺激的な意表を突いたタイトルです。(GRATINE 536)'76では「IF I HADN'T SLIPPED UP AND GOT CAUGHT 」となって出てますが、実際は主語がIではなくHEと歌っているので、後にタイトルを修正して出しなおしたのかも知れません。

美しいピアノで静かに始まる曲ですが、なだらかなメロディにのったヴォーカルが後半に向けて徐々に熱気を帯びていき盛り上がっていきます。優しく温かみのある唱法で情緒的で甘みのあるメロディを噛み締めるように歌う様は、彼の才能がプロデューサー、作曲家だけに留まらないことを示していますね。曲全体から漂う甘みと優しさは甘茶ソウル、サザンソウル双方のファンに受け入れられてきたのではないでしょうか。

「YOU TUBE」で聴けます。

FREDDIE WATERS / I'M AFRAID TO LET YOU INTO MY LIFE (OCTOBER 1011)'77

FREDDIE WATERS.jpg FREDDIE WATERS  SINGING A NEW SONG.jpg

フレディ・ウォーターズはテネシー州ナッシュビルのディープ系歌手で、曲もいわゆるファルセット甘茶ではなく、南部フレイバー漂う甘めのサザン・バラードといった趣き。ただストリングスを前面に押し出したサウンドは格調の高さを感じさせ、蜂蜜のようにトロリとした甘めのギターは、そこに南部っぽい熱気と甘さを加えています。これは甘さに徹底的にこだわり特化した幾多の甘茶サウンドにも負けず劣らずの素晴らしい出来と言えますね。

そんなバック・サウンドだけを聴いてても十分楽しめる内容なんですけど、複雑に展開するメロディも凝っているし、更にどのメロディ・パートも感動的で味わい深い。特にサビに向けてストリングスを伴って徐々に盛り上げていく箇所など「こみ上げ感」抜群です。こんな感動的なサザン/ディープ風味の甘茶曲をもっと知りたいものです。甘茶ソウル百科事典 BILLY'S 091でセレクト。「SINGING A NEW SONG」というCDにも収録されているようです。

TIP WATKIN / WRAPPED UP IN YOUR WARM AND TENDER LOVE (PLAY ME 1943)

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Tyrone Davisの72年のアルバム「Without You In My Life」収録曲のおそらくカバー・バージョン。ゆったりとした曲調の甘めのディープソウルで、タイトルの「暖かく優しい」という台詞がそのまま具現化した曲という感じ。メロディも良く出来ていて心に沁みる良曲ですねえ。タイロン版は安定のディープ唱法ということで万人向けという感じだけど、私の好きなのはティップ版。ひょうきんな雄たけびから入り、語り風唱法、笑い声などが入ったりと様々な表情をみせてくれ飽きさせない。女性コーラスも入って全体的に幾分ポップな仕上がりなのもいい。最後に「Hey! Tyrone Davis!」と掛け声を入れているのはどういう意味合いなんだろうか。なお、作者自らが歌うRICHARD PARKER版も73年に出ていて、これも出来は悪くない。歌声にディープ成分が薄れている分、タイロン版よりも聴き易いかも。それぞれ「YOU TUBE」で聴けます。

TIP WATKIN / WRAPPED UP IN YOUR WARM AND TENDER LOVE

TYRONE DAVIS / WRAPPED UP IN YOUR WARM AND TENDER LOVE

RICHARD PARKER / WRAPPED UP IN YOUR WARM AND TENDER LOVE

TRUTH / COME BACK HOME (SOUNDS OF CLEVELAND 11711)

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U.S.BDG #684のTRUTH。「究極の、、、」で有名なLARRY HANCOCKが在籍したことでも有名。甘茶ソウル百科事典での記載はないし、「THE DEEPEST SOUL VOL.2 (GOLDMINE GSCD41)」に収録されているから一般的にはディープ扱い?でも、このムードなら甘茶ソウルだよねえ。U.S.BDGの久保田泰広氏によると、この「COME BACK HOME」が彼等の初レコードでここで聴けるツインリードはラリーハンコックとリオグリーン。「ソウルトレインでの映像は脳裏に焼き付いて離れない人が多い」とのことなので、もしやと思い「YOU TUBE」検索してみると、なんとその伝説の映像がありました。で、出来の方がこれまたグレイト。鳥肌ものですね、興奮しました。私、個人的に初めてソウル関連の映像を保存しました。これを見ると確かに途中でリードは交代していますねえ。ここでの映像は2分弱ですが、シングルでは延々7分も金太郎飴的にこの調子です。「IF YOU COME BACK HOME」という甘いコーラス、エレキシタール、ハープ?グロッケンなどの煌びやかな甘ーいバックに二人のリードの実に素晴らしい絶唱合戦。甘いメロディも最高ですね。

