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星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

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2025.05.13
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                 ハートフィールド再び・・【あとがきにかえて】

 今月8日に第3回「読書検定 神奈川新聞社杯」の入賞者の発表があり、高校生の部で優勝したペンネーム「なめたけ」さんが選んだ「心に残ったワンセンテンス」が村上春樹処女作の「風の歌を聴け」の一文であった事をネットの記事で知りました。

 「しかし、正直に語ることはひどくむずかしい。僕が正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんでいく」

 特に思春期時に悩む「正直に語りたい気持ちと口から出る言葉のギャップ」のようなものを上手く表現した一文がなめたけさんの心に残った気持ちが分かる気がします。ただ私自身年齢を重ねてそのギャップは少し縮まっている気がしますが、人間に与えられた言葉と心の繋がりの限界を感じたりします。

 ​久々に「風の歌~」のページを開いて、最初の一文「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね(僕が大学生のころ偶然に知り会ったある作家は僕に向かってそう言った)」に何だか感動してこの一冊を購入した時の事を思い出しました。この一文を書いた作家が「風の歌~」でキーパーソン的存在のアメリカ人作家「デレク・ハートフィールド」と何も疑わずに思っていました。ただどんな本を書いた人なんだろうと調べる事もなかったのはハートフィールドについて詳細が小説に書かれていたからです。

​「僕は文章についての多くをデルク・ハートフィールドに学んだ。不幸なことにハートフィールド自身は全ての意味で不毛な作家であった。文章は読み辛く、ストーリーは出鱈目であり、テーマは稚拙だった。しかしそれにもかかわらず、彼は文章を武器として闘う事が出来る数少ない非凡な作家の一人でもあった。・・ただ残念なことに彼、ハートフィールドには最後まで自分の闘う相手の姿を明確に捉えることはできなかった。結局のところ、不毛であるというのはそういったものなのだ」​

 そしてハートフィールドはある晴れた日曜の朝、右手にヒットラーの肖像画を抱え、左手に傘をさしたままエンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び降り自殺をします。オハイオ州にある彼の小さなお墓には遺言として残したドイツの思想家「ニーチェ」の言葉「昼の光に夜の闇の深さが分かるものか」が刻まれているそうです。それだけでハートフィールドが書いた物を是非読みたいという気持ちにはなれなかったのですが、初めてこの作家について検索してみるとどうも村上氏は「風の歌~」で架空の小説家として登場させていたようです。何だか不思議な気持ちになりますが、今回の読書検定をきっかけにもう一度じっくり読み直してみようかと思っています。





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最終更新日  2025.05.16 10:30:47
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