T.C.UNIONRIVER ~ユニオンリバー社~

4話-前編

宇宙はとてつもなく広い
当然のように様々な人が住んでいたし、思想もそれぞれ。
だが・・
世の中に「過激派」という人はいつも絶えないのである
どうも極端すぎる考えは時として周りを気にしなくなるらしい
地球からいくらか離れた惑星「冥王星」
そこに「独裁国家」の建国を目的とする「帝国」が決起しつつあった。

・・なんていかにもスターウォーズのような展開が待ち受けているとはつゆ知らないユニオン一同。
今日も彼らののんびりと、それでいて殺伐とした一日が始まろうとしていた





 第四話
「木星へ。」



1・・「報告」
2・・「ロディ対メイ」
3・・「来訪者」
4・・「敵」
5・・「いきなりの混戦」
6・・「最後の咆吼」
7・・「祭日」













1・・報告

「マスター、前回の一件のことですが・・」
「ああ・・・なんだぁ?」
ロディはぐてー・・・とソファーに寄りかかったまま返事をした。
「・・少しはまじめに聞いてくださいね
あのときのギア軍団についてわかったことが・・
水中から現れた数機をのぞいて全部「AI搭載型の無人兵器」だったんです・・・」
「なに・・・?あれで無人だってのかよ・・
・・信じられねぇな・・」
急に真面目な顔をして答える彼だが、まだソファーにぐてり寄りかかっていた
仮にも真剣な男には見えない
「ま・・・まじめに聞いてくださいってばぁ!!」
「・・・んにゃ、なんとなーくな。(笑)」

2・・ロディ対メイ

「ボクが悪いんじゃないもんっ!!!」
「おめぇ以外にだぁーれが悪いっつーんだよっ!!」
・・十月十六日、午前八時過ぎ
その声は事務所百メートル隣のパン屋にまで聞こえたという
「お、お二人とも・・・」
ネスが仲裁に入るが聞いてはいない
ロディは完璧にキレて、メイは泣きじゃくりながら叫んでいる
・・こんなケンカが起きたのはほんの一時間ほど前・・
ロディがめずらしく早起きしたときまでさかのぼる

「おう!」
事務所のドアを開けるなり、ロディは言った
掃除をしていたネスが突然止まる
「ま・・・マスター・・・?
そんなバカな!?マスターがなぜこんなに早く!?」
「・・ネス・・おまえなぁ・・・」
なおも慌て出すネス
「これは・・・さては天変地異の前触れ!?・・
まさかっ!?いよいよ世界の終わりが・・・!?」
「・・おい!そりゃどーいう意味だっ!!!」
「はっ・・あ、すいません・・どうも取り乱しまして・・
はは・・なにせマスターが早起きするなんて、千年に一度くらいですから・・・」

ごすっ・・
キジも鳴かずばなんとやら
ネスはロディに叩かれて倒れた
「・・俺は亀かっつーの・・」
ロディはそういいながら自分のデスクへ向かった
ソファーにはメイが眠っていた
実に気持ちよさそうに、無防備に眠っている
・・いつものことだし気にも止めない。
「!・・・
そういやネスが飯作ってんだ・・
やべぇ・・・俺の朝飯っ!」
振り返った瞬間、メイが寝返りをうってソファーから落ちた
「へ・・・・・・!?」
その手に、ロディがタイミング良く引っかかってしまった
「どわぁぁぁぁぁぁっ!?」
・・どべ
顔面から倒れてしまった
しかも軽く羽織っていただけの上着から、各種のユニットがばらまかれる
「・・ふにゃ・・・?
・・・・・・・はれ?なにしてんのロディ?」
「・・・・・・・」
ロディは無言で立ち上がる
眼鏡をかけ直すとくるりと振り返った
「メイっ・・・・・・・!ちったぁ気ぃつけろっ!!」
「へ・・・・・・・・・・・?
な、なんでボクが怒られなきゃいけないのさぁ!?」
「お前が引っかけたんじゃねーかよ!」
「ボクそんなことしてないもんっ!」
「いーやお前が悪いっ!!」
がきっ
小さな音がしたのはそのときだった
「ふぇ・・!?
ろ・・ロディ・・・・ちょっとぉ!?」
彼の足下に先ほど散らばったレイノスの弾丸が数発転がっている・・
「うっせぇ!だいたいおめーは・・・」
気づかない・・・・・
・・・そして
・・どぉ・・・ん・・・・・
弾丸は暴発した