【 ディープ偏差値 69

PETE COOKE / LITTLE DARLIN' (DIMENSION 1037)'65



63年と65年とで2枚のシングルを残したニューヨークのディープ歌手ピート・クックのディープソウル。サムクックの近親ではないみたいけれど、唱法などに強い影響が感じられますね。曲は自作のようで明るく平和な雰囲気が良い。「ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン」と繰り返す快活なバックがひょうきんで楽しい感じ。ヴォーカルの声質はかなり塩辛く唱法は激しいけれど、溌剌としたポップな出来で聴きやすい。

「YOU TUBE」で聴けます。

OVATIONS / PURE NATURAL LOVE (Chess CH 2166)'75



南部メンフィスのヴォーカルグループ、オベイションズの75年のシングル曲。作曲は「Kim Carnes / Bette Davis Eyes」や「Tracey Ullman / Breakaway」など多くのヒット曲で知られるシンガーソングライターのJackie DeShannonです。彼女のwikipediaなど見てもこの曲については特に触れられていないので、彼女の作った埋もれた名曲ということになりそう。曲はオベイションズの特徴のひとつである温かみと情感深さ、甘い雰囲気などの良さが引き出された作品。全体的にメロディは良いが特にどんどんと込み上げていくAメロが素晴らしい。ただBメロとか間奏が無いのでちょっと単調な印象なのが惜しい。76年にEsther Phillipsによるカバーも有るけど出来はいまいち。逆にこのいまいちなカバーを聞くと如何にリードのルイ・ウイリアムスの声質・唱法が魅力的なのか再発見できるかも。

「YOU TUBE」で聴けます。

BUDDY GRUBBS / I'M TELLING YOU (BELL 772)'69



1961年のJerry Butlerの軽めのソウルのディープ・カバー。フロリダ録音なので南部の歌手みたいけどdiscogsを見てみると、この一枚しか録音を残していないみたい。曲はCurtis MayfieldとJerry Butlerによる大人しい曲調だったオリジナルをかなり快活に変貌させてます。威勢のいいホーンが特徴的で行進曲テンポのリズムと相まって元気いっぱいといった感じ。ストリングスも効果的に配置されていて、なかなか凝ったアレンジでインストでも楽しめるレベルかも。ヴォーカルは明るく快活で瑞々しく声質もなかなかのもの。そして後半に入る雄たけびが最大の聴き所で、ディープソウルの醍醐味といった感じ。プロデュースは「James & Bobby Purify / I'm Your Puppet」などで知られるPapa Don Schroederで、如何にしてこの曲が生まれたのかよく分からないけれど、明るく快活な絶唱系ディープの傑作ですね。

「YOU TUBE」で聴けます。

CANDI STATON / HEART ON A STRING (FAME 1460)'69



米南部アラバマ生まれのキャンディ・ステイトンが地元のフェイムで録音した69年のディープソウル。将にサザン/ディープの申し子といった感じですね。曲はGEORGE JACKSON,MICKEY BUCKINSによる明るいミディアム。派手な内容ではないけど全体的にメロディの出来は良く、特にサビがキャッチー。詩の内容は他愛のないラブソングといった感じだけど、キャンディの溌剌とした歌いっぷりが良い。声質も味わい深く一種の萌えがありますね。暗めの曲の多いディープ系の中では異色とも言える明るさと前向きに生きていく肯定感を感じさせます。

「YOU TUBE」で聴けます。

APOLLO BROTHERS / SHACKING UP PT. ONE (RAY-LEN 4557)'75



ディープソウルの有名個人サイト「Sir Shambling」さんでも紹介しているディープ風味の甘茶名曲。「Sir Shambling」さんが取り上げてるんだからマニアにはディープソウル名曲ってことで通っているのかも知れません。ワシントンDCの兄弟グループみたいですね。75年産。

「同棲」というタイトルの曲で、おそらくそれ風のことについての長く甘めの語りから入る曲。バックは、どんよりとした曇り空、はたまた、つかみどころのない混沌とした夢の中を漂っているかのような幻想的なムードを持つサウンドで実に印象的。甘いコーラスを交えてリードが交互に歌うスタイルで、少しディープがかった唱法がなかなか味わい深いですね。サビのコーラスは同棲という甘い愛の生活を夢見る若者というよりも、山あり谷ありの激動の人生を長く一緒に暮らしてきた熟年夫婦の落ち着きと達観を感じさせる。シングルの裏はこの曲のPT.TWOなんだけど、もう少しコンパクトにまとめてA面に入れた方が良かったかも。

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ANNETTE SNELL / IT'S ALL OVER NOW (EPIC 50464)'77

