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2023年03月05日
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カテゴリ:白内障手術体験記

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         白内障手術体験記(その2)

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前回は白内障の症状から手術を決意するまでの話を書きましたが、今回はその後の話を書きたいと思います。

<手術前検査に向けて>

白内障の手術を受けることを決意した私は病院へ手術の申し込みに行きました。
手術を受けることにしたのは、いつも目の定期検診を受けている近くの総合病院の眼科です。
田舎なので、そもそも白内障手術を行っている眼科自体が少ないのと、手術後は何度も通院する必要があるらしいので、一番自宅に近い病院にしました。

しかし申し込んだからと言ってすぐに「では手術を」と進むわけではありませんでした。
まず、術前検査というのを受けなければならないということで予約を入れていただいたのですが、それが7月末頃になるとのこと。
申し込んだのがGW中の平日でしたから、正味三か月もあとです。そして手術はそのまた二、三ヵ月後の秋になると。…気の長い話です。

しかし手術自体は受けることを決心したので、あとは待つだけ。
その間、私は白内障手術について検索して調べまくりました。
そしてわかったことは、白内障手術自体は局部麻酔をして行われるので痛みはほとんどないらしいこと。
でも、目を開けた(開けさせられた)まま、目を切って濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、水晶体の代わりに人工の眼内レンズを目の中に入れるというのは、想像しただけで怖く不安になりました。

だけど調べるうちに、手術前に考えなければならないのは、手術自体のことよりも水晶体の代わりに入れる人工眼内レンズのことではないかということに気づきました。
​​眼内レンズには、​一つのところに焦点が合う『単焦点レンズ』​​と、​​​複数のところに焦点の合う『多焦点レンズ』​​​​があるとのこと。​​

単焦点レンズは、「近く」か「遠く」か「中間」かというように焦点が合うところが一つなので、焦点が合うところ以外を見るにはメガネが必須。
たとえば、近くに焦点を合わせたレンズを入れたなら、近くは裸眼でよく見えるけど遠くはぼやけてよく見えないので近眼用のメガネをかけなければならない。逆に遠くに焦点を合わせたレンズを入れたら、車の運転など遠くを見る時には裸眼でよく見えるけど、本や新聞などを読むときには老眼鏡が必要。

一方、多焦点レンズは、「遠くと近く」「遠くと近くと中間」「遠くから近くまで5か所」などに焦点が合うから、ものによったらメガネをかけずに生活することも可能とか。

費用面では、単焦点レンズは健康保険適用なので、私の場合なら3割負担の片眼5万円くらいで手術できるらしく、また、高額療養費制度を使えば両眼手術しても8万円くらいですみそう。一方多焦点レンズは健康保険適用外でレンズ代は自費。数十万円から両眼で100万円以上になるのもあるらしい。 高ぇ~。

しかし、しかしですよ、もし手術した後、本当に一生メガネをかけずに生活できるようになるのなら……50年間メガネとともに生きてきた私はちょっと心が揺れました。

……が、調べるうちに多焦点レンズには特有の現象が起こることもわかりました。
多焦点レンズは、ハロー・グレア現象といって夜間の光の見え方に不具合が生じることがあるらしいのです。例えば光の周辺に輪っかがかかったように見えたり、光がぎらついたり伸びたりしてまぶしく見えるとか。
また、単焦点レンズより見え方のコントラストや鮮明度が劣る場合があるらしいとも。
だから神経質な人や完璧主義者の人は多焦点レンズは向かないと…。

割と小さなことでも気にする私には向かないかもしれないと思いました。
それなら、たとえメガネが必須になるとしても、くっきりスッキリ見えるらしい単焦点レンズのほうがいい。そう思いました。(なにより安くすみますし)

ということで、​眼内レンズは​『単焦点レンズ』​を入れてもらうことに決めました​が、今度は焦点をどこにするかという悩みが新しく生まれました。
近くにするか、遠くにするか、はたまた中間にするか……。

元々近眼の人は遠くが裸眼で見えるということに強い憧れがあります。私も手術で焦点を選べるようになるのなら、近眼とおさらばしたい…と一瞬思ったのですが、しかしそこで思い出したのがコンタクトレンズを入れた時の、近年の見え方です。

私は高校三年のときからコンタクトレンズも使うようになっていたのですが、年をとってからもたまのお出かけの時には使い捨ての1DAYのコンタクトレンズを使っていたのです。
そのレンズは近眼用で、遠近両用ではなかったので、老眼が始まってからはコンタクトレンズをしていると近くが見えなくて困っていたのでした。
目のいい人が老眼になったときと同じなのですが、私にはとても不自由に感じられていました。

食事をするときはメニューが読めない。料理もぼやけてる。
買い物をしてる時は、値札や商品説明が読めない。
それでコンタクトレンズを入れてる時は、ストラップを付けた老眼鏡をいつも首からぶら下げているという状況だったのです。
なにより困ったのは、コンタクトレンズを入れてから化粧するときに、鏡の中の自分の顔がぼやけてよく見えないことです。眉などはもう勘で描いてました。

もし遠くに焦点が合う眼内レンズを入れたら、ずっとあの苦労が続くのかと思うと、やっぱり焦点は近くにしようと思いました。
食事や読書の際に老眼鏡をかけるのはいいとしても、裸眼でしかできないお化粧がやりにくいというのは、毎日お化粧する女性にはとても不自由なことだと思ったからです。

さて、眼内レンズは「単焦点」、焦点は「近く」にと心の中では決まりました。
次に考えたのは、「近く」に合わせる焦点を何センチにしようかということです。
​もしかしたら、これが一番悩んだことかもしれません。​
「近く」といっても、手元30センチに焦点が合うようにするか40センチにするか、少しの違いでも生活の質は大きく変わるかもしれません。

メジャーをいつも身近に置いて、料理をするときは目からまな板まで何センチ、新聞を読むときは紙面まで何センチ……という風に、なにをするにも距離を測りました。
何センチに焦点を合わせれば、自分の生活は一番快適に過ごせそうなのか。毎日そのことばかり考えました。
30センチだと家計簿をつけるにはちょうどいいけど、ノートパソコンを見るには40センチのほうがいいかも。
迷いに迷って、40センチにしてもらおうかと気持ちが固まりかけたころ、ようやく手術前検査の日がやってきました。

(その3)に続きます





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最終更新日  2023年04月10日 06時49分00秒
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