「・・・・・・」
メイの頬と肩口に、かすり傷ができている
「・・・・・・・・・・ロディのバカぁっ!だから言ったのにぃ・・・!」
「バカだぁ!?そもそもは俺をコケさせたお前に原因があるんじゃねーかっ!!」
こうなると責任転嫁のしあいである
・・で。
今、とてつもない大ゲンカに発展している

セルムラントの建国祭・・年に一度の祭典の、ほんの二日前のことであった


3・・来訪者

朝も早い海岸線・・
ケンカの次の日、十月十七日である
朝日も半分の早くから、剣の素振りをしているガンマの姿があった
「九千九百十一・・・・・九千九百十二・・・・」
とてつもない数を振っているのは、やはりロボット故の芸当だろう
いつもこうして朝を迎えるのがガンマの日課であった。

・・それから少しして・・
彼が事務所に戻ったときだった
「・・・・!」
階段を登りきったところで、彼のセンサーが事務所の中から異様な空気を感じ取った
・・・殺気・・・
壁に沿うようにしてドアへゆっくり近寄る
・・あと四メートル・・・三・・・二・・・・・・・・一・・・・
意を決してドアを開け放ち、素早く剣を構える
「・・・・・・」
無言で見つめるガンマの視線の先には・・・
赤いマント・・・があった
よく見れば赤いマントを着た、「赤い仮面のロボット」
身長こそ人間大ではあったがそこは同種のガンマ、すぐに正体をつかんでいた
「何者ですか・・・あなたは・・・」
炎皇と雹星を構えたまま問いかける
「あら?・・ごめんなさい。
勝手に上がり込んで・・」
赤い仮面はこちらを向くと笑いの混じった声で言った
「そうそう、自己紹介しないと・・・あたしはサイレント
ま、あんたと同じでIFRってヤツね」
「あなたは・・・まさかご主人達に・・・!」
ガンマの問いかけに、さらに笑いを交えて言う
「ご心配なく、なにもしてないわよ。
あたしはただ届けものしに来ただけ
あんな連中なんか知らない知らない。」
「・・・・」
「ここにおいとくから
そんじゃ、しっかり渡しておいてねー♪」
そういうと「サイレント」は窓から外へと飛び出していった
「・・何者・・でしょう・・・」
つぶやくガンマに、ただ一つわかることがあった
・・後頭部を殴られて気絶しているネスの姿
おそらく、サイレントに殴られたのだろう
昨日はロディで今日は謎のロボット・・・・・・全くついてない。
「・・・嘘つきということですね。」
剣をしまいつつ、ガンマはしみじみ感じていた

