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テーマ:読書(9560)
カテゴリ:本帰国で再発見!
今朝のネットのニュースで村上春樹著「街と不確かな壁」が昨年イタリア語に翻訳され、先月30日にイタリアの「伊日財団」が優れた日本文学に贈る「日伊ことばの架け橋賞」を受賞した事を知りました。今月8日に東京で村上氏出席で授賞式が行われるようです。
8日と言えば「ノーベル文学賞」発表の前日で、今年のノーベル文学賞受賞者を予想するイギリスのブックメーカー「ランドブロークス」では村上氏は3位にランクインしています。1位には中国やハンガリーの作家が挙げられていますが、面白いのは昨年受賞した韓国の「ハン・ガン」さんは事前予想では上位に入っていなかったようで、毎年ながらノーベル文学賞受賞者の予想は困難を極めています。 ![]() 気になるのは受賞予想にリストに名前を連ねている2人の日本人作家です。私はどちらも読んだ事がなくお2人の作品や受賞歴を見て(特に泉鏡花賞に惹かれて)ノーベル文学賞の受賞に関係なく読んでみたいと思っています。 ところで2023年に刊行された「街とその不確かな壁」はシンガポール在住時に紀ノ国屋書店で購入して読みました。読後の感想としてブログに下記の事を書きました。 著者自身の巻末の5ページの「あとがき」に「街~」の基となるのは1980年「文学界」に掲載された中編小説(四百字詰めの原稿用紙に150枚程度)で内容に納得がいかず唯一書籍化されなかった作品であると書かれています。そして「文学界」での掲載からほぼ40年経ち(村上氏は31歳から71歳に)作品の未完成さや未熟さにしかるべき決着をつけたいという思いから日本でコロナ禍が猛威を振るう年に書き初め3年ほどで完成させたそうです。 あとがきにある著者自身の言葉「1人の作家が一生のうちに真摯に語る事が出来る物語は基本的に数が限られている。我々はその限られた数のモチーフを、手を変え品を変え、様々な形に書き換えていくだけなのだ」には村上氏が小説を書き始めた時からのブレない「信念」のような物を感じます。 私の勝手なノーベル文学賞受賞者のイメージは商業ベースに乗っていない作家ですが、これだけの歳月をかけ作家の真髄を見せてくれる「村上春樹」氏の今年の受賞に大いに期待します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.10.04 10:02:00
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