音大受験生のときに欲しかった本
私の母校・東京音大は、明日オープンキャンパスだそうです。以前は夏と冬の有料の講習しかありませんでしたが、今は無料体験レッスン体験会があったり、音大に憧れている方にとって、文字通り、開かれた場所になってきているようです。うちに今年の春まで来てくれてた生徒さんは、たまたま昨春のオープンキャンパスで見て下さった教授に入学後、門下に加えてもらっています。教授に習える学生は、声楽演奏家コースかコンクール入賞者、あるいは、地元の先生がパイプを持っている人だと思っていましたので、成り行きに驚いています。コンクール、出してないのですよね。本人も出たがらなかったし、まだ、大きい表現を学ぶタイミングでは無いと思いましたので。ところで、本題の「音大受験生のときに欲しかった本」は、こちら↓です。 音楽用語の知識 新しい形式による楽典/遠藤三郎【後払いOK】【1000円以上送料無料】1984年初版発行で、今も販売されていますので、需要があるという事なのでしょう。受験勉強を始めたとき、音楽之友社の出している黄色い表紙の楽典を準備しましたが、昔の小説のような文体で、すんなりと頭に入らないのです。「いかめしい」というか「押し付けがましい」というか。例えば、diminuendoとdecrescendoの説明を黄色い本では「次第に弱く」としか書いていません。気が弱い私には、ほとんど命令に思えてしまいます。ところが、 「音楽用語の知識」の方は語源が書かれていて、deminuo〈弱める,減らす〉 cresco〈大きくなる〉なんて知る事が出来るのです。decrescendoは『〈段々大きくなる〉の反対』と書いてくれた方が、時間の逆回し的な空想も可能になり、童話的なタイトルが付けられた曲には、自分なりの工夫もしやすくなると思うのです。音大を卒業して間もなく、この本を楽器店で見付けたときはショックでした。今まで疑問だったけど解決出来なかった数々の事がかなり具体的に書かれていて、更に専門的に知るために必要な取っ掛かりを見出した思いでした。生徒さんには、高校3年の冬休みに入った頃に渡して、「付録 速さ・発想を示すドイツ語とフランス語」を余裕があるようなら覚えてみて、と勧めました。イタリア語の用語を覚えたり、声楽曲の歌詞を覚えるだけでも大変なので、手堅く点を取るためにはドイツ語とフランス語の用語まで手を出さない方がいいのでしょうが、高校に行く必要が無くなると、不安のため闇雲に実技を練習したくなりますのでそれの防止のためだったのです。ところが、生徒さんは「イタリア語以外の用語が、 本の中から入試に二問出ていて、多分合ってると思います」と報告してくれました。そうそう、黄色い楽典はイタリア語の綴りしか記していませんが、 「音楽用語の知識」はカタカナで発音を記していますので、その点でも独学をしやすいのです。※現在、カタカナ表記しているかどうか、どちらの本も確認していません。でも、本当は、更に音楽の読み解き方の感性を深めるために勧めたい本があったのですが。長くなりますので、その本については、別の機会に。