・・・で。
起きてきたロディ達(メイはまだ寝ていたが)にガンマはさきほどの事を説明した
「・・ほぉ・・
で、そいつが「これ」を置いていった・・・と。」
ロディは眼鏡をかけると、届け物・・何かの小包を手に取った
「ええ、そうです。」
「ん~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・どないしたんやあんさん、そないに長ぅ考え込んで・・」
「いんや・・・ちぃーとばかしそんなヤツに覚えがあるようなないような・・・」
「赤いロボットに限定してもいっぱいいますよ。
シャアザク、ズゴック、ゲルググにリックディアス・・
二十一世紀警備保障の「ダイ・ガード」に特務機関NERVの「EVA弐号機」・・
あとは・・「ジェノ・ブレイカー」もそうでしたっけ?」
「・・シュウそのへんでやめろ。」
「覚えてる限りで三十から四十はかるくありますね。」
「じゃ・・「サイレント」って赤いヤツがそん中にいたか?」
「いいえ。」
「・・・・・意味ねぇじゃんか
・・・・あー・・・くそっ!!なんか引っかかってんのに思い出せねぇ!!」
「ま、順を追って思い出すとして・・・
とにかくこの小包開けてみましょうよ」
いつの間にやら復活したネスが割り込む
はっとした一同は我に返るように視線を箱へと移した
「・・妙に軽いのが気になるが・・」
「意を決して一、二の三!で開けるんはどないや?」
「シードさんに賛成です。」
「僕も。」
「・・・よし、じゃぁ・・・いくぜっ!!(中身にめっちゃ期待をこめて)
いぃぃち・・・・・にぃぃぃぃの・・・・・・さぁぁぁぁんっ!!!!」
・・かちり
なんか小さな音が聞こえた・・・かと思えば・・
どぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん
修復したての事務所二階が、あっという間に爆風に包まれていた


4・・ 敵

「・・・・・・・・」
ラルフは空を見上げ途方に暮れていた
このように落ち込むことなど、この部隊に参加したとき以来はじめての事だった
「・・・そりゃそーだよなぁ」
リィズ、レオネ両名とともに署長に呼ばれたのは先ほどの話
前回のセルムラント攻防戦の報償か・・・と思ったのは甘かった
街への被害の件でくどくど説教をくらった・・
・・・それだけならまだいい。
グラス・バードの戦闘データがろくにとれていないと一切の装備を取り上げられてしまったのだ
「・・隊長・・・俺らって実験部隊でしたね。忘れてたけど・・」
「・・そーいうコト忘れてたの、理由の一つかもしれないわねぇ」
「とりあえず私たちが怒られたのはぁ、隊長の不時着命令のせいですから・・」
「・・・・・・ふふふ・・・」
レオネが正解。反論はできない。
笑うしかないリィズ。
・・・三人は同時にため息をついた

