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okaokaayaya

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2007.03.22
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カテゴリ:フィクション

『一樹の夜』

一樹は、JR新宿から山手線に乗った。
渋谷で降りて東急東横線に乗り換えるはずだったが、
ふと渋谷の街をブラブラしたくなった。

今日は武と朝まで飲み明かすつもりで、
同棲相手の留実には予め家には帰らないと告げてあった。
思いがけなく紀子や沙織と同席する事になり、二次会に誘ったが
断られてしまった為に、そのまま武とも新宿で別れてしまう羽目になった。
一樹が、渋谷の繁華街を一人で歩いていると、下着姿にコートを羽織っただけの
格好をした女の子や、女子高生の格好をしているがかなり化粧の濃い女の子、
全身黒ずくめの格好をした風俗系の呼び込み男、ハッピ姿にハチマキを巻いた
カラオケ呼び込み男、次から次へと声をかけてきた。

武と歩いていれば、間違いなく女の子達と同じテンションになれたのに・・・
一樹の心は少し沈みかけていた。
そんな事を考えながら歩いていると、繁華街を一本外れた路地の片隅に
ダーツバーの灯りが目に入ってきた。
一樹は行く宛てもない寂しさから、ダーツバーの明かりに吸い込まれるように
店のドアを開けてしまった。

店内は薄暗く、ダーツバーというだけあり、ダーツマシンが3台程セットされていた。
土曜の渋谷とは思えない程の静けさで、数名しか客は入っていなかった。
店員はマスターらしき男が一人いるだけで、客の一人とどこかの国の
ダーツ大会のビデオをぼんやり鑑賞しているようだった。。
常連客しか受け付けないような雰囲気の中で、一樹は一瞬店を出ようとしたが、
マスターらしき男が一樹を手招きしてカウンターを指差してくれたので、
一樹は言われるがままにその場所に腰かけた。

「兄さん、何にする?」
マスターが薄い紙切れに手書きで書いたメニューを一樹に手渡した。
とりあえず一通りのドリンクがメニューには記載されていた。

「ドライマティーニお願いします」
一樹は、注文をして、ドリンクが出される数分の間、
手持ちぶたさだったので携帯を取り出した。

norinori※※※※※@ezweb.ne.jp 紀子さん
saorinlovery1225※※※※※@docomo.co.jp 小出 沙織

「ん?紀子さん、名字なんだったけ?」
先ほど登録したばかりのアドレスを見ながら一樹はふと思った。

考えてみれば沙織さん情報はたくさん聞いた。
しかし紀子の話は、ほとんど聞いていない。
声すら思い出せない程だった。
紀子さんって、謎な人だな・・・そう思うと、余計紀子の事が気になり出した。

1人で見知らぬ店にいる寂しさから、一樹は誰かと関わりを持ちたくなっていた。
その矛先は、同棲している留実でもなく、かわいいを猛烈にアピールしていた
沙織でもなく、どこか影のある物静かな紀子に向けられてしまった。

いつの間にか、一樹の目の前にドライマティーニが置かれていた。
一気にお酒を飲み干すと、一樹は再度同じお酒を注文した。
アルコール度の強いお酒を飲んだせいか、先ほどまで沈みかけていた
気持ちに灯がともった。

一樹は携帯を開き、メールを書き始めた。

=====送信文=====
こんばんは

一樹です。今日はお疲れ様でした。
無事に家には帰れましたか?

俺は今渋谷にいます。
結局、みんなと別れて渋谷で1人寂しく二次会してます(笑)

ところで、突然なんですが、明日って何か予定ありますか?
俺、紀子さんに会いたいんですけどダメですか?

お返事待ってます。
絶対待ってますよ~!



送信完了

=============

おかわりしたドライマティーニも、一気に飲み干し
更におかわりを注文した。

一樹は、お酒が入ると、手当たり次第に女を口説くという悪い癖がある。
これはある意味、憂さ晴らしともいえる。
入籍ほどしていないが、完全に留実がカカア天下モードに入っている事も
武のうっぷんの一つであった。
そのうっぷんを晴らすかのように、一樹はお酒に飲まれるタイプであった。

常連客しかいないこの渋谷のダーツバーで、
始発まで長居出来る程、一樹のテンションは最高潮に達していた。

 



一樹からのメールを読んだ紀子は・・・


「明日は無理です」
短いメールを返信していた。




明日は誰にも会いたくない。
私が会いたいのは祐ちゃんだけ・・・

心の中でそう呟いていた。


※次回、いよいよ『紀子の夜』お届けします(^-^)/




この物語はフィクションです








 

 

 

 

↓↓今までの話はこちら↓↓
良かったら読んで下さいね(^-^)/


★ACT6★『武の夜』
★ACT5★『沙織の夜』
★ACT4★『同席』
★ACT3★『隣の席』
★ACT2★『みやこんじょ』
★ACT1★頬を伝う一筋の涙


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Last updated  2007.03.22 23:59:18
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