FIAとFOTA合意に至らず、F1分裂の危機が高まる
FIAとFOTA合意に至らず、F1分裂の危機が高まる6月17日14時10分配信 ISM FIA(国際自動車連盟)がFOTA(フォーミュラワン・チーム・アソシエーション)との会談が物別れに終わり、来季のレギュレーションはバジェットキャップ(予算制限)を含め当初予定していたものを採用すると発表したため、F1分裂の危機が高まっている。現地時間(以下、現地時間)16日、『ロイター』通信が報じた。 15日、バジェットキャップを巡る一連の問題を解決するため、FOTAの財政専門委員会がFIAと会談を持った。FIAはその翌日に声明を発表し、「残念ながら、FOTA代表はFIAの2010年の予算レギュレーションについて議論する権限がないと告げた。実際、彼らはレギュレーションに関して議論する準備を一切していなかった。この結果、共通の立場を見出すためにFIAのレギュレーションとFOTAの提案を比較するという目的が果たされなかった。適切な対話はない状態でFOTAが提案する予算案が話し合われたが、それではほかよりも多くの予算を有するチームの支出が制限できないことが明らかになった。新たに財政面での軍拡競争となることは避けられないだろう。従って、FIAの予算レギュレーションは発表された通りのものとなる」と主張している。 さらにFIAは長文の声明を通じ、「自分の都合次第で行ったり来たりする参加者で構成されるFOTAは、明らかに2つの目的を持っている。FIAからF1のレギュレーション支配権を乗っ取ること、商業的権利を奪うことだ。これらはFIAが受け入れられるものではない」とFOTAを厳しく批判。また、2010年は全スターティンググリッドが埋まり、全チームが同じレギュレーションの下で競うと付け加えた。 60年に渡りF1参戦を続けてきたフェラーリは、年間4,000万ポンド(約57億7,000万円)という任意のバジェットキャップが撤回されないのであれば、F1を撤退すると示唆。ルノー、トヨタ、トーロ・ロッソを所有するレッドブルなど、FOTA加盟の複数チームがレギュレーションは受け入れられないと表明していた。 しかし、今月12日にFIAが発表した来季のエントリーリストでは、フェラーリとレッドブル、トーロ・ロッソはチーム側の意向に反して、過去の契約があることから無条件エントリー扱いとなり、マクラーレン・メルセデス、ルノー、BMWザウバー、トヨタ、ブラウンGPの5チームは暫定とされている。この5チームには条件を取り下げる余地がイギリスGPの初日にあたる19日まで与えられている一方、エントリーリストから漏れたチームが控えているとの警告も受けた。 フェラーリ、トヨタ、レッドブル、ブラウンGP首脳、FOTA側の秘書とFIAは先週11日にミーティングを行ない、FIAが「大筋で合意していたと思う」と述べたことから、15日の会合で合意するのではないかと期待が高まっていたが、逆に分裂の危機が深刻化している。