・・・そして、途方に暮れているのはSG隊だけではない
「・・・またぁ・・・またしても修理しなくてはならないのですか・・・・(泣)」
とっさのとき役に立つシュウのバリアとガンマの炎皇、雹星。
事務所はほぼ半分吹き飛んだが誰一人爆発にやられた者はいなかった。
「・・思い出した」
「は?」
「こりゃあいつの手口としか考えられねぇ・・
間違いない・・・・・・サイレントってヤツのマスターは・・」
そこまでロディはいつになく真面目にしゃべっていた・・が
・・がこんっ
突然飛んできた空き缶が頭を直撃し、セリフを止めた
「・・・ロディ、うるさい」
「め・・・メイ様ぁ!?なんということを!!?」
犯人は今起きたばかりのメイであった
昨日の今日で、ケンカは続いているのである
「おまえなぁ!!せっかく格好良く決めてたのに・・・・!」
「いやあの・・そういうことではなくてぇ・・・」
「ふ~んだ
ボクが悪いんじゃないモンね」
「・・・・・・・・一発ぶん殴る」
「マスターどうか落ち着いてください!!」
「・・・・・・・
・・・・・・・・・・・話の続きだ
堂々とこの事務所に爆弾置いていくようなことを命令するヤツは一人しかいねぇ
・・俺の昔いた組織の・・・」
「そしき?なんやそれ?」
シードの質問にはっとなるロディ
「ああああ!ああそうそう!いや、別になんてコトはねーぜ!?
なぁ・・・・・・なんでもない・・・・フツーの・・・・」
最後の方はだんだん言葉に詰まってくる
「フツーの・・・なんや?」
「・・・・・・犯罪組織。」
とんでもない一言はいつものことだが、今のは極めつけにとんでもない・・・
思わず固まる一同
滅多に驚かないシュウですら驚きを浮かべたまま固まっている
「・・・・・あの・・・・犯罪組織って・・・?」
「十六の時から一年間だ・・・射撃のウデは今と変わらずだったからな・・」
「なぜ?・・ロディはんがそんなことしとったようには・・(あ、見えるかもしれへん)」
「・・・仕方なく・・・
人質とられちゃどうしようもなくてな・・・・」
「・・人質・・・」
「そう・・・俺の相棒が・・・」
「ロディさんの相棒・・・・?」
ロディは普段は絶対見せないような表情を浮かべている
「ゼファーのマスコン・・・連中にパクられて・・・・・
・・・・俺がふがいないばっかりにゼファーが・・・
で、一年くらい働かされたかな・・・・
おかげと身体能力は上がってたから、ゼファーごと取り返してとっとと組織は抜けた。」
「・・・・・なんつー・・・」
「あの・・ひとついいでしょうか?
ロディさん、ギアのマスコンはその機体専用ってわけではないんですよ?
それにメインのデータはマスコンではなくギア本体のレコーダに記録されるんですけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
真っ白になるロディ
シュウの一言は痛恨のダメージとなった
「・・じゃ・・・・・・俺の一年は・・・・・・・?」
「残念やけど・・無駄ってコトやな」
「たぁ・・・単純な手に引っかかった俺がわりぃんだよな・・・・・・はは・・・」
ギアは根性で動く機械だと思っていたロディには、気づくことなどできなかった
「・・・いろいろやったんだぜ・・・
ミッションインポッシブルみてぇに工作活動したり(破壊系のお仕事)
どっかの首都高爆破したり・・・(破壊系)
テロリストに協力してビルぶっ飛ばしたり・・・(やっぱ破壊系)」
「・・・デインヂャラスな人生を送っていたのんやな・・・・(なんだか納得)」
今日、このよーな物騒極まりない人格が形成される上で、一番の出来事であった
それの反動かどうかはわからないが、十七の時彼はユニオン・リバーをここに開いたのである
「・・組織のボスはよぉーっく覚えてる
・・・ライゼル・・むかつく喋りでむかつく服装のむかつくヤローだった。」
「あの・・ちょっといいでしょうか?
そのライゼルって人からの手紙(らしきもの)が入っていますけど・・・」
シュウが爆発の跡から、何かの紙切れを見つけた
・・よく無事だったものだ
「・・・ってことはいよいよ俺の居場所がバレたか・・・
ちっ・・・そろそろ事務所を移転するしかねーな・・」
「あなたはどっかの泥棒ですかっ!?」
「・・冗談だ
・・俺にわざわざ爆弾送ってよこしたくらいだ
・・・・多分・・・俺に邪魔されたくない大きいコトをやるつもりなんだと思う」
「・・大きいこと・・ってなんやの?」
「・・わかんね。
・・少なくとも今月中にはやるだろーな・・」
「なんでわかるんです?」
「・・・なぁーんとなくな」
そういいながらロディはどこからか煙草を取り出して、口にくわえた
すかさずネスが右手で指さす
「煙草は二十歳になってからっ!!」
「・・たまにゃいーじゃねぇかよ、別に(現在十九才)」


そんな呑気な(?)会話が弾んでいたころ・・
言ってるそばから組織は、冥王星宙域ですぐに「計画」を実行に移そうとしていた
「今より・・我が冥王星圏は「帝国」を成立させるものとする!」
ライゼルという青い仮面の男が衛星を乗っ取り演説を行い、彼らの侵略は始まったのだった

