T.C.UNIONRIVER ~ユニオンリバー社~

第07話

・CHAPTER-07「疲弊!夕闇に迫る危機!」


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・・昼休みの輪舞第三中学校・・

・・の隅に建っている、ほったて小屋のような建物。


かなりガタのきたその建物というのは「用務員室」であり、兼用で宿直室でもあった

忍は時々ここの・・用務員のジイさんのトコでTVを見ながらごろごろして過ごす事がある

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俺は結局の所暇人だ。

だからまぁ、A.R.Kの活動も少なくなった最近はここへくる回数も増えた

・・TVって、ここと職員室しかねぇからなぁ・・

小学校の時なんか全クラスにあって、先生が地震のニュースなんかやってるとよく見せてくれてよぉ・・


・・てな話はどうでもいいな・・


・・今俺が見てるのは「いいとも」みたいな番組だと思ってくれればいい

司会が毎度有名人をゲストに呼んで、リレーしてくあれだ。


・・・今日のゲストは、新人のアイドルで・・「白銀すばる」とか言ってたな。

小学生アイドルながら歌が上手いらしく、デビューシングルでいきなりオリコン1位とったらしい・・


・・しかし俺はそーいう系統に興味はないし、ささっとチャンネルを変えてニュースを見る


「高杉の大将よ、そろそろ授業じゃないのかね?」

「あー・・大丈夫、こっからなら一分あれば行けるからよ~」


普通の人間なら階段使用で五分前後は余裕でかかる、しかし俺は階段じゃなくて窓の外から行くんだからな(笑)


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そのころの教室・・・


・・ユウちゃんは相変わらず、授業中でも寝てて松原先生に呼び出しまで食らってる始末。

変身しなくなったおかげで最近は回復してるけど、元に戻るには最低でも一週間はかかりそう・・


・・あれ、「変身しない」って・・?


あたしがアリスで戦うからユウちゃんは戦わずに済む・・

でも、確かユウちゃんって「異形に反応して勝手に変身しちゃう」んじゃなかった?


・・まぁ、コントロールできるようになったのかしらね(勝手に納得)


とんとん・・


「ん・・?」


肩を叩かれて振り返ると、そこには相変わらず度のきついぐるぐるメガネをかけた小麦ちゃんがいた。

・・うん、あたしのメガネは伊達だけど・・・視力悪いってのは大変ねぇ・・


「・・・・」

「・・ごめん、紙に書いてくれる?(汗)」


小麦ちゃんは明くんと話をしていると勘違いしたらしいわね・・(汗)

慌てた様子で自分の机からメモ帳を持ってくるとその紙にさらさらと字を書き始めた


「・・えと・・」

・・「さっき咲妃って娘が探してたよ」・・

「・・ありがとう。」


何故か照れた様子の小麦ちゃん。

・・うーん・・お笑い系って本人は言ってるけど・・なんかヘンな感じがするのよね、違和感があって・・


ともかくあたしは、後で咲妃ちゃんを探そうと思った。


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・・さらに同じころ・・

忍のように、一時間目が始まる間際にもかかわらず、剣道場には一人の男子生徒がいた

学生服で正座し・・真っ直ぐに床の一点を見据えている

道場生らしく短髪の黒髪、真剣そのものの表情はまさにこの場に相応しい。


「・・・・ぐぅ・・」


・・と思いきや、彼は思いっきり寝ていた。(定番)

そこへ、道場の引き戸をがらがらと開ける音が・・


「改都くん~☆・・・・って・・また寝てるんですかぁ・・(汗)」


間の抜けたような声・・裕司のクラスの委員長・・雫だ。

言動から察するに知り合いらしいが・・?


「・・か・い・と・くん?」

「む・・・」


目を開けたまま眠っていた「改都」はかくん、と動いて目を覚ました

不思議そうに周囲を見回しながら、ようやく雫の存在に気付く


「おお、雫殿ではないか。」

「・・遅刻しますよ~・・っていうか、私が起こさなかったら寝てたでしょ~?」

「な!・・か、かたじけない!!」


改都は壁に立てかけてあったかなり長い「竹刀」の袋を背中に背負うと、雫を両手に抱えた


「ありゃ・・!?」

「お急ぎであろう!」


雫は改都に「お姫様抱っこ」されたまま教室の前まで送られる事になった。

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・・というワケで私は「勇輝改都」と申す者

現在輪舞第三中学校の剣道部副部長を務める学生にござる。

そして現在、部長のアルフレッド=マイトナー殿に挑戦するため、日々修練を続けております・・


「・・雫殿、到着いたした。」

「・・は、恥ずかしいから早く降ろしてください~(汗)」


・・は・・?・・そ、そうであろうか?

