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今日、大阪のとある病院からの依頼で調整に行った。
依頼は、ある患者が在宅医療に移る為のカンファレンスに 来て欲しいというメディカルソ-シャルワ-カ-からの電話 で始まった。 私は、電話の時点で、ある程度患者の病状・年齢・住所等 基本的な情報を聞いておき、それに必要な案内や医療機材を 揃え、約束の14:30に病棟に向かった。 患者は24歳の男性で、幼い頃に腸閉塞を起こし小腸を全部 摘出した、言わば「短腸症候群」であり、口から食事ができず、 もっぱら中心静脈(心臓に一番近い静脈)から直接高カロリ-の 点滴を注入する事しか生命維持できない方である。 もちろんこの手の患者は今まで数え切れないぐらい見てきたが、 悪性腫瘍による点滴治療でない為、こちらとして説明できるのは 薬剤の提供に関する内容が中心になる。 カンファレンスは、患者の両親をはじめ、病棟師長・担当看護師 ・ソ-シャルワ-カ-・リハビリDR・訪問看護師の総勢10名が、 集まり、病棟端にあるカンファレンスル-ムにて始まった。 まず病状の説明が担当ナ-スからあり、その後訪問看護の役割に ついて話が続いた。しかし、それまで大人しく聞いていた母親が、 訪問看護の費用の話で食いついて来た。要はなぜそんなにコスト がかかるのか?という疑問であった。コストと言っても月に4千円 程の自己負担である。残りのコストは国が助成してくれるにもかか わらず、納得行かない様子。 一同に沈黙が訪れた。しかもうちの会社の薬剤サ-ビスを受けれ ば、助成があっても少なくとも薬の配送料で月額1万円はかかる。 その説明をこの後すぐしなくてはいけない。。。 やべぇと心の中で思った矢先、病棟師長が鶴の一声を放った。 「お母さん!この病気で一番恐ろしいのは感染です。中心静脈 から菌が入ったら、Kさん(患者)は終わりです。今は病院で しっかり点滴管理をしているから大丈夫ですが、家に帰ったら、 お母さんが頑張って介護しないといけません。安心して家に 帰って頂く為には、医療従事者が病状を診る事はかかせません。 その最低限のコスト(訪問看護料)を負担する事と、命の重さ とどっちが大切ですか?」 この一言のお陰で、後の私の説明も上手く進める事ができた。 そして終了後、この師長に呼び止められこう言われた。 「本当はお金がない家庭じゃないんです、しかし最近は何が大切 なのか分かっていない人間が多くなって困ります。ご迷惑をお掛け しましたねぇ」と。 私はこの一件でシミジミ考えさせられた。最近、自分も含め、 我々は形あるものばかり追いかけてきた。お金で買えない形の ない物の大切さを、今一度見直そうではないかと。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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