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日本では「ゴッホ・アライブ」、シンガポールでは「The Immersive Experience」という
タイトルで現在開催中の「没入型展覧会」は世界を巡回し850万人ほどの観客動員があるそうです。 ![]() ![]() 右はゴッホ自ら「ひまわりでは最良の作」と自負した12本のひまわり アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)美術館所蔵 壁面や床に映し出されるゴッホの絵画の数々は映像技術で花びらが散ったり、鳥が飛び水が流れ落ち、またゴッホという名の電車が走り出すという豪快な映像と共にゴッホからのメッセージが文字で流れるのを床に置かれたソファやクッションに寝そべりながら観賞できるという圧巻の展覧会です。 ゴッホと言えばやはり代表作の「ひまわり」については別のコーナーでも何点か複製画の展示や説明があり、その中の一枚(左の写真)の黒い筒状花の部分を赤い丸で囲っているいる絵に目が引かれました。 ![]() ![]() 12本のひまわり フィラデルフィア美術館蔵 14本のひまわり 損保ジャパン日本興亜美術館蔵 こんな赤が入っているひまわりがあったかなと家に帰ってから「週刊美術館 ゴッホ」で調べてみるとフィラデルフィア美術館所蔵の「12本のひまわり」でした。ひまわりについてはゴッホがパリから太陽の光溢れるアルルに1888年に移り、敬愛する画家「ゴーギャン」を迎える「黄色い家」の部屋の装飾画として「ゴーギャンに対する最上級のもてなし」のために描かれたと説明があります。 北米産の花であったひまわりがヨーロッパに伝わったのは16世紀で、そのため西洋美術の歴史の中で描かれた花としては新参だったようですが、17世紀にはひまわりは「太陽・愛・芸術、或いはキリスト教における聖なる人物のイメージなどの象徴」として描かれたそうです。 代表作7点のうち3点にひまわりが12本描かれている理由を「キリスト教の12使徒を表している」と説明があり、他の2点に14本描かれているこの2本の意味を「絵画の指導者として芸術共同体を導くゴーギャンの存在を表す1本」「ゴッホの最愛の弟であり画商使徒として画家達の絵を売り生活を支えたテオに捧げる1本」と説明があり、これには十分納得させられます。 ゴーギャンとのアルルでの蜜月は僅か数か月、ゴッホの耳切り事件の後サン・レミの精神療養所へ移ってからは1枚のひまわりも描いていなと言う事がゴッホの心の内を多く語っているのだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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