カンボジアand日本発「氷の灰皿」

どひゃー。ポリに、今度はしっかり仕返しされた。

場所は某交差点。信号を左折したいので、一番中央よりの車線に入り

信号が（見えにくい信号だけど）赤のようだから停止する。

と、横をみると、交差点の横断歩道のラインに沿って　みんな、ピタリ　

っと停まってる、モトが。　　その向こうに、いやなポリ　が見えた。

でも、別に、信号の停止ラインから、タイヤひとつ分、はみ出ていても、

ま、いいじゃん。左折するんだし。と思ってたら、ありゃりゃ、つかつかと

歩いてきたぜ、ポリちゃんが。ほいでもって、こっちへ来いと、指で指示

してきた。

例によって、無視してたら、二人がかりでやってきて、なんか怒ってる。

なんだろな、偉い人が通るから、交差点できれいに停止してる姿を見

せて、ご領主さまに喜んでもらうのかな？でも、どうせ、見てないぜ、

御領主さまは後ろのシートで、ふんぞり返って寝てるから。

だいたい、おまえら、ここは自由主義圏だぞ、絶対君主の領主さんは

おらへんのじゃ。


まあ、この態度からして頭にくるけど、このバイク、レンタルだから、

保険のシールもよう知らんぞ、俺。つう感じで、その用紙をだしたら

ぱっ、とむしりとるんだよね。このポリ公。

紙から破れたらどないすんねん。あほ。

ライセンスあるか？と聞くから、そんなん、モトにいるんか？

なしでもみんなのっとるワい。

と、今回も徹底抗戦でいくか！とも思ったが、運悪く、この時は、作

ったＴシャツ1000枚納品の最中で、ツクツクで商品運んでて、現地で

待ち合わせの約束だったのだ。

しまった、こんなんで時間かけてたら、ツクツクの運ちゃん、Ｔシャ

ツもって呆然としとるかもしれん！と思った瞬間！

この　ど腐れ、ばか、ポリ公、の野郎、場慣れしてるのか、一瞬で、

バイクのキーを抜いちまいやがった。「しまった！」という感じが

全身にかぶさる。

「てめえ、どろぼうか！ポリ公のくせに！返せ！！どあほう！！」

とどなったところで、どうにもならない。この勝負、負けポイ。

「てめえ、名前は何だ！　くそったれ！」

「そっちのいかれぽんち、名前！」

どうせ、クメール語の名前なんか聞いてもっわからへん。けど、

逆にプレッシャーをかける意味で、名前と胸の服の番号をメモ

ってみる。それから、電話を持って、笑顔で

「すいません、ポリ公につかまっちゃって、ちょっと遅れます。

別便で、荷物は運んでますので、ちょっとおまちください。」

政府の偉いさまに電話しとるぞー、という雰囲気？で、せめてもの

逆襲だが、あまり効果ないみたい。

Ｔシャツのスポンサーの担当者に連絡して、なんかその場を繕う。


「いかれぽんち、おまえらなんか、はなしにならんわい。かってに

しろ！！」

と、単なる日本語で大きな声で言って、スポンサーとこへ行くこと

にした。


まさか、このバイクを、白昼堂々と盗むことはないだろう、と開き

直って。


1時間くらいして、戻る。ポリがほっとしたような顔した気がしたが、

わからん。

どうせこの勝負は、こっちの