私は不思議に思いながらも、言われた通り雫殿を降ろす・・


・・言われてみれば周りの皆が好奇の目で私達を見ているような・・


「・・では、失礼する」


雫殿は最後に何か言おうとしていたようだが・・

まぁ、私も遅れてしまってはどうしようもないのでささっと教室へ向かおうか。

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きーんこーん・・かーんこーん・・(ちゃいむ。)


・・一時間目が終わると、あたしは三階の一年生の教室へ向かった

この校舎は四階建てで北と南に別れている。

四階は主に特別教室で、三階から下に行くにつれて大きい学年の教室になっている


・・咲妃ちゃんは同い年くらいで作ったんだけど、妹扱いの方が何かと都合がいいもんで(笑)


「お姉様!」

「やっほぉ・・ていうかあたしに用事あるの?」

「は、はい!!」


咲妃ちゃんは99.9%が人間と同じと言ったけど、それはあくまでも外見・成分上の話なワケで・・

実際には脳の構造やらなにやら細かい所で、スーパーコンピュータ並の情報処理・伝達能力があるのよ

・・そんな咲妃ちゃんだけど、あたしがデータ入力を少々ミスしたおかげで、なんだかポケポケした娘になっちゃったのよね・・

何か問題が起きても、自分で完全対処できる・・そういう機体を目指して開発したのに・・


「一足す一はどうしたら「田んぼの田」になるんでしょうか!?」

「・・・・はい?」


・・何を素っ頓狂な事を・・(汗)


・・聞いてみると、どうやら朝にクラスの友達が言っていたその話に納得がいかなくて、ずっと悩んでいたらしい・・

・・あはは(汗)


「・・いい、咲妃ちゃん・・一足す一はこう書くわよね?」

「はいはい・・」


あたしはメモ帳に式を書き込んでいく

咲妃ちゃんはふんふん、と頷きながらあたしの説明を聞いている


「・・というわけで、このように書くと田んぼの田と同じ形になるワケで・・」

「そ、そーいう遊びみたいなものだったんですか・・いや、てっきり新しい数式でも完成したのかと・・」

「・・ガリレオが聞いたら失笑するわよ。」


軽い突っ込みを入れて、あたしは肩を落としながら帰ってきた


・・ああ、なんでミスしちゃったのかしら・・

・・完璧にあたしの性格をコピーしたつもりだったのに・・


そう、本当は咲妃ちゃんはあたしと完全完璧、同じ人格を所持するハズだったのに・・


・・って誰よ、今「ミスしてよかった」って言ったのは・・?

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・・昼休み・・


僕は屋上へ向かおうとしていたんだけど・・その時、気になる光景を見て立ち止まった

・・いや、恐らく気にならない方がおかしい光景だけど・・

・・・剣?・・・


学生服の、当然だけどウチの男子生徒二人が・・「剣」で斬り合っている光景

・・時代劇さながらに、何度も鍔迫り合いと弾き合いを繰り返し・・

息をのむ戦いを、繰り広げている


一人は見覚えのある顔で、もう一人は青い髪の・・おそらく三年生だろうか、気合いの入った赤い鉢巻きを巻いている


「・・改都・・・・・」

「・・おお、裕司殿か!・・・すまぬな!今は用事の真っ最中につき・・・」

「あ、いいからいいから・・見ればわかるし。」


唖然としながら、周りの生徒も何人かが棒立ちして見守っている

改都とその三年生は、竹刀ではなく真剣でやり合っていた


「フン・・挑戦してきただけの事はあるな改都!!」

「アル殿・・今日こそお主より一本を頂戴する!!」

「取れるなら取ってみなッ!!・・剣聖奥義!!」


アル・・?ああ、アルフレッド=マイトナーとか言ったっけ?

確か三年生で剣道部の滅茶苦茶強い人・・

滅多に見かけないって言うくらいだし・・僕も初めて見たなぁ・・(この人ホントに学校来てるのかな・・?)


・・はて、今「奥義」とかいう声が・・?