SGが応戦を試みたものの敵はそれなりの準備を整えていたため、かなり苦戦を強いられた
帝国は太陽系内6つの惑星で同時に侵略を開始していたのである

当然、仮にも地球圏のSG隊の一つである8小隊は防衛任務に招集されるはずである・・・が
「・・肝心かなめのギアと戦艦取り上げられて何しろってのよぉ・・・・
いくら私らが下っ端だからって、そこまで無茶苦茶できないっての・・・」
「・・あれ、一応俺の所有物なのに・・(泣)」
空を見上げてぼやくリィズとラルフ
そんな二人にレオネがとある提案をした。
「一応作戦があるんですが・・・あの、ギアがあればいいんですよねぇ?」
「・・・そーいうことかしらね~」
「・・・俺は一応エースですから~」
苦笑いを浮かべつつ右手の親指を立てる二人
・・「なんでもいいからそれに賛成」ということである
「・・じゃあ、みなさん呼んできますぅ。」
「みなさん・・って部隊の連中?
そんな大がかりなもんなの?」
「ええ。
適当に口実つけて、ギア及び巡洋艦を取り戻すってことですけどぉ。」
「・・・盗むってことよ、それ」
「だからこそ全員で陽動するんです。ほら、あの・・と・・「と」何とかっていうあれに・・・」
「・・・レオネ・・あんた映画の見過ぎ。」
しかし了承してしまう彼女も彼女であった。
・・時間にして午後五時過ぎ
日も暮れつつあったころ、彼女らは事を実行に移した。


5・・ いきなりの混戦

「ブレードバッシャー発進準備!!」
「了解」
衛星港タケトンボ内
いつも通りに仕事に向け発進準備を続ける一同・・に見えたが
何気なくつけた衛星放送で例の演説を聞いたロディは目標を仕事から私事へ乗り換えた

・・現在五時
偶然にもSG隊の作戦決行と同じ時である
「通信、攻撃、防御システムオールグリーン」
「照準システムも完璧やで~」
「超伝導システム、クライン・バニシング・クラスター・システム動作確認。」
「・・・・・シュウ、今のぁなんだ?」
「いえ、ごくごく普通の超次元エネルギー発生装置のテストタイプです。」
「どぉこが普通だってんだよ!
・・・・いつもながら・・・
・・それよか今は奴らを潰すのが先だ
あいつらほっとくと何するかわからねぇ!(・・・・・でも事によっちゃ仕事は増えるよな)」
「今よからぬこと考えませんでした?」
「・・んなこたぁねぇよっ!とにかく・・
ブレードバッシャー全速発進!目標は帝国艦隊だっ!!!」
ごまかしながらもバーニアをふかす
「・・で、どこにいけば敵はいるんだ?」
一同の不安はおおいに残った。

