リュウちゃんの懐メロ人生

2017/08/27(日)19:51

ブリューゲル「バベルの塔」展を観に行く

美術鑑賞(5)

雲を突き抜け、天に伸びる「バベルの塔」 ブリューゲルの大傑作、24年ぶりの来日、 先日、大阪・中之島にある「国立国際美術館」で開催されている<オランダ・ボイマンス美術館所蔵・ブリューゲル「バベルの塔」展~ネーデルランドの至宝=ボスを超えて=>という展覧会を観に行って来ました。 <ブリューゲル「バベルの塔」展公式HP> http://babel2017.jp/ ピーテル・ブリューゲル一世(1525年頃~1569年)の「バベルの塔」につきましては、その壮大で細密な画面に昔から憧れていました。 何と凄い細密画なのだろう! 実物は更に凄い絵に違いない、 実物を観たい! 大阪の「国立国際美術館」に足を運ぶのは、今年3回目です。1回目は1月開催の「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展、初めて見るティツィアーノ、ティントレットの宗教画に魅了されました。2回目は4月に行った「クラーナハ」展、腰のくびれたヴィーナスや妖しいオーラを放つ「ユディト」に魅せられました。 <ルーカス・クラーナハ「ユディット」、1530年ウィーン美術史美術館蔵> 午前10時30分、美術館入場、 アチャ―、大混雑だ! お目当ての「バベルの塔」、ちゃんと観られるかな? お目当ての「バベルの塔」は、展示会場の最後のフロアにありました。ここまで進むのに、約1時間、「長い道程」でした(苦笑) やっと「バベルの塔」が展示されている最後の会場に到着、ここも大混雑、 ありゃ、 実物の「バベルの塔」は実に小さい絵なのだ! 後で調べましたところ、今回展示されたブリューゲル晩年の「バベルの塔」のサイズは<縦59,9cm、横74,6cm>、キャンバスの号数はだいたい20号です。 このサイズ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」<縦77cm、横53cm>より画面面積で10%大きいだけの細密画だったのです。 ブリューゲルは生涯に3点の「バベルの塔」を描いたとされていますが現存するのは今回展示のものと、後1点、1563年の「バベルの塔」の僅か2点です。 参考のため、1563年の「バベルの塔」の画像をUPします。 <ブリューゲル「バベルの塔」、1563年、ウィーン武術史美術館蔵> 上の1563年の「バベルの塔」画像の細密度から見れば今回展示の<1568年頃の「バベルの塔」よりも細密度において劣るように見えます。しかし、こちらのサイズは<縦114cm、横155cm>、画面の面積比では今回展示の「バベルの塔」の約8倍もあるのです。 1562年の「バベルの塔」の僅か1/8のサイズの今回の「バベルの塔」、 尋常ならざる細密画なのだ! 以下の図は、今回展示の「バベルの塔」の部分図です。 あの小さいキャンバスに無数の人が働いている。 このキャンバスには、何人の人が描かれているのか? 「バベルの塔の高さは何メートルなのか? 会場の出口近くに、東京芸術大学COI拠点が製作したオリジナルの「バベルの塔」を縦横各3倍(画面面積9倍)に伸ばした複製画が展示されていました。 その複製画の横に、以下のように書かれたパネルがありました。 「今回展示されているバベルの塔の実物の人物の身長は大体3mm,、 これらの人物の実身長を170cmとすると、ここに描かれている「バベルの塔」の高さは510mになる。 この絵には、約1400人の人物が描かれている。」 約20号のキャンバスに、何と1400人の人物が描かれている! 塔の高さ510mとは、東京タワーよりも180mも高い! やはり凄い細密画なのだ! ブリューゲルの細密画の例として、1562年に制作された「サウルの殺害」を以下に貼り付けます。 この絵、<縦33,5cm、横55cm>、9号キャンバス相当、画面面積では「バベルの塔」の約40%に過ぎないのだ! 会場の外に、「AKIRA」や「童夢」などの細密漫画でしられる大友克洋(かつひろ)氏が描いた「バベルの塔」が展示されていました。う~ん、こちらも面白い! <大友克洋「インサイド・バベル> 「バベルの塔」は旧約聖書に出てくる話で、古代から様々な絵画が存在しますが、細密に描かれた絵画はブリューゲルが原点のように思われます。 以下に、幾つかの「バベルの塔」の絵画を紹介します。 <Frans Francken2世 , Joos de Momper2世 , 共作- の「バベルの塔」~1610年頃 ベルギー王立美術館蔵> <ルーカス・ヴァン・ヴァルケンボルク 『バベルの塔』(1594年)、ルーブル美術館> <ヘンドリック・ヴァン・クレーヴ「バベルの塔」> <ギュスターヴ・ドレ「言語の混乱」~18655年> 以上のバベルの塔は絵画における想像上の建築物ですが、現在の実際の建築物は、絵画の想像を遥かに超えていますね。 現在、世界で一番高い建築物はドバイの「ブルジュ・ハリファ」」で、高さは828mです。 <ブルジュ・ハリファ> かって日本には「東京バベルタワー」建築の構想があったようです。 <「東京バベルタワー構想図> 「東京バベルタワー」の想定データをウィキペディアから転載します。 • プロジェクト名:東京バベルタワー • 提案者:尾島俊雄(早稲田大学教授) • 提案期:地球サミット(1992年) • 建設地:東京 • 地上高:10,000m • 居住数:3,000万人 • 総面積:山手線の内側すべて • 建設費:3,000兆円 • 基底面:110km² • 総床面:1,700km² • 鋼材量:10億トン この構想はバブル絶頂期に提案されたようですが、バブルがはじけた現在から考えますと、余りにも馬鹿馬鹿しい構想ですね。 人間の欲望は旧約聖書の古代も現在も全然変わっていない。 人間の「永遠の業」なのかな?

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