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テーマ:ドラマ大好き(4172)
カテゴリ:ドラマ&映画等など。
![]() NHK土曜ドラマ「地震のあとで」の第2話「アイロンのある風景」を見て、脚本家「大江崇允」氏の力量を実感しました。2022年にアカデミー賞の作品賞や脚色賞を受賞した原作・村上春樹著「女のいない男たち」の一遍「ドライブ・マイ・カー」の脚色を濱口竜介氏と共に手掛けています。この映画は本を読んでから見ましたが、短編の世界を大きく広げ様々な視点から最愛の妻を失うという喪失感とそこからの回復を3時間という長い映画に仕立てていました。 全4回放送の「地震のあとで」は同氏原作「神の子どもたちはみな踊る」に収められた作品のドラマ化ですが、私は原作を読んでいないのでドラマを見終えたら読むつもりです。 2話の「アイロンのある風景」は「焚火ドラマ」と呼ばれるほど「焚火」のシーンが効果的に現れます。阪神淡路大震災で家族を失った「三宅」が辿り着いた先の海辺で夜中に焚火をしているのを目撃し興味を持ったコンビニ店員の主人公「順子」は「火を見るとひっそりとした気持ちになる」と三宅に伝え、それに対して三宅は「火いうんはな、形が自由なんや、自由やから見てる者次第で何にでも見える」と応えます。このセリフと暗闇と焚火の燃え盛る火だけで「震災」による喪失感や心の痛みが伝わってくる気がします。 タイトルにある「アイロン」は三宅が描く絵の日常生活の中の1つの物として描かれ、また「自分は冷蔵庫に閉じ込められて窒息死する夢をよく見る」と言うのも「震災」による拭い難い傷の1つなのだと思います。 余談ですが、「火」から思い浮かぶのはギリシャ神話の「プロメテウス」と「パンドラ」のお話しです。下記は以前に日記に書いた一部です。 全知全能の神「ゼウス」は人間に火を与えた「プロメテウス」に永遠に苦痛を与える罰を与えます。そして火を受け取った人間にも罰を与えるために鍛冶の神の「ヘーパイストス」に「人間の女を創ること」を命じます。美や音楽などを神々から与えられた人間の女「パンドラ」はゼウスから一つの箱を与えられ「パンドラ、これは、決して開けてはいけないものだぞ」と忠告を受けます。 箱にはプロメテウスから与えられた「天の火」で他の動物たちを支配しようとしている人間に警告を発するという企みが込められていましたが、パンドラは好奇心を抑えられず箱を開けてしまいます。そしてそこから現れたのは「病」「怒り」「苦しみ」「痛み」「嘆き」「妬み」「恨み」「復習」「殺意」などの災いでした。救いとなるのは箱の底から「お願いです。私を外に出してください」とかすかな声が聞こえ底を除くとひっそりとした「希望」が残っていたで締め括られています。 ドラマで順子が言う「ひっそりとした気持ち」と神話の中の「ひっそりとした希望」が何となく「地震のあとで」のテーマの1つになっている「からっぽ」と繋がっているような気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.04.15 11:51:49
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