『観る人を増やす事』
それでは前回の記事の続きとなるリーグ運営や普及等についての考えていきたいと思います。
まずリーグ運営ですが前回の記事でも触れた通り、ドイツではスポーツに関する理解が深く、どのようなスポーツでも地域クラブが存在しているようです。
実際紹介したnoteでも地方リーグに参加しているチームだけで267チームあるそうで、つまりドイツ国内には野球を始める環境ならば既にある程度整っていると言えると思います。
となると喫緊の課題は「プレーする人よりも観る人」を増やす事だと思います。
・ 週4日もしくは週5日開催&7イニング&ピッチクロック
以前にも書きましたが野球の強みは連戦可能な点なので、競合の少ない平日での開催を設けた方が注目してもらえる可能性も高まるのではないでしょうか。
認知度を上げる為にはとりあえず日本のように常にほぼ毎日いずれかの試合が行われる状況を作り出す事が必要だと感じ、年間はとりあえず80試合前後を想定したいところです。
そして結構賛否を呼びそうなのが7イニング且つピッチクロックを採用する点、欧州で野球の人気があまり高くない理由として「間がある」「攻撃と守りがはっきりと分かれている」の2点が挙げられます。
後者は競技の特性上変更しようがないですが、前者はピッチクロックの導入により大幅に改善されています。
実際にMLBの試合所要時間(9イニング終了時)は2:36、つまり1イニング換算で17分となるので7イニングならば119分と約2時間となります。
ちなみにサッカーは前半後半共に45分にハーフタイム15分なので105分であり、これならばほぼ同じぐらいとなります。
・ 競技場やサッカースタジアムを使用して開催
これはMLBがロンドンシリーズを開催した事や事実上消滅?のESLBがスペインのセビリアのカルトゥーハスタジアムにて試合を行った事と同じく方法になります。
他にはサバンナバナナズというエンタメを重視したアメリカの野球チームがアメフトのスタジアムで試合を開催しています(twitter)。
ただし、MLBのような大規模改修では費用が嵩むのでESLBが行った改修を採用すれば良いのではないかな?と思います(instagram、instagram、instagram、instagram)。
現状のドイツの球場は収容人数が非常に少ない上に案外郊外にある?との事(youtube)で、しばらくの間は身近な競技場をできる限り使用して集客に努めた方が良いのではないかと感じ、例えばミュンヘンオリンピックスタジアムやベルリンオリンピックスタジアム、ヤーン公園などを使用しても良いのではないでしょうか。
現状ドイツの球場などはあまり知られていないだけに、こういった知名度のあるスタジアムを野球仕様に改造してある程度の試合をこなす事で認知度上昇を図っていきたいところです。
・ キックベースや野球ゲームなどの活用
続いては野球の普及に関してですが、ドイツならば野球やbaseball 5よりも馴染みのあるサッカーボールで行うキックベースの方が取っ付きやすいのではないでしょうか?
そもそも野球は色々な動作をしっかりと覚えてやっと試合が成立するという案外ハードルの高い競技ですし、日本ほど馴染みがあるわけではないドイツだとバッティング体験をしても飛ばない上にキャッチボールもままならず、「つまらない」と思われてしまいかねません。
他には昔あったストラックアウトのような的当てゲームやスピードガンコンテストなど野球の一部分を取り上げた遊びの方が取っ付きやすいかもしれません。
また、野球のルールならば実際にプレーするよりもパワプロのようなゲームをアプリで開発するとかした方が恐らく覚えやすいのではないでしょうか?