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最初から最後までどこもかしこも良く出来たメロディの甘めのレディソウル。本来そのディープな唱法及びマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ産ということで、所謂サザンソウルとかディープソウルとかに仕分けされるべき曲です。ただし、イントロと後半で聴けるインスト・パートが胸をググッと締め付ける格別の甘さ。南部を感じさせる温かみのあるイントロの管の音、格調の高さを感じさせながらも郷愁をいざなう後半間奏部分の弦の音。その両者の存在感は実に大きく、私に甘茶を感じさせるのです。

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CARL SIMS / I'M TRAPPED CD(Paula PCD-9005)'95

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U.S.BDG #346の「FIESTA LP(ARISTA 4196)'78」にも参加していたカール・シムズのソロアルバム「HOUSE OF LOVE」収録曲。ジャンル的にはディープ/サザンソウル。曲はゆったりとした7分33秒にも及ぶ甘めのバラード。うだるような暑さの気候の元で作られたかのような南方系の熱を帯びた、停滞して動きの遅ーい空気感が特徴的。カールのコッテリとした歌いこみもイイが、憂いを帯びた甘めの女性陣によるコーラスが何とも味があり、この曲に不可欠で重要な要素となっている。このコーラス・アレンジの妙により個人的な甘茶ソウル認定曲となりました。欲を言えばもっとヒューマンなトラックで決めて欲しかった。因みにシングル・オンリー曲ではないからか、「楽ソウル」への掲載はありません。

JOE ANDERSON / YOU GOTTA BELIEVE (BUDDAH 436)'74

JOE ANDERSON.jpg JOE ANDERSON  YOU GOTTA BELIEVE.jpg

BUDDAHなどで数枚のシングルを残したジョー・アンダーソンの曲。画像1はTAPECARというブラジルのレーベルのもの。何故にブラジル?って感じですが、ネットを検索すると歌詞も容易に見つかるし、もしかして当時この曲は局所的にヒットしたのかも知れませんね。

太く粗めの声質で、甘茶というには少し無理があるかも知れませんが、甘めのサウンドに乗せて心に沁みる丁寧な歌を聴かせてくれます。伸びやかさとか力強さとかいった言葉とは程遠い、ヨレヨレ、ヨボヨボの所謂ヘタウマ歌唱だけど、だからこそ心の奥深くまで彼の歌声が届きます。(こういう曲を「うまく」歌われてもね、、、。)それと終盤の女性コーラスやサウンドの盛り上がりがかなり感動的で、胸に熱い何かが湧き上がってくる感じ。「自分自身を信じろ」って歌詞を見るとどうも応援もしくは自己啓発っぽい内容みたいですね。落ち込んだりしてる人への励ましソングとしても良さそうです。

You Gotta Believe Joe Anderson

PHILLIP MITCHELL / THERE'S ANOTHER IN MY LIFE (EVENT 223)'75

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甘茶ソウル百科事典未掲載でU.S.BDG #761のフィリップ・ミッチェルのNOT ON LP曲。U.S.BDGでもほとんどこの曲について触れられていないけど、甘茶ファンにとっては彼のアルバムよりも遥かに重要な作品と言えるでしょう。彼のインタビューが掲載されているこちらのページによるとビルボードのR&Bチャートで58位を記録したらしいです。海賊コンピ「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.5」にも収録されており、マニアにも昔から人気だったようですね。

この曲はクレジットに(P.MITCHELL-B.CLEMENTS)とある彼の自作曲。表情を微妙に変化させながら展開されるメロディは、最初から最後までどこを切ってもなだらかで味わい深いライン。特にサビのメロディは情感豊かで日本人の心を鷲掴みですね。ヴォーカルも押し引き、強弱の加減が程よく時にファルセットや語りを交えながらしっとり丁寧に歌いこまれて好印象。ちょっと淡白で悲しげな女性コーラスや控えめに鳴り響くエレキシタールなどの細かな演出もニクイ。全体のムードも申し分ないけれど、何と言っても彼の作曲センスの良さがキラリと光る作品です。

【 ディープ偏差値 68

JOHNNIE TAYLOR / GAMES PEOPLE PLAY 「The Johnnie Taylor Philosophy Continues」'69



1972年の「Lynn Anderson / Rose Garden」の作曲家としても知られるシンガーソングライターのJoe Southが1968年に自身で歌って後にグラミー賞を受賞したヒット曲のディープソウル・カバー。歌うはディープの大御所ジョニー・テイラーで当ブログでは、サザンソウル代表曲の温かさ JOHNNIE TAYLOR / LADY, MY WHOLE WORLD IS YOUを取り上げ済みです。ジョーサウス自体南部ジョージア州出身ということで、温かみのある南部っぽい雰囲気を持ったこの曲は、やはり南部中心に活躍したジョニー・テイラーとの親和性は高く将にドンピシャと嵌ったカバーという感じ。「ラララーララ♪」と親しみ易いスキャットを多用し、平和でのんびりとした雰囲気に温かい陽射しをたっぷり浴びた牧歌的なメロディは流石の曲づくりで実にキャッチー。それをディープにねっとりと歌いこんだことでソウルファンにより訴求する内容になりましたね。

