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カテゴリ:詩
改めて真っ直ぐと見た。
今まで顔を背け続けてきた『そいつ』と。 『そいつ』の顔を真っ直ぐと見た。 『そいつ』は薄気味悪い、ピエロのような仮面をつけた『俺』だった。 『そいつ』は俺に語りかける。 【変わってやろうか・・・?】 『そいつ』が仮面をとると、今度は《笑顔》の仮面が出てきた。 薄っぺらい、《笑顔》の仮面が・・・。 また仮面をとった。 今度も《笑顔》の仮面だった。 侮蔑を含んだ、《笑顔》の仮面だった。 さらに仮面をとった。 今度は《憤怒》の仮面だった。 哀れみを含んだ、最もしてほしくない、《憤怒》の仮面だった。 仮面をとった。 今度は最初の薄気味悪い《笑顔》の仮面だ。 しかし、その目が語っている。 【解き放て・・・。楽になるぞ・・・。】 解き放つ・・・。 おそらく、俺が封印し続けた、『ありのままの俺』。 いまさら解き放っても、どうにもならなく、どうしようもなく弱い、『ありのままの俺』を・・・。 直視するんじゃなかった・・・。 俺は後悔した。 どうしようもないほどに、弱い『俺』を見てしまったから・・・。 仮面の『俺』が、仮面を作って《能面》を覆うように、弱い『俺』も、分身を作り、傷付かないようにしてきた。 しかしそれも、この時で終わり。 この次の時は、少しずつ、自分を解き放っていこう。 分身に頼らなくてもいいよう、『自分自身』で仮面をつけ、道化師のように踊ろう。 喩え、客が引こうとも、俺は時間の限り、踊り続けよう。 分身に、頼らなくてもいいよう・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 11, 2005 12:44:46 AM
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