当の帝国はといえば、主力艦隊を地球へとむけつつあるところである
その旗艦のブリッジには演説を行った仮面の男、そしてガンマの前に現れた赤いIFRの姿があった
「地球圏へ到達と同時に全兵器を起動、全力をもってSGを掃討する!」
「その際に・・例の兵器を使うのですね?」
「それに関しては任せたぞ。」
「もちろんでございます・・・このサイレントにお任せの程を」
その艦隊にはゆうにSGの十数倍はあろう戦力を所持していた
不景気で経費削減が進んでいたSGにとって
新兵器はおろかギアの量産すらも難しい課題であったのだ
そんな中途半端な部隊ではとてもかなわぬ相手である
しかし・・
そんなSGの中にも、不景気にめげず開発を進めていた部署があった
リィズらの一つ上の隊に当たる、中国大陸「開発課」。
彼女らの巡洋艦、ギア、銃火器類・・
至るものがそこに保管してあった
・・・もっとも、今は使用許可がされていないが
「よし・・リアクター起動しました!」
「陽動のみんな呼び戻して!発進口は吹き飛ばしていいわよっ!
この際手柄あげればなんでも免除されるんだし、怒鳴られるのはもう慣れっこだしね!!
あたしらの実力見せてやろーじゃないのよっ!!」
「了解しました隊長殿!」
パイロットはびしっと敬礼を決め、操舵桿をしっかりと握った
「三十ミリ機銃で破れますかねぇ、ここの装甲・・・」
「迷う暇なしよ!さあ撃って撃って撃ちまくって!!」
「は、はい・・」
レオネは・・いいのかな・・という感もあったが、そこは自分が言い始めたこと。
何の躊躇も遠慮もなく発進口に機銃を向け掃射した
・・・がっががががががが・・・・・・
軽快な音がして数百発の弾丸が装甲材を削った
ばり
妙な音がして発進口の上半分があっさりと吹き飛ぶ
機銃が首を動かすように下へと向いた
続いて、下半分も同様に外へ飛ばされていった
「発進口、確保できましたぁ。」
「全員収容完了!」
「よーし!軌道巡視艇「大空の盾」出港ぉ!!」
「・・・あの、隊長・・名前はまだしも・・いつの間にか肩書きが変わってますよ・・
たしか、この船ってふっ・・・・・・つぅ~の巡洋艦だったのでは?」
「ラルフ・・?便箋上の都合をいちいち気にしないものよ。
そうなったら筋書き通りやるの!それが警官のつとめってモンでしょ」
「了解しました。」
あっさりと了承。
「・・いいんですかぁ・・了解で・・・?」
そう言いながらレオネが見ている船の側面には、リィズがこっそり拝借してきた(笑)
レールガンやらなにやらありったけの武装がくっついていた
「・・もはや「強襲攻撃艇」ですねぇ・・」
「なぁーに、肩書きは「巡視艇」なのよ
他の船に捕まってもこれなら大丈夫、大丈夫!」

・・・出港直後、ただの十五分もしないうちに捕まるとは思いもしなかったが。

「亜空間離脱完了!
現在位置、木星より1,5光年の距離!」
「索敵システムにより周囲の探査を・・」
ロディがそう言わんとしたかどうかの刹那
モニターの端に何か、きらり・・と光るモノが見えた気がした
「・・・なんか見えなかったか?」
「いえ、全然見ていなかったもので・・・」
「・・どーせロディの見間違いでしょ」
「このガキゃあ・・・・・やっぱ一回張ったおす・・・・・!」
「ああちょっとマスタァ!?」
彼がシートを立とうとした・・・
そのとき
「レーダーに多数反応出現しました
帝国艦隊の主力部隊と思われます」
「・・出現!?
もしやステルスか光学迷彩か!?」
「ロディさん、名前違うだけで両方同じモノですけど?」
「突っ込むなっ!!
それより進路反転百八十度!一度下がれ!!」
もう一度、何かが光る
「やべ・・・・・・・・!?」
ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・
低くうなる音とともに、赤い光線がいくつもブレードバッシャーの機体を襲った
激しく揺れる艦内
「うわっち!・・・・ちっくしょ・・・・すでに射程内かよ・・・!!ネス!機体の被害は!?」
「そ、それが・・・・」
ネスは信じられない、という顔で(顔のモニターに?マークを写して)こちらを向いた
「なんだ!早く言え時間がねぇ!!!」
「・・一切ダメージなしです
いくら相転移フィールドでも二十秒が限度なのに、
なぜか九十秒以上続いているこの連続掃射に耐えられて・・」
「・・どーせシュウのクラインなんとかの仕業だろ?いいからとっとと反転百八十度!!
いくら何でも敵陣ど真ん中じゃ分がわりぃ!!」
「ロディさん、何とかじゃなくてクライン・バニシング・クラスターです
クライン・バニシング・クラスター。
正式名称では無限空間エネルギー射出フィールドシステム・・・
あ、意味はまた適当に考えてくださいね」
「・・・・・わーったから反転してくれよ・・・・・(泣)」
やっと攻撃も一段落したところでブレードは敵に後ろを見せて一気に急加速で逃げだした
当然のように敵はギア部隊と全武装を展開、攻撃態勢をとって追ってくる
「・・あの船は・・・ロディ君か。直に見るのはずいぶんと久しぶりだな」
ライゼルはその艦隊のど真ん中・・大型旗艦「ロンデニオン・ルート」のブリッジにいた
ブレードバッシャーの操舵はシュウからロディに変わっていた
時折宙返りなどをしながらひらひらと攻撃をかわしている(遊んでいるようにも見える)
「閣下・・たかが何でも屋など放っておき、まずは目的を遂行するべきではないでしょうか?」
「サイレント、そう思うのもわかるが・・・彼は我らにとって驚異だ
三ヶ月で幹部にまでなった男が窮地になれば、土壇場で何をしでかすかわからないのだよ・・・
イレギュラーは取り除いておかねばそれこそ後に差し障る」
「・・幹部・・?・・あの男がですか?
そのような技量があるようには見えませんが・・」
「それが恐ろしい所だ・・
彼の場合無謀に突っ込んでいるように見せて実は策を持ち歩いている事が多い」
・・実は本当にヤケで突っ込んでみただけだったりするのだが。
「・・・・警戒するに越したことはない
全艦に告ぐ、あの船を逃がすな・・・確実に沈めるのだ」