「双・雷・・・破光刃!!」


・・そうらいはこうじん・・

アルさんが叫ぶと次には、衝撃波と雷が辺りに走っていた

すさまじい勢いの波動が改都を襲い、雷と剣撃が・・・・(どうやって・・?)


・・吹き飛ばされた改都の身体が、階段横の壁に叩きつけられる


「ぐうぅっ!!・・・」


さすがに真剣の攻撃を受けただけあって、改都の顔や身体の数カ所には切り傷があって・・血が・・

アルさんは改都の首に自分の刀を突きつけた


「・・・ダメージを軽減するとは・・前よりはやるようになったが、まだまだだぜ」

「・・無念・・くっ・・・」

「お前はまだ・・その「流星牙皇(りゅうせいがすめらぎ)」を使いこなせてないんだよ・・もう少しで今のもかわせるようになるさ」


アルさんは刀を鞘にしまうと、くるっと振り向いて行ってしまった

・・・何故か、急ぎ足で・・


・・とりあえず改都に話しかけてみる


「改都・・大丈夫?」

「心配ご無用、この程度軽い方でござるよ」


改都は少しうかない顔をしたが、すぐににこっ・・と笑って言った


「私もまだまだ修練が足らぬのだ」

「・・修練も結構だけどさ・・完璧に銃刀法違反だよ、二人とも・・・」


・・僕の突っ込みはささやかなことだったらしく、改都は聞いてくれていなかった(汗)

彼は背中に3メートルはあろう刀「流星牙皇」を背負うと、アルさん同様さっと姿を消してしまった


・・あの刀、長いから通行の邪魔だし、危ないと思うんだよね・・

なぜかいつも背負ってるし、先生も気迫に押されて黙ってるけど・・

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・・中庭・・

昼休みともなれば昼食をとるために生徒が集まってくる所・・

裕司達が屋上で昼食をとるのは一応校則違反なので、普通はこっちが主流である


・・その中にルインの姿があった

傍らにはどかり、と座り込んだ武の姿も・・


「・・遅い・・」

「・・ですぅ・・」


二人ともイライラした顔で、それぞれに誰かを待っていた


「悪ィ、遅くなっちまったな~」

「アルくんの遅刻大王~っっ!!!」


遅れてきたのはアル・・どうやらお昼を一緒に食べる約束をしていたらしい。

・・だからと言っていきなりフライングクロスチョップはどうかと思うが・・


「すみません、遅くなりました」

「おう・・遅れてきたのはいいが・・なんで「こいつ」までいるんだぁーっ!?


武は数騎の襟元を掴んで、がくがくと揺すっている

数騎の横には奏・・・武にとって幼なじみであると同時に天敵でもある女子生徒の姿があったのだ


「まぁたぁ~♪・・お昼一緒するくらいいいじゃないの・・ね♪」

「・・・俺、一人で食べるわ。」


武は風のごとき速さで消えていた

・・奏は決して悪い奴ではないし、外見もかなり「可愛い」部類に入るだろう

景同様、「大人しくさえしていれば」の話だが。


彼女の場合はストーカーまがい(いや、むしろそのもの)の行動で武につきまとい、恐れられている


「・・ちぇ・・」


奏はつまらなそうに舌打ちすると、その場に座り込んだ


「まぁ、武は後で追いかけるとして・・今はお昼にしましょっか?」

「・・結局追いかけるんですね・・」


数騎はいつもの事とは思いつつも・・・呆れ顔だった。


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・・放課後になると、いかに毎日がドタバタしていようとも静かな時間はやってくる

・・学校は人がいなくなればそれなりの静けさが漂うし・・後は一緒に帰る僕らの声くらいしか聞こえない

今日は部活帰りの忍と景を待ってて、日も暮れて少し暗くなってて・・

丁度良くメイちゃん、咲妃ちゃんも一緒に帰る事になった(この二人も天導寺邸の住人だし・・)


五人でふらふらしていると、忍がはた、とつぶやいた


「やべ・・ファイル置いてきちまった・・・」

「しょうがないわねぇ・・あたしも行ってあげるわ」

「裕司、お前は咲妃とメイを送ってけ。・・・おっと、送りオオカミになるなよ?」

「・・あのねぇ」


忍の冗談にちょっとがくん・・ときたけど、とりあえず僕はそうすることにした

・・いくら大分よくなってきたとはいえ、僕の身体はまだ休まないとすぐヘンな状態になってしまう


・・早く帰って、早く寝よう・・・


「行きましょうか、裕司さん」

「行こう、ユージ♪」


・・・咲妃ちゃんはともかく・・頼むからもう少しテンション下げてよ、メイちゃん・・・

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学校へ忍び込んだ忍くん(なんかややこしい・・)

すでに辺りは暗くなっていて・・ささっと帰らないと「何か」出そうな空気に・・


・・・ずる・・


・・このイヤな音は・・


あたしが忍くんを待って、学校の裏門で待っていると・・

引きずるような音と、かすかに立ちこめてくる霧・・・


・・奴が来る・・!・・こ、こんなトコでも!?

