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テーマ:村上春樹さん♪(73)
カテゴリ:読書&映画 村上春樹
1996年に出版された村上春樹著「レキシントンの幽霊」という短編小説集の中の一篇が「トニー滝谷」です。2005年に映画化され、運良くシンガポールでも上映され今でも印象に残る映画です。
父親の影響もあり孤独を抱えたまま成長したトニー滝谷を「イッセー尾形」さんが演じました。学生時代の回想もあり流石に彼の学生服姿には違和感がありましたが、卒業後に孤独を抱えながらもイラストレーターとして才能を発揮し社会的に成功を収めていく演技は引き付けるものがありました。 そして「宮沢りえ」さん演じる着こなしの美しい女性と出会い、恋に落ち結婚をします。淑やかで控え目で妻として申し分ないように見える彼女の唯一の問題となる行動が「度を超した衣服に対する執着」です。その様子を完璧な美しさと妖気じみた演技で見せてくれました。彼女の最後のシーンは特に印象的で一旦諦めた服をやっぱり買おうと思い悲劇に向かってふっと今来た道を戻ろうとするその表情には彼女の卓越した演技力を感じました。 今までトニー滝谷という名前について特に気になったことは無かったのですが、昨年紀伊国屋書店でたまたま村上春樹著の「村上T ついつい集まってしまったTシャツたち」というエッセ―集を見かけました。 こっそりページをめくって写真まで撮ってしまったのですが、最初のページに「Tony Takitani House」とプリントされたTシャツの写真と「一番気に入っているTシャツ」と書かれていて映画のことがすぐ頭に浮かびました。 Tシャツの説明にはマウイ島に滞在していた時に何となくTony Takitaniってどういう人なんだろうと思いこのTシャツを1ドルで買ったと書いてありました。そこからヒントを得て小説を書き、映画化までされるとはTシャツ好き村上春樹氏ならではの出会いかなと思いました。因みにイッセー尾形さんは村上文学のファンだそうです。 この映画がきっかけになったのか村上春樹著「海辺のカフカ」の舞台の主人公は宮沢りえさんで2015年にシンガポールでも上演されました。もう6年前ですが、今でもガラスの箱の中での彼女の演技というより妖艶な表情が浮かんできます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.03 08:31:30
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