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カテゴリ:本
世間で純愛とか感動ものと話題になっている本はどうしても読む気になれない。読む前に期待しすぎて実際興ざめしてしまうからだ。ドラマ化や映画化されるとさらに読む気が失せる。しかし、話題になる前にたまたま本屋で見つけて読んだらよかったと思うものもある。ということは自分がひねくれているのか…? リリー・フランキーの「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」も去年の夏前に発売されて話題になる前にちょっと興味が惹かれた本だった。でも、この本も読む前に映画化され最近は月9なんかでドラマ化されてしまい今の今まで読まずじまいだった。 しかし、友達に薦められついに今日読むことになった。読み始めて間髪いれずに読み終える。これがいつものパターンだが、今日は違った。気づけば自分の母親に手紙を書き出していたのだ…
10年くらい母とは別々に暮らしているが、それでもすごく仲が良かった。自分以上のしゃべりだから、会うとひたすらしゃべっている。しかし、去年春に電話で討論になり、自分が10年間無意識にためてきたことを言ってけんか別れになった…実際何回かメールが来たが、どうしてもまだ会う気にはなれずにそのままにしている。
そんな母になぜ気づけば手紙を書いていたか…それはもうリリー・フランキーの力だろう…そりゃあの本は売れるわ…家族は大切にしないといけない…とわかっていてもうまくいかないことだってある。でも、登場するボクとオカンの愛情と時々登場するインパクトあるオトンの不器用な愛情を目の当たりにしたら、意地やプライドや難しい感情なんてどうでもよくなるさ… 繊細な表現やユーモアがさらに深みを増している。母の愛の偉大さを散々感じたあと…ラストに葉祥明の「母親というものは」という詩が載っていて、それがなんとも絶妙で涙が出た…
母親というものは無欲なものです 我が子がどんなに偉くなるよりも どんなにお金持ちになるよりも 毎日元気でいてくれる事を 心の底から願います どんなに高価な贈り物より 我が子の優しいひとことで 十分過ぎるほど幸せになれる 母親というものは 実に本当に無欲なものです だから母親を泣かすのは この世で一番いけないことなのです
こんな当たり前のストレートな詩をあれを読んだ後に読めばハンマーで殴られた気になった。どれだけ言い分があるにしても、今自分の母にしていることはいけないことか…と感じる前に手が勝手に動き出して手紙を書いていた。何を書くか考えなくても、手が勝手にペンを進めてくれるから…そうなって書き出されたものが一番素直に表現されているのだ…あっという間に完成し、さっさとポストに投函した。なんや、自分が元気だと伝えるのがこんな簡単なんや…投函した後まず思った。 普通ならもう少しためらっても、勇気を出してもよい作業をしたように思うが、そうはならずにできたのは本当にいい本に出会ったからだと思う。リリー・フランキーにバンザイ
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Last updated
Jan 16, 2007 08:23:27 AM
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