「おい!?高速機動モードのブレードバッシャーについてこれる艦隊ってどういうこった!?」
以前記した通り、この船は並の艦ではない。
ロストシステム満載の超高性能艦である
・・しかし帝国艦隊は、そのブレードを執拗に追ってきている
一隻や二隻・・の比ではない、数千の戦艦全てが・・・だ。
「シード!後方一斉射撃だ!
この際撹乱程度でもなんでもいい!撃ちまくれ!!」
「りょーかい!
・・レールガン、ガトランチャー、パトリレーザースタンバイ・・!
くらいや!一斉ぇぇぇぇ射ぁぁぁぁ撃ぃぃぃぃぃ!!」
四十二本のレーザーラインと、数十発の高速化された弾丸が先発の数機を凪ぎ払った
いくつもの光が花火のように点滅を繰り返す
「着弾確認!」
「よし・・今の内に逃げる!!」
「もうやだ。」
不意の一言にしばし黙り込むロディ
「・・・は?」
「・・・・ボク、ロディの言うこと聞きたくない」
ドーマのコクピットが表示され、ふてくされているメイが映った
「ったく・・・・そうこう言ってる時じゃねーんだよ!!
今は非常時だ!とりあえずゼファーの転送圏内まで移動して俺が奴らを叩く!
作戦があって逃げてるんだよ!わかったか!?」
「・・・・バカ」
そう言うと通信は切れた
直後、ドーマがブレードのカタパルトから飛び立った
「め・・・メイ様ぁぁ!?」
「あのバカ!?何考えてやがんだっ!!」

「・・ロディが悪いんだもん・・ボク悪くないもん」
ぶつぶつとぼやくメイ
・・ドーマはブレードを離れて敵艦隊の方向へと流れていく
すると、当然のように・・
どぉん・・
「うわっっ!?な!?なんでボクを撃つのぉ!?」
突っ込んできたドーマへ向け、当たり前のごとく敵艦隊の砲撃が集中した
超高速で迫るギア隊に袋叩きにあうドーマ
「は・・・!?・・う・・・・・っぁぁ!!!」
かろうじて避けるものの、防御する隙すらもない
数十条ものレーザーラインが交錯し、右手を肩口から奪った
「うわわっ!?うで・・ウデが!?」
言っている間にも攻撃が続く
「うあぁぁ・・やだよぉ・・・・やられちゃう・・・・やられちゃうぅっ!!!」
慌てるが・・・・時すでに遅かった
ドーマには腕が一本かろうじてくっついているだけの状態。
モニターには本体の「大破」を示す赤い文字が点滅・・
頭部が破壊されたために外の様子すらも見えない
「・・ふぇ・・!!」
そして・・エンジンリアクターへの直撃弾・・コクピットを襲う爆発。
あまりにもあっけなく、ドーマは閃光に包まれた

