星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

2024/05/07(火)11:10

渡辺淳一文学館カフェで「阿寒に果つ」再読等など。

本帰国で再発見!(64)

 中島公園内にある「札幌市天文台」に何度か通っているうちに公園内に「渡辺淳一文学館」がある事に気が付きました。北海道を代表する作家の文学館が1998年に建てられていた事を私は全く知りませんでした。ちょうど天文台の前の「KITARAコンサートホール」の裏側の小さな橋を渡ると瀟洒な「文学館」があります。  渡辺淳一と言えば映画やドラマ化された「失楽園」で有名な作家ですが、私が一番好きな作品は「阿寒に果つ」という同氏の自伝的小説でシンガポールで北海道の作家の話になった時も「一押し」で友人達に勧めて来ました。        もう随分前に読んで詳細の記憶が薄れているところもありますが、「阿寒に果つ」は渡辺淳一氏が高校時代(札幌南高校)に同級生だった加清純子さん(小説では時任純子)が18歳という若さで阿寒で自殺を遂げその死体が発見される事から始まっています。  天才少女画家と注目を浴びていた時任純子との淡い恋物語から一転、死後に彼女の足跡を辿ると彼女には自分以外に4人の男性との深い関係がある事、そしてそれぞれの男性にそれぞれの面を見せていたという事が発覚します。  当時読んだ時には「少女漫画の世界を超える」魔性の少女の姿に随分衝撃を受け、それが今でも忘れらない一冊になっている理由です。  文学館は2階建てで今回は一階の渡辺淳一氏の著作に囲まれたカフェでコーヒーを飲みながらちょっとドキドキして文庫本の1ページ目を開き序章を読み終えました(単行本は読めませんが下段の文庫本は自由に読めます)  館内には私の他に3組ほどのお客さんがいて、本を読むのではなく友人とのおしゃべりを楽しんでいる様子でした。何とも落ち着いた雰囲気で私も次回は友人とと思わせてくれます。そして瀟洒な外観を持つこの建物は建築家「安藤忠雄」氏の設計によるとリーフレットにありました(雪の中で白鳥が片脚を上げて立っているイメージだそうです)  安藤忠雄氏と言えば、原田マハ著「あの絵のまえで」の6篇目の「さざなみ」の舞台となる「地中美術館」を設計した建築家でネットでその美術館(上空からの屋根の部分だと思います)や館内のカフェの様子を見てみると、瀟洒を超えたセンスに脱帽という感じで瀬戸内海を眺めながらこのカフェでまったりしたいという気持ちになります。

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