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Joe South / Games People Play(オリジナル)
Inner Circle / Games People Play(レゲエ・ヒット)

TOMMY HUNT / THE COMPLETE MAN (DYNAMO 110)'67



U.S.BDG #8のトミーハントはDOO-WOPの名グループ、FLAMINGOS出身のディープ歌手。そのU.S.BDGでの記載はないけど、67年の本シングル曲は最近編集されたCDアルバムのタイトルにもなった程で彼の代表曲といえるでしょう。オーソドックスなディープソウルのバラード系トラックをベースに良く出来た甘みのあるメロディが実にキャッチー。感傷的なルールー♪という女性スキャットが情緒的に盛り上げますが、やはりトミーハントのディープな歌声が主役かな。シャウトなどの派手さはないけど堅実なディープバラードとしてしっかり歌い込んでます。

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WILLIE HATCHER / SEARCHING '67 (COLUMBIA 4-44259)



デトロイトのディープ歌手、ウィリー・ハッチャーの1967年のディープソウル。プロデュースは同じくデトロイトの重鎮ドン・ディヴィス。マスクマン氏のCDRやお宝満載の世紀の傑作コンピCD「THE LOST SOUL GEMS」にも収録された。歌唱を最重視するディープソウルにおいてサウンドが際立つ作品というのはあまり無いけれど、この曲で聴けるギターの音色は別次元的に素晴らしいですね。黒人的グルーヴとバイタリティ、ディープソウル的な感覚を併せ持つフレーズは実にキャッチーで魅力的。ギターフレーズが曲の全てを支配してしまったかのような圧倒的な存在感がありますが、全体のメロディや歌もなかなかのもの。このイントロのギターにビビビと来たらしめたものだけど、いかがでしょう?

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EDDIE PARKER / BUT IF YOU MUST GO (MIKO 803)'76



60年代中期から70年代にかけて7枚ほどシングルを残しているディープ歌手、エディ・パーカーのマニアに人気の高い76年のシングル曲。KENTからのこの曲の作家JACK ASHFORDの作品集CD「JUST PRODUCTIONS」に収録されている。イントロが暗く哀し気なヴァイオリンから始まるソウルには異色な作品だけど、暗いなりに良く出来たメロディが特徴的。特にサビが秀逸で込み上げ系のコーラスを伴い大いに盛り上がる。ヴォーカルはかなり塩辛い絶唱系で聴く人を選んでしまう感じかも。

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CANDI STATON / STAND BY YOUR MAN (FAME 1472)'70



溌剌としたサザン/ディープとして69年のHEART ON A STRINGを紹介済みのキャンディ・ステイトン。キャンディって名前が可愛らしくていいよね。U.S.BDG #367で紹介されているアルバムのタイトル曲である本曲はTAMMY WYNETTEの1968年のカントリーヒットのカバー。オリジナルのゆったりとした和み系の曲調をすこしテンポアップさせ快活で躍動感のあるナンバーに仕上げている。キャンディの生き生きとしていて情感のこもったディープな歌もいいけど、バックの特徴的なベースライン、溌剌とした切れ味鋭いストリングス、曲に厚みを持たせるコーラスなどオリジナルにはない独創的なサウンドアレンジが光る。もちろん元歌のメロディラインの出来の良さあってのことではあるけれども。こうして聴いてみるとカントリーとディープの相性ってなかなか良いなと思います。ちょっと暗い曲が多いディープ界だけど、もっとこの手のカバーがあったら良かったのにね。

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CARL SIMS / PITY A FOOL (Wet Paint 1001)'74



1970年代から細々と活躍していたメンフィス出身のディープ歌手カールシムズの74年のシングル曲。1995年に出した初アルバム「House Of Love」が好評だったけど、U.S.BDGの発行は1994年だったので惜しくも掲載されなかった感じ。曲はDAN GREER作のディープソウルでオリジナルは1972年のやはりメンフィスの女性歌手Barbara Brownの模様。タイトルは「馬鹿を憐れむ」でしょうか、自虐的なタイトルとは裏腹に楽しそうなスキャットから始まり、明るく快活な雰囲気が漂います。可愛らしく軽やかな女性コーラスをバックにカールシムズの自由度の高い歌声が弾けまくっている感じ。メロディも素晴らしいけれど、歌も負けず劣らずのなかなかの名唱ですね。太目で存在感があるけどスマートな声質も魅力的。

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私の好きなディープソウル2


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