第06話-3

S.Gの資料室で事件に関する資料を調べていたレオネ・・・

いや、彼女が途中で眠ってしまったので代わりに先ほどの護衛隊員2人が資料を調べていた


「・・よく考えたらS.G支部がここに完成したのって、少し前だもんな」

「当時の現地警察の資料をまとめたのがあっただろ?」


資料はほどなく見つかり、苦労の末にレオネを起こすと隊員の片割れが概要を読み上げる


「・・「メイナード=アーシュタット」事件についての記述」

・・被害者は街の住人12人、内2人は被告の両親であるアーシュタット夫妻

被告は両親殺害の後10人を刃物により刺殺、遺体の損傷からは尋常とも思えぬ犯行形跡が認められる

警察によって保護された少女は捜査員の問いかけにも無反応・・・


「アーシュタット?」

「あの娘の名字は確かリィオン・・ですよぉ?じゃあ・・やっぱり違う事件なんですねェ」


にっこり笑ってレオネがつぶやいた


「・・にしたって・・データが似通っている気がするんですが・・血液型、DNAデータ・・」

「偶然でしょう」

「ぐ、偶然で済ませられるんですか・・??」


資料室のドアがいきなり開いた


「三佐!!外で・・・じゅ・・銃撃が始まりました!!」

「じゅーげき?」


資料室から一歩出ると、レオネ達の耳にもその音が聞こえてきた

・・大変な事が起こっているのはあっという間に理解できる


「今ロビーで応戦しています!」


レオネの横をすり抜けるようにして二人は走り出す

レオネはぼ~っ・・・とそれを眺めていた


「さ・・三佐!!何してるんですか!早く!!」

「・・え?あ、ああ・・わかりましたぁ」


しかしレオネは微笑むだけで歩みを速めようとはしない


・・この調子じゃ・・・来るだけ足手まといか


改めてその性格を理解するS.Gの皆だった

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・・今も銃撃が続いている

隊員達は支部の入口・・ロビーに集まり、ガラス越しに外から放たれる攻撃に応戦している


「クソっ!・・何人いやがるんだ!?」


大型のガトリング砲でも使っているのか、すさまじい銃撃が襲う


「サブマシンガンくらいで対抗しろってのかよ!?」

「しょうがないだろ!敵がドコにいるかも誰なのかもわからないんだ!!」

「・・待て、この音・・・」


・・ヒュ・・・ゥゥゥ・・・


空を切る音、空から何かが近づいてくる・・・


「砲撃・・だ!?」

「急げ!ロビーから撤収しろ!!」


逃げる・・というより、もう間はないため全員が跳んで物陰に伏せた


どっ・・ぉぉぉ・・・・


爆発はロビーを飛び出し、支部施設の前半分をほぼ吹き飛ばしてしまった

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「警察機構相手にここまでする事は・・」

「あんなガキの仲間など皆殺しで良い・・」


外では襲撃者達・・「あの街の住人」が殺気立っていた


「・・俺の弟はあのガキに殺されたんだぞ・・?ただ、その場に居合わせたってだけで・・!!」

「死んだと知らされた犯人が生きていたとなりゃ、黙っていられるか!!」


・・支部施設を包む煙・・夜の闇を照らすように炎が燃え上がる


「後の事は知った事じゃない・・誰が死のうが構わない・・あのガキを殺せれば十分だ」

「・・?・・・アレはなんだ・・?」


煙の奥から・・炎とは違った光が見えてくる

二つの目のように光る、淡い水色の光・・

・・セプター化したメイ・・羽根は展開していないが、その姿だった。


「・・あの化け物・・・!?」

「出やがったな・・てめぇを待ってたんだ!」


住人達はマシンガン、ライフルなど得物を持って飛び出し・・次々とメイに襲いかかる


「・・・・そうだよね・・ボクが殺したんだ」


怒り狂う皆にはその声が聞こえていない

・・メイの思考は完全に混乱していた

昔の記憶がない、同じ名前の少女の事件、住人達の反応、自分がここへ来た理由


・・ボク自身で決着をつけろ・・って事でしょ?・・・殺されろ、って言うんでしょ?


事務所を出たときのあの衝動・・不快感は、ガンマの考えたように「セプターになったための闘争本能」ではない

自分の過去を清算しろ、というどこかに眠っていた自分自身の感情だったのか・・


「・・あははは・・・・殺せばいいよ、ボク・・ころされなくちゃならないんだよね・・・・」


メイはセプターを解き、元に戻った

リボンはなく、長い髪を風が流す

・・されるがままに攻撃を受ける

・・血飛沫が飛び、銃の反動をもろに受け、刃が突き刺さり・・・普通の人間なら、死である状態へと近づく


「・・わかってるけど・・・・でも痛いよ・・死にたく・・なんか・・・」


あえて再度のセプター化はせず、じっとその傷みに耐える

・・立っている事が出来ず、その場に倒れてしまう


「メイちゃん・・!?」


隊員を率いて現れたレオネは、青い顔をして声をあげた


「・・ボク・・それでも死ななきゃならないの・・・?・・覚えてないけど、悪いことしたから・・死ななきゃならないの・・?」

『ンなワケねーだろバカ野郎!!』


どどぉぉっ!!!


マシンガンの音が聞こえて、住人達の周囲を銃撃が襲う


「・・・・・っ・・?」


気の遠くなりかけていたメイの目に、その姿が映った

白い巨人・・以前のそれとは違い、身長は5メートルくらいになっていたが

・・「ゼファー」だ。そして搭乗者は、血のつながりのない兄・・


『お前!そんな昔の事苦にして死ぬつもりか!?』

「・・・・・」

『悩むなんてお前らしくもねーだろ!!ノーテンからっきしのくせに!!このバカっ!』

「・・・・・・・・・・」


瞬間、身長の縮んだゼファーにセプター化したメイの右パンチが叩き込まれた


『どっ・・・・』


ずっしゃぁぁぁ・・・と、地面を滑るゼファー


「バカバカ言うなぁぁ!!・・・・ボクはァ・・バカじゃないッ!!」

『・・そ・・そりゃ結構だが・・いきなりぶっ飛ばすな・・よ・・(がくっ)』

せっかく助けに来たロディは、あっけなくダウンしてしまった

単純な理由に怒ったメイ・・セプター化した彼女は、右手を深く握り込む


「・・ボクは・・・」

「殺せ!!」


後ろは振り返らない

・・住人達は真っ直ぐこちらに突っ込んでくる

・・しかし・・動かない

握った右手を大きく振り上げる


「・・ぜったい・・・」

「死ね!殺された皆の敵だッ!!」


・・全身を大きく振るわせ、背中に大きな天使の羽根を開く


「ンな昔の事で殺されて・・死・ん・で・・たまるかぁーッ!!!!!!


キレたメイはロディのように叫び・・そのまま、躊躇することなく攻撃を開始した(汗)


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