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法律行為とは、人の意思表示によりその意思に従って権利や義務に変化を及ぼす行為であり、これには意思能力を要します。また、遺産分割協議は意思表示により財産移転の効果が発生する法律行為であり、意思能力を要します。意思能力とは、自分の行為の結果を正しく認識し、これに基づいて正しく意思決定する精神能力であり、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、つまり意思能力のない者については本人の代わりに法律行為をおこなう後見人の選任を申し立てます。
未成年者だからというだけでただちに意思能力を有していないということにはなりませんが、未成年者の法律行為には法定代理人の同意が必要であり(民法5)、また未成年者の財産は親権者が管理する且つ、その財産に関する法律行為についてその子を代理する(民法824)ものとなっています。ただし、親権者とその子が利益相反関係になる際には、親権者が家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する必要があります(民法826)。特別代理人の選任には数ヶ月かかることもあり、遺産分割協議が成立しないまま相続税の申告期限を迎えてしまうことも予想できますが、この際には未分割のままで相続税の申告をすることになります(相続税法55)。このとき、遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定の適用を受けることは不可能です。遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定には次のようなものがあります。 ・配偶者の相続税額の軽減 ・国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税 ・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ・非上場株式等についての相鋭税の納税猶予 ・農地等についての相続税の納税猶予 申告期限までに分割協議が成立していない場合には、相続税法上の優遇規定の適用を受けられませんが、申告期限から3年以内に分割協議が成立した場合等には、修正申告または更正の請求により優遇規定を受けることができます。ただし、期限内申告と修正申告・更正の請求と複数回の申告手続が必要となるため手間がかかるので、早めに特別代理人の選任の申し立てをしましょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.03.20 10:14:11
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