T.C.UNIONRIVER ~ユニオンリバー社~

第06話-L


本気・・本当の意味で「キレ」たメイは先ほどまでのされるがままの状況を一転した

攻撃、腕ではらいのけ回避、攻撃、かわしてそのまま拳の一撃、攻撃、受け止めて得物をへし折る・・

攻撃、そのまま受けてカウンター、攻撃、攻撃でそのまま返す、攻撃、銃弾などセプターの装甲には無意味・・


「・・ボクが悪かろうがなんだろうがもう関係ないね・・・ヤだって言ってるのに仕掛けてくる!ならみんな悪いヤツだッ!!」


ロディにバカにされたのはそこまで効果的だったのか、いつものペースを取り戻した彼女に人間・・

それも、一般人などかなうハズもない


レオネ・・いや、周りの真面目な隊員達ですらぽけ~っ・・と眺める中で、メイは次々と住人達を「畳んで」しまった

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「いいですかぁ?・・いくら身内が殺されたからって、敵討ちなんてしたら御法度なんですよぉ・・?」

「幸いあの娘が死なない身体だからよかったようなものの・・ですね(汗)」


縛り上げられた住人達が崩壊した支部の前でレオネに説教を食らっている


「・・だが、事実は事実だろう」

「俺たちの家族はあのガキに殺されたんだ、犯人は死んだってずっと聞かされてたから忘れるつもりでいたのに・・」

「・・本人目の前にすれば普通、忘れてたモンも思い出すってんだよ!!」


住人達はなおも殺気立ち・・レオネの頬を汗が一筋伝った


「・・う~ん・・・そうなると・・困りますねぇ~・・・・」


一方・・メイはさっき殴り倒してしまったゼファーの背中に取りついていた

空気の抜ける音がして・・静かにコクピットカバーが開く


「・・ロディ、生きてる?(汗)」

「あー・・・・・ぐるぐる目ェ回して死にかけたがな(怒)」


ゼファーの態勢が態勢のため、ロディは逆さになったまま凄みをきかせる

殴りかかりそうな勢いにメイが一瞬怯えるが、ロディは腕組みをすると説教ではなく、珍しく真面目な口調で語り出した


「・・シュウが全員のデータを調べられる・・「持っている」のは知っているな?・・だからあいつには隠し事ができない」

「う、うん。」

「・・逆に、シュウのヤツは俺たちに隠し事をしているワケだ」

「うん・・・?」


きょとん、とするメイ


「今から9年前・・お前がだいたい3つか4つくらいの時だとよ・・とーさんかーさん含めて12人殺っちまったらしい」

「・・そう」


残念そうにつぶやく

・・やはり、人違いでも何でもなく・・あの人々の怒りの原因は、過去の自分だった


「だがな、お前のせいってだけじゃないぞ?・・お前のとーさんかーさんってのはヒドイヤツで・・」


ロディは、事務所を出る際に突然シュウから手渡された「それ」を見せた

・・まずシュウが地下室からよく出てきたものだ・・と思った後で「それ」を見てちょっとした畏怖を覚えた

それはメイの両親・・アーシュタット夫妻の写真だった。何故か、顔の部分だけが刃物で切り裂かれている・・


「・・語るも酷い虐待を続け、お前はストレスと身体疲労から精神崩壊、ある時ちょっとしたはずみから・・」

「おとうさんとおかあさんを殺しちゃった・・んだ。」

「そのまま街を徘徊し、近づいた者10人を全て、いずれも刺殺」


ロディはメイが泣いているのも気にとめず、一通りの事を話して聞かせる

・・過去に何があったのかは知りたいが、決して面白いモノではない

いっそ「実は異星人だった」とか、「どこかのお姫様だった」みたいなベタな過去なら笑い話で済むのに・・


「警察に保護された後で「施設」に送致、以後施設において・・「死亡」だそうだ。」

「でも・・ボクは・・?」

「そうだ、お前は生きてるな?・・・死んだのは「アーシュタット」って名字のメイだ」

「・・ふぇ?」

「要するに・・だ・・・うぐ・・・(汗)」


ロディは頭に血が上ってきたので、いい加減にシートベルトを外し、ゼファーのコクピットを降りる

・・よろけるように、泣いているメイにいきなり抱きつくと肩を軽く叩きながら言う


「・・「リィオン」ってお前の爺さんはお前を引き取って、治療して、別な人間として育ててくれたんだよ」

「じーちゃんが・・?」


メイの記憶・・自分のものとして残っている部分がよみがえる

気が付いたら一緒にいて、気が付いたら一緒に暮らしていて、気が付いたらとっても楽しく遊んでいた相手・・

・・自分の祖父、「じーちゃん」と呼んでいた育ての親、「アルザード=リィオン」

残念ながら彼は少し前に他界してしまったが、その際の遺産騒動でメイはユニオンリバー社と出逢う事になったのだ


「よかったな~お前の爺さんは隠蔽工作が出来るほど金持ちでさ~・・俺の母さんはそんなに稼ぎなくて・・」

「・・ヘンなトコに感心しなくても・・」

「まぁ、負けないくれェにいい人だったんだぜ?俺の母さんもよォ(笑)」


ぎゅっとメイを抱きしめながら、ロディは笑う


「痛い痛いっ!!・・苦しいってばっ!!(泣)」


メイが泣き叫ぶので、ロディはぱっと手を離してその肩に置いた


「今ここにいるお前はメイナード=「リィオン」だ、忘れるな?・・何なら今は「スタンフォード」って名乗ってもいいんだ」