異形の存在を直感したあたしは、すぐにバッグからマルを取り出した


「ピィ~」

「座標セット、射出ゲート固定・・・・アリス、テイクオフ!!」


・・しーん・・・


マルにセットしたコードが届くと、本社の地下から直通でアリスが運ばれてくる

そしてその場所から最寄りのゲートに現れて・・あたしが操作することで起動・・


・・だけど・・ここって圏外!?

そんなぁ・・父様のバカぁ!!・・東京都全域を網羅しているって言ったのに~!!


・・後でわかった事だけど・・これは異形が現れる時の霧が、電波障害を引き起こすのが理由らしい

・・でも・・だったら・・・今異形に遭遇したらどうやって戦うの・・・?


・・ぉぉぉ・・・


「!!」


そういうイヤな想像はするものじゃないわね・・

まさに目の前に、路地を曲がって・・異形が現れていた

相変わらずの、その名に相応しい外見を備えた怪物・・


「・・忍く~ん!!」

「あいよっ!!」


忍くんはどこからとなく飛び降りてくると、異形に向かって木刀を構えた


「なぁに!いい加減俺だってこんな奴・・」


すぱん・・・

異形の腕が振り上がると、跳ね上げられた忍くんが宙を舞って・・木刀はどこかに飛んでいってしまった


・・どさっ!!


「うぐっ・・・・ってぇ・・・・・・やっぱ・・ケンカ強いだけじゃダメか?」

「ユウちゃんに連絡・・」

「アリスが呼べないのに電話がつながるか!!」


万事休す・・・!


「お姉様~!!!!」


・・そう思った時、だだだだ・・と駆けてくる音と、咲妃ちゃんの声が聞こえてきた


しゅっ・・・

空を切る音と共に、咲妃ちゃんがあたし達の前に降り立った


「生きてます!?ケガしてません!?」

「・・え、ええ・・」

「ひぇぇぇっ!?こ・・これが異形・・・(汗)」


・・にしても、いつ着替えたのか・・

咲妃ちゃんの服装はさっき別れたとき制服だったのに、今はメイド服に替わっている


「ほ、ホントに私はこんなのと戦えるんですかぁ・・・?」


・・あ、そうだ・・

咲妃ちゃんがここに来た理由を何となく思い出して、あたしは携帯電話を取り出す

ある規則に従って番号を入力し・・外線をかける


・・咲妃ちゃんの身体が、電気が走ったかのようにびく・・・と反応する

その目が・・鋭い光を放つ・・・

ただならぬ雰囲気・・・忍くんも驚いている様子


「・・命令は?」


静かな口調でさら・・と言うと、咲妃ちゃんは睨むようにこちらを見る

・・うん、完璧♪


「おい・・なんか咲妃の様子がおかしいみたいだが・・・?」

「セキュリティモードよ・・咲妃ちゃんはもう一つのモードを起動すると戦闘形態になるの!!」


あたしの解説も忍くんには胡散臭いものに思えたらしく、疑問の目を向けてくる


「咲妃ちゃん!敵の殲滅!!・・お願いね!」

「・・了解。」


だだだ・・と、今度は普通の走り方ではなく、まるで残像が残りそうな瞬発力で駆けていく

ミサイルより速く異形の目前に立つと、右から回し蹴りを放った


・・直撃・・異形は生物的な見た目にそぐわず堅い・・

アリスのように尺鋼を使っているならともかく、普通の人間が殴ってダメージを与えられるものではないの・・


・・でも今の咲妃ちゃんは違う。

・・超高速で放った一撃は10tトラックの直撃より痛いパンチ!

どこかの軍事用サイボーグと戦ったって勝てるんだから(笑)


「・・!」


あれ・・?

咲妃ちゃん・・止まっちゃった?


