6.Ossie Hibbert / Bubble Up Style 「Leggo Dub ('78)」収録 未掲載
驚いた。こんな世紀のレア高値盤が再発されていたなんて。「STRICTLY ROCKERS」未掲載だが、これは菅野和彦さんらが当時入手も聴く事も出来なかったからではないかと思う。私はこれまで現物も見たことないし、噂では10万円とかそのレベルで取引されている世紀のレア高値盤だったようだ。「ザ・ブルース増刊 レゲエ・ブック」ではダブの名盤8枚の中の1枚としてきちんと紹介されている。「衝撃的かつ革新的なダブ」云々。ただしOssie Hibbertという記述はなかったので私は今まで彼名義のアルバムだとは全く知らなかった。私がこれを聴いたのはレゲエの先輩からのあまり録音のよくないテープダビングだったのだが、その内容の良さからずっと良い音で聴きたいと願っていたものだ。今、20数年来の念願がかなってとても満足している。
音の方はGREGORY ISAACS/MR.ISAACS中心のダブなんだけど、はっきり言ってグレゴリーのアルバムは今ひとつだ。個人的に彼のヴォーカルに全く惹かれないという一因もあるけれど、やはり本アルバムで聴ける創造的なダブを先に聴いてしまったというのも大きな要因かもしれないなあ。
1.Dubby Dubby 2.Leggo Dub 4.Winners Dub 5.Dub Down Babylonとどれもホーンの奏でる主旋律がのんびりと気持ちよい。それをメインにChannel One Sly Dunbar のドラムもタイトで気持ちよい。軽めのダブ処理や電話、車、鳩時計、チャイムといった町や家庭の音が随所に挿入されているのがこのアルバムの大きな特徴でもある。しかしどれもこれも曲調が似てるな。3.Doberman Skankもこれまたホーンの奏でる主旋律が良いが、犬の鳴き声を沢山挿入したアイディアが面白く秀逸である、中華ドラもいいね。そして犬の鳴き声がダブ処理されエコーしていくところなんて最高(笑)。
そしてこのアルバムの最大の聴き所は一番最後の9.Bubble Up Styleの何とも郷愁をそそるどこか懐かしい大甘なメロディだ。素晴らしいレイドバック感。小学校のプールから帰って体がだるくなり昼寝をしていた時に流れていたBGM、あるいはつげ義春/ねじ式、うる星やつら/ビューティフルドリーマーとかの永遠に時間が止まったかのような異次元の、でもどこか懐かしい世界がここにはある。ヴォーカルが無いからこそ、この素晴らしい異空間世界が味わえる。最高のダブ/インスト作品だ。