「・・そっか、兄妹だもんね」

「過去だのなんだの関係ねーよ、楽しくやれりゃぁそれでいーだろ?なっ♪」


「ふざけるな!!」


楽しい雰囲気になってきた所に、水を差すように激昂が響き渡った

レオネ達に説教を食らっていた住人達がざわめきたっている


「見逃せ?過去の事は忘れろ?・・警察がそんな事でいいのか!?有罪の犯人を許すのか!?」

「いえ~・・だからぁ、私はぁ・・・」

「今すぐ殺せ!・・あいつが生きているだけで腹の虫が修まらん!!」


・・ずぅ・・ん・・

ギアの歩行音で住人、S.G隊員一同が同時に音の方を振り返る

・・ゼファーがマシンガンを右手で振り回すように遊ばせながら、こちらを見下ろしていた


『聞いてりゃ随分な話をしてるじゃねーか?・・・そんなに人殺しが好きかねェ・・?』

「・・誰がそんな話をした!?」

『お前らだよ・・っつーか・・俺、今無性に腹が立ってきたぜ・・』


ずがっ!・・とゼファーが投げたマシンガンが地に落ちる


『・・てめぇら、無抵抗の人間をどうこうするのが楽しいか?』

「何だろうと構わん!そこのガキだって油断させて、無抵抗の人間を切り刻んだんだぞ!?」

『・・だったらどーしたァ!?』

「いっ・・・!?」

『・・メイは記憶にない出来事に悩んで死のうとまでした!・・それで許せないってんなら今度は俺が許さねぇ!かかってこい!』


・・さすがに住人達も黙り込む・・


『・・へッ・・まぁ、わかればいいんだよ・・・わかれば♪』


ロディはゼファーを転身させて、マシンガンを拾い上げた

そのまま数歩前進し・・満足したように笑った


・・が。


『・・気が変わった』


ゼファーが転身し、その目を不気味に輝かせる


『・・・よーく考えたらよ・・お前ら生かしておいたらいつまたこういう事態になるか分からねェし・・

やっぱ、今ここで全員「殺す」か♪♪♪


もちろん本気ではないのだろうが・・端から見ればそれは本気で掃討しにかかっているようにしか見えなかった(汗)

・・そしてゼファーは一晩中暴れ続けたという・・(笑)


「て・・停止しなさい!!死人が出るって!?」

『・・「後顧の憂いは絶つ」、久しぶりにお師匠の言葉を実行してるだけでィ!!』



メイはその光景を見ながら笑っていた

・・しかし、先ほどの話に不思議な点を見つけて今更のようにびっくりする


「・・!」


・・そういえば、ロディがおかあさんの事話すのって初めてだよね・・?

彼女は何となく嬉しくなって、またいつものように笑っていた

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11月後半・・

セルムラントにも本格的な「冬」が訪れようとしていた

しかし・・


ユニオン事務所に、暖房器具は小さなストーブ一つしかない。


この季節になると自然と、事務所の机の位置が応接用のソファーの近くに固まっていた

・・真ん中にストーブが置かれ、それを効果的に利用するためらしい(汗)


「・・・バッテリーが凍ってしまいそうな寒さですね・・・」

「ふむ・・その点燃焼動力の私は大丈夫ですな」


ガンマは炎皇を磨きながら普通に返した


「・・ずる・・」


ロディはいつもの服装で上着を羽織っているが、やはり防弾性とはいえ薄いシャツ一枚に重いだけのジャケット一枚

・・かなり・・・寒そうだ。


「・・そろそろ冬服に替えた方がよさそうだな・・」


彼の服(シャツ)は全部で3種類

・夏服

・冬服

・対砲弾防護服(笑)


それぞれに防弾性と季節に応じた能力を持っているらしい


「おはよ~♪」

「あ、おはようございますメイ様・・・・・・って・・」

「・・ご主人、今日はなにやら服装が変わられましたな?」

「うん♪」


ロディが何気なくメイに目をやると・・

彼女が着ていたのはいつもの青いロングシャツではなく、、先ほどロディが言った黒いシャツ「冬服」だった


「ば・・バカ野郎!なんで俺のシャツ着てるんだよっ!?」

「ふぇ?・・いーじゃん、ボクのシャツあの種類しかないから寒いんだもん」

「・・だぁぁぁっ!!そ、そうじゃなくてお前!女が男のシャツ着るってのがどういう事か・・・」


ロディはそこで言葉を切った

・・言うだけ無駄だ、こいつ絶対聞かねーし、第一無茶すりゃまた殴り倒されるに決まってる・・(汗)


「・・・好きにしろ、ったく・・・」

「ありがと♪」


メイは振り返り様に小さくこう言って、出て行った


「お兄ちゃん。」


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NEXT-EPISORD・・

第07話「天才と謳われて」




セラ「よかったぁ・・お姉ちゃん、踏ん切りがついて♪」

ロディ「・・ま、そういう事だな」

セラ「・・お兄ちゃん、ところであのシャツ・・あげたの?」

ロディ「ン?・・・しょーがねぇだろ・・返せって言ったらブン殴られるに決まってるんだから・・ったく、どっかのガキ大将かよあいつは(汗)」

セラ「いいなぁ、私も・・」

ロディ「・・いっ・・・?」






・・第06話・・・終・・・・・


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