・ 科学的アプローチからファンを獲得
個人的にドイツで一番ファンを獲得しやすい?勝手に思っていると考えているのが野球の科学的な側面を売り出していく事にあります。
ドイツは天才学者が何人も生まれた科学技術の国であり、ドイツという国自体も科学に対して積極的な投資を見せています。
ならばその側面から野球を売り出していくのが良いのではないか?と感じるところで、トラックマンの導入による球質分析や変化球の変化量、打者のスイング軌道やバレルゾーン、打球速度など実は野球程科学と相性の良いスポーツはないのではないかな?と思います。
他には動作解析などで球速を引き上げる方法や打撃フォームの分析なども教えれば興味を持ってもらえそうな分野ではないでしょうか。
ちなみにこのようなスマホアプリ(twitter)も開発されただけに、こういった側面から本来ならばスポーツに興味を持たなかったかもしれない層の人々に関心を持ってもらい、更に科学的な側面から野球の研究を行おうとする人達を生み出していくという手もありではないかな?と思います。
・ 野球観戦の仕方を教える
これも大事だと思うのですが、基本的にドイツの人気スポーツはサッカーやハンドボール、バスケットなど常に動いていて攻守が分かれていないスポーツが多い印象です。
逆に上記の通り野球は攻守が分かれていて間のあるスポーツは退屈という印象を持たれているとよく言われていますが、ならば他競技とは違う野球観戦の楽しみ方を教えれば良いのではないかな?と思います。
野球観戦には様々な楽しみ方があり、一般的には連れと飲み食いして談笑しながら観戦する方法や東アジアのように応援しながら観戦する方法、止まっている間に配球や作戦(エンドランを仕掛けるか、犠打やスクイズはあるのか)、守備シフトや継投や代打についての起用の語り合いなど様々な楽しみ方があります。
ひょっとすると興行として成立させるためには案外野球観戦の楽しみ方を教える方が大事なのではないかな?と考えています。
とりあえずは自分ならばどのようにしてDBLを形成してリーグ運営に加えてドイツである程度野球の人気を高めていくかを考えてみました。
現時点で野球を始めるクラブは存在しており、後はDBLがプロ野球リーグとして継続的に運営できるようになっていく事ができれば自ずとプレーする人は増えてきますし、やがてDBLでスターとなった選手がポスティング移籍でMLBへと挑戦し、山本由伸とまでは行かないまでも大型契約を結んで話題になる日も来るでしょう。
そうすればドイツでもMLBが身近になり、放映権を購入するテレビ局が現れ、長期的な目線から考えてもMLBに大きな利益をもたらすのではないでしょうか。
今まではドイツ国内の部分がおざなりになっていたからこそ、せっかくマックス・ケプラーというドイツ出身ドイツ育ちの素晴らしいMLB選手がいても全然ドイツでは浸透していきませんでした。
やはり物事には順序が大事であり、一つずつ段階を踏んでいかなければ人気を博す事はできないでしょう。
実際サッカーもJリーグ創設前に三浦知良選手が海外のプロリーグでプレーしていましたが、そこまで大きな反響はなかったのが良い例です。
ただ一つ気がかりな点として挙げられるのは公式サイトの記事、やたら「アメリカ」という言葉が出てくる点にあります。
確かに野球発祥の地はアメリカではありますが、ここはドイツだという事を考えた方が良いのではないでしょうか?
これは料理店を開くのと同じで、いくらイタリアで修業したからと言ってイタリア本場の味付けをそのまま再現して日本で料理店を出しても上手くいかないケースがありますが、それと同じではないでしょうか?
日本では日本の野球文化が生まれ、韓国や台湾ではそれぞれの野球文化が生まれ、中南米諸国は彼らの野球文化が生まれました。
ならばドイツにはドイツ独自の野球文化を形成していくべきで、そこの部分に過度にアメリカを入れてしまわない方が良いのでは?と素人考えながら思います。
特に自国民が楽しむ事になるDBLでは自国民の関心を引き付けるのが大事であり、MLBとは違って放映権料よりも集客関連に比重が置かれるかと思います。
ただその辺りはこちらのtwitterの方の見立てではMLBよりもNPBやLMB(メキシコ)の方が長けていると指摘されており、その辺りどうなるかですが…。
ただまだ始まったばかりで恐らく1年目はサイトのリニューアルやスコアが見易くなったといった僅かな変化のみになるかと思いますが、2年目以降にどのような変化をしていくのかを楽しみに待ちたいと思います。