「め・・・・メイーっ!!!!!」
ロディは遙か彼方に遠ざかった小さな光を確認した
「・・・・おい・・・・たかがケンカで死ぬこたぁねーだろ・・・・・」
「そ・・そんなバカな・・・
・・メイ様が・・・」
ブリッジにいた全員がしばしレーダーに見入っていた
ドーマを示す緑のマーカーが、静かに薄れていく
「・・識別反応完全に消失しました。」
「・・俺のせい・・・だよな・・・
ちくしょ・・・・悔やんでも悔やみきれねぇじゃねーかっっ!!!」
「あの、悔やむのはちょーっと待ってください・・
レーダーもう一度見てもらえませんか?」
「・・は?」
シュウの声にロディは目線をずらした
先ほどのレーダーに、やはり無数の・・何十隻もの敵艦隊を示すマーカーが点灯している
・・その隣にはそれらを超越するエネルギー反応を表示した新しいマーカーが出現していた
「・・・おいシュウ・・・こりゃなんだ?」
「さぁ・・・何でしょう・・・?」
「なんだか聞いてんだよっ!!!」
「・・お忘れですか?ご主人は・・・・・」
ガンマが何かを言いかけたとき、後方の一隻が突然爆発を起こした
「うおっ!?」
直後に「赤い光弾」が通り抜けていくように見えた
通常、レーザーなど光線兵器にしても一応直視できるはずだが・・
「・・・・・いってぇ何が起きたっつーんだよ・・・・・・・?」
「・・・ふぇ・・?」
ふと、妙な感覚にとらわれた
モニターなどが「見えない」のになぜか宇宙が自分の目の前に広がっている
宇宙といえばドーマのコクピットかブレードのブリッジからしか眺めたことがない光景だ
・・しかし今、自分の目の前をガラスの一枚もなく直に宇宙が覆っている
ドーマが消滅し、宇宙に放り出されたにしても身体に爆発の影響・・痛みの一つもない
ましてやちゃんと呼吸ができている
・・が、それら疑問は自分の手を見たら一瞬にして消えた
緑色の装甲が下腕部を包んでおり、その上手首から先を黒い装甲が包み込んでいた
・・さながら、ギアの腕のように
「・・・あ・・・そーか・・・
ドーマと合体しちゃったのかな・・・・・
ボクって「せぷたー」だっけ・・忘れてた忘れてた」
・・無機物であれば融合し、身体自体を強化できる
彼女の細胞一つ一つにあるナノマシンが、身近にあった素材・・「ドーマ」を吸収した
外見から見れば彼女の姿は、「羽の生えた妙な緑色のギア」であった
「よぉーしっ!そうとわかればぁ・・・!」
メイは羽を避けて背中に手を回した
やはり、大破したキャノンもしっかり変化して復活している
「いけいけいけいけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!!!!!」
所かまわず撃って撃って撃ちまくる
巨大化したキャノンからは超高速の赤色光弾が連続して放たれた
・・ところがギアを操作するのと自分で撃つのとは大違い
普段の砲撃は命中精度が高いのだが、残念ながら敵に当たった弾は一つも無かった
「・・あっれぇぇ・・・?」
実はブレード後方の戦艦に一発が命中、遙か彼方では大当たりしていたのであった。

「・・なんだかしらねーが・・
まぁ無事ならそれでいい・・な。」
「ゼファーの格納庫への転送完了
ロディさん、誰か援護に行かないとメイちゃんまたやられちゃいますよ?」
「確かにそりゃそーやな(珍しく真面目)
セプターといえどドーマであの数と戦うんはちぃーときついで?」
「よぉーし・・
シュウ!ブレードに傷つけんじゃねーぞ!!」
「てゆーかつきませんけど。」
バリアシステムの説明書を「ずい」と見せつけ答える
「・・そだな。」
なぜかさわやかに笑いを浮かべるロディ。


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