2020年の10月に書いた日記と今年の後日談です。
ネットからの画像 「夢」1910年 ニューヨーク近代美術館(MOMA)所蔵
原田マハ氏の著書「楽園のカンヴァス」の表紙にも使われている絵です。私が知っている「夢」というタイトルではピカソ、マティスに次ぐ3枚目の夢です。
もし「楽園のカンヴァス」を読まなかったら画家「アンリ・ルソー」の絵に興味を持つことはなかったと思います。
この作品はヤドヴィガというポーランド人女性をモデルにした、アンリ・ルソー制作最後の作品となっています。
初期の作品は画家仲間からも不評で、この絵を深く理解してもらうために「夢のための銘刻」と題した自らの詩を添えたそうです。
『美しい夢のなかのヤドヴィガはやさしく眠りにおち、善意の<ヘビ>魔法使いが奏でる、リード楽器の音が聞こえる。月が川<または花>、樹に映るにつれ、野性のヘビは楽器の楽しくなる音に耳を貸す。』
「楽園のカンヴァス」はアンリ・ルソーの人生を描きながら、伏線となったこの絵のモデルヤドヴィガと彼女の夫がキーパーソンとなる素晴らしい絵画ミステリーで話の中に引き込まれていくうちにアンリ・ルソーの絵にも興味を持つようになりました。
原田マハ氏はニューヨーク近代美術館(MOMA)のインターナショナルプログラムに所属していた時期もあるので、この絵を直に見て小説の構想を得たのかなと想像します。
今年1月、NHK「あさイチのプレミアムトーク」に原田マハ氏が出演して、この「夢」について解説するという私にとっては珠玉の時間がありました。やはりMOMAでこの絵を見て触発され初めての小説を書いたそうです。そしてもう一つ小説を書くきっかけがダン・ブラウン著の「ダヴィンチ・コード」で、「ここまで書いていいんだぁ~」と小説を書くための背中を押してくれたと説明がありました。
一度だけ行ったMOMAで残念ながらこの絵を見た記憶がありません。私にとっての1枚目の「ピカソの夢」のことばかり考えていて、館内のスタッフに「夢の展示はありましたか?」と聞いて「この前まで~」の返事はもしかしてルソーの夢のことだったのかなぁと今更ながらに考えています。