異形を殴り飛ばした後・・急に咲妃ちゃんの動きが止まってしまった

・・まさか・・今のでバグっちゃった・・!?


「あう・・あれ・・・・あ・・・???」


セキュリティモードから急に元に戻ったせいか、咲妃ちゃんは頭の中が混乱している様子・・

・・視界の隅で、異形が立ち上がるのが見えた


「さ・・・咲妃ちゃん!逃げて!!」

「え・・・?・・おね・・ぇっ・・!?」


ぐしゃっ・・・みし・・・っ


イヤな音・・・

咲妃ちゃんの身体に、ゆっくり異形のツメが食い込む音・・・

・・骨が軋んで、内蔵が潰れる音・・・


「・・あ・・・・・・・」

「!・・・・・・・・・・」


どが・・っ!!!


咲妃ちゃんが背後の壁に埋もれる瞬間・・異形もその体勢を崩し、壁に突っ込んでいた

・・青い騎士が同じタイミングで攻撃を仕掛けていた・・


「ユウちゃん・・!」


ブルーナイト・・ユウちゃんは咲妃ちゃんの姿を見て、一瞬固まった

・・咲妃ちゃんは胸を押さえたまま苦しそうな顔をしていて・・口元からは血が流れている

並の人間なら衝撃で即死・・だけど、あの娘はあたしが作ったんだから大丈夫よ。

・・でも、万全を期したハズがまさかあの攻撃に耐えられないなんて・・


「・・・・最大出力!・・で・・ぶっ飛ばす!!」


ユウちゃんは肩で息をしながらも、右腕に力を込める

・・咲妃ちゃんのケガを見たせいか・・

ユウちゃん・・ブルーナイトの周りに、波動のようなものまで見える

明らかに、ユウちゃんは怒っている


「・・消えろ・・!!」


叫んだが刹那、ブルーナイトの肩のブロックが閉じて変形を始めた


・・え?

・・頭部のバイザーが跳ね上がるように開き・・後ろにたたまれていたらしいブレードのようなものが起きあがる!

・・鎧甲冑のような姿だったブルーナイトは、背中に光の羽を纏い、バイザーの上がった顔には二つの鋭い目が輝いていた


・・進化した?


ブルーナイトのその騎士の外見は、バイザーを上げ颯爽と名乗りを上げるがごとく、堂々としたものになっている


「・・せぇいっ!!」


突っ込んでいくブルーナイト・・異形の攻撃はまるで、それを避けるかのように弾かれていく

そして、加速から一度にたたき込んだパンチは、異形の頭部を一撃の下に吹き飛ばしていた


・・背中から一本の「柄」のような物を取り外し、手に握る


「・・・・・こンの・・野郎ォォーッ!!」


ビームのような緑色の光が伸びて、その柄は剣の形になる

剣は大きく伸びて・・・


・・ざぐっ・・・・・・・!!


真っ正面から、縦一直線に・・・異形を切り裂いていた


・・崩れていく異形・・

そして、ブルーナイトはユウちゃんの姿に戻り、霧も段々晴れてくる・・


「・・はぁ・・はぁ・・・・・・・」


ユウちゃんの元に駆け寄ると、その目は虚ろで、今の変身の影響が見てとれた


「・・景・・咲妃ちゃんは・・」

「大丈夫よ、あたしがいればいくらでも治せるわ」

「・・よかった・・戻ってきて・・」


ユウちゃんは目を閉じると、気を失ってしまった

・・そうか、ユウちゃんは異形を感知してたんだっけ?


「二人とも俺が運ぶ、咲妃の応急手当くらいは・・・」


と、忍くんが言いかけた時だった

・・霧がまた、立ちこめてきたのは・・・


「!」

「何ィ!?」


よりによってあたし達の目の前で、異形がその形を構成した

・・周りから砂が集まるようにして、不気味な怪物が再び現れる


・・こ・・殺される・・・・!?


そう確信したか否か、せっかく集まったばかりの異形の組織は・・バラバラに拡散していってしまった


「・・え?」


二人同時につぶやく


・・その異形の影に、一人の騎士が立っていた

・・ブルーナイト・・?・・いや、違う・・・


黒と緑に彩られた騎士は、背中に鳥・・いや、天使の羽を従えていた

真っ直ぐ前に構えた右腕からは、硝煙のようにうっすらと煙がたっている

・・彼は・・一体・・?


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