11月が近付くと日本では「ボージョレ・ヌーボー解禁日」のニュースが流れます。毎年11月の第3木曜日なので今年は11月18日(木)です。日本にいた時はボージョレと言えば「ヌーボー」しか知らず、ワインの知識もほとんどなかった私は毎年大きなニュースになるくらいだから「最高に美味しいワイン」に違いないと思っていました。
来星して4年後偶然、「Benaton」というワインショップ(残念ながら今は営業していません)で開催される「ワインティスティングの会」に参加することになりました。初回から毎月1回2年間ほぼ休まずに参加したので24回参加したことになります。ブルゴーニュ出身のフランス人オーナーとワインエキスパートの資格を持つ日本人女性のお2人でフランスワインについて様々なテーマで講習、そしてワインティステイングをさせてもらいました。
1年目の10月の会の時「翌月のワイン会でどんなワインが飲みたいですか?」と聞かれ、時期的にそろそろ「ヌーボー」かなと思ったので「ボージョレ・ヌーボー」とお願いしました。その時同時にお2人とも「うーん。。」という表情にあり、それならボージョレ地区の「10の村のワイン会」にしましょうということになりました。
そのワイン会でボージョレ地区ではブルゴーニュのAOC(原産地統制呼称ワイン)ワインで使われるピノ・ノワールではなく「ガメイ種」を使用していること、そしてガメイというのはブルゴーニュAOCでは栽培が禁止されている品種だということを初めて知り、何だかそれまで騙されていたような感じがしたのを今でも覚えています。下記がその時試した10本のワイン「クリュ・デユ・ボージョレ(Crus du Beaujolais)の10本(10の村)」です。
ワインリストと当日の販売価格(2007年)で参加者限定の10%引きの価格です。
①ブルイィ(Brouilly) S$31.50
②シルーブル(Chiroubles) S$26
③コート・ドゥ・ブルイィ(Cote de Brouilly) S$26.10
④レニエ(Regnie) S$26
⑤フルーリー(Fleurie) S$31.50
⑥サン・タムール(St. Amour) S$26
⑦ジュリエナス(Julienas) S$26.10
⑧シエナス(Chenas) S$26
⑨モルゴン(Morgon) S$26
⑩ムーラン・ナ・ヴァン(Moulin A Vent) S$31.50
最初の一口目が衝撃でした。ワインの色といい、味わいといい「これはピノ・ノワールですよ」と言われたら「あぁ~、そうですか。本当に美味しいですね」と答えていたと思います。フレッシュでフルーテイーな中に魅惑的な香りがありました。
当日は⑩のムーラン・ナ・ヴァンを購入して、後日和食レストランで「鯛の甘味付け煮つけ」に合わせました。ガメイ種は日本食にもよく合うと教えてもらったからです。
当時はワインショップでどこかの村のワインが常時購入できたので、結構自宅でも和食に合わせて飲みましたが、今はスーパーのワインコーナーで常時見かけるのは「モルゴン」と「ムーラン・ナ・ヴァン」で価格はどちらも36ドルなのでテーブルワインにはちょっと高い値段です。
たまに「コート・ドゥ・ブルイィ」も見かけますが、個人的には「モルゴン」に軍配です。
「弘兼憲史」氏著の「フランスワイン入門」の中に「あなたに合う10の村名ワインは?」のページもあって、当時はこれを参考にしてワインを選んだりしました。
因みにボージョレ地区の土壌は花崗岩が主でガメイ種の栽培に最適なようです。そして「フランスワイン入門」の中にはボージョレ・ヌーボーを世界的に有名にした醸造家ジョルジュ・デュブッフ氏のことも書かれていました。フランス各地にヌーボー(新酒)がある中、ガメイという2流品種を最高の地位に押し上げた彼のアイデアと情熱はなんと素晴らしいものかと思います。