T.C.UNIONRIVER ~ユニオンリバー社~

第01話-8

「待たせたな!」


ロディは叫ぶと、倉庫のドアを蹴り倒した

・・鍵がかかっていたから・・である

アルトでやったように、非常識な判断が目立つように感じるのだが・・


がらがっしゃーん!!


真っ暗な第三倉庫の中に、ゆっくり歩いていく・・


「てめーが誰で、何でよりにもよって俺の妹達を誘拐したかしらねーが・・」


奥へ歩みを進めながらぶつぶつと・・やや格好つけてつぶやく


「・・絶対に許さん!」


そしてレイノスを闇の向こうに構える


・・反応がない・・?


「どうした?臆したか!・・・返事の一つくらいしてみろ!」

「マスター!!どこにいるんですか!?」


声は闇の向こうではなく、左手のナビから聞こえてきた


「・・ンだよネス・・さっき指定された「第三倉庫」に決まってるだろ?」

「あのねぇ・・しっかり読みなさいよ・・「十三倉庫」

「は?」

「第十三倉庫ですよ、指定の場所・・あなた「十」の字どこにやっちゃったんですか?」


照れて一瞬顔を真っ赤にするロディだが


「・・な事してる場合じゃねぇ!じゃあ俺は行ってくる!!」

「今私たちも向かってます!無茶しないでくださいよ!!」

「保証はできねぇぞ。」

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「改めて・・」


ロディは十三倉庫の中に入ると、今度は薄明かりがついているのを確認した


「てめぇが誘拐犯か?」


照らし出されている男は、にや・・という笑みを浮かべる


「・・俺をお忘れか、ローディス=スタンフォード?」

「・・誰よ、お前」


ずるっ


「・・ゲイル=プライズマン・・アルトの警備主任だ・・」

「あ、ああ・・・・さくっとやっちまったもんだから全然覚えてなかった、悪ィ」


ゲイルはわなわなと震え・・かっと目を見開くと叫んだ


「貴っ・・・様ぁぁーっ!!」


彼は手にした拳銃をやたらに乱射する

彼の周り、薄暗い所に潜んでいた彼の部下も、一斉に銃弾の雨を浴びせてきた

しかしロディはひるむ様子もなく、また上着に手を入れると、小さな手榴弾のような物体を取り出し、床に叩きつけた


どぅ・・と煙のような物が巻き上がる


「煙幕か!?」

「残念だが・・!」


ばき、という音が聞こえて、ゲイルから離れていた一人が声を上げた


「そんな容易いモンじゃねぇ」


煙の向こうからは、ロディの余裕ぶった声が聞こえてくる


「ナノ・ミストって便利な武器封じだ。ちなみに今調合したヤツだと火薬が炸裂しなくなる・・」

「格闘戦に持ち込む気か!?」

「違うね」


赤く細い光が、ゲイルの横を通り過ぎる


「レーザーライフルッ!?貴様!正気か!?」

「ああ・・ちょーっとキレちまってるけどな♪」


ミストのせいで彼の姿は見えないが、恐らく今彼の顔は世にも恐ろしい笑みを浮かべているに違いない

・・そうこうしている間に、ゲイルの横にいた部下までもがレーザーを肩に食らって倒れた


「ひ・・人質の事を忘れたのかっ!?」

「そんなモンもうないぞ」


ロディはなおもレーザーを放ちながら、聞こえてくるエンジン音を確認した


『・・マスター、メイ様とセラ様の救出、完了しましたよ!』

「つーわけだ、わかったらとっととこの「正義の味方」様に成敗されろや、ゲイル君?」

「くっ・・!・・貴様ぁ!!」


ロディは適当に乱射していたレーザーライフルを構えてミストが晴れるのを待つ・・が・・


「いない・・?」


ミストが晴れても、ゲイルの姿はない


『ここだ!』


上から、エコーのかかったゲイルの声が響いてきた

二階か、と見上げるがそこにも姿はない・・

その、さらに上・・


「まさか・・ギア!?」

『大当たりだ・・褒美をくれてやろう!!』


ごぉぉぉ・・ん・・


ロディの目前に、巨大な爪のついた鋼鉄の腕が突っ込んできた


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『ふふ・・ふ・・』


ゲイルはロディを倒したつもりで、達成感から来る薄気味の悪い笑みを浮かべていた

先ほどの倉庫内ほどではないが、薄明かりしかないこの「コクピット」も少々暗かった

ゲイルが乗り込んでいるのは「ギア」と呼ばれる二足歩行ロボット。

ギアは様々な用途に使われる汎用機である

彼が乗っているのは型式番号にして「G-N/58」


Gは「ギア」-の次に来るのはその機体の種類・・Hなら「人型(ヒューマノイド)」、Nなら「非該当型(ノーバランス)」といった具合だ


全長10メートルを基本とした機体は、やはり対人兵器として使用すると最大の驚異となる

彼の乗っているギアは「ファントム」という名称、違法取引で手に入れた品の一つらしい

「かっ飛ばせ!」

『何っ!?』


勝ち誇る紫色の、巨大な爪の機体・・

その横を、崩れた倉庫の中から飛び出した「トランスポーター」が通り過ぎる


『仲間か!?』

「残念だったな!この程度で死んでたまるかよ!!」

『おのれぇぇ!!!』


急いで転身するファントム


がががががっ・・

頭部に装備された四つの機銃が火を噴き、ラディオンを襲う


「シュウ!避けろよ!!」

「了解してます。」

「次の角曲がって逃げろ、俺が足止め・・いや、片づけてくらぁ」


そう言うとロディは百数キロで走るラディオンから・・・飛び降りてしまった


「お兄ちゃんっ!?」

「心配するなぁぁぁぁぁぁ・・・」


ざざざざ・・・と地面を転がり、彼はホコリをはらうとゆっくり起きあがった


「・・うむ、我ながらナイス着地」


妙なコメントを残し、ロディはレイノスに妙なカードリッジをセットした

アンテナのような、レドームのような・・


「出番だぜ・・相棒っ!!」


ファントムはそうこうしている間にロディの目前にまで迫っていた

ロディがレイノスのトリガーを引いた瞬間、足下から魔法陣のように円形の幾何学模様が現れた

中から・・ゆっくりと一体のギアが姿を現す


『なんだ・・こいつは!?』

「そりゃ「相棒」・・だよ、俺の最高のな!!」


すたっ・・


幾何学模様から上昇してくる機体の肩に飛び乗ると、ロディは背中のハッチを開いて飛び込んだ

内部にはやはりゲイルのファントムのように、薄暗いコクピットが存在している


違うのは・・それがシュウによってカスタマイズされ、しかもロディ用にいくらかのインターフェイスが追加されているという事だ


「・・起動キー照合完了!・・スタンド・オン、全回路起動!!」


暗い中、埠頭のわずかな明かりに照らし出される白い機体・・

ラインに取られた青い色、頭部の、くちばしのように鋭く飛び出した赤い色・・

マントを着て剣と盾を持っていたならば「騎士」とでも呼べそうだ


『言っておくが俺は手加減できねぇぜ・・』

『く・・』


やや尻込みするファントム

明らかにゲイルは、ロディの機体に圧倒されていた


『行くぜ!「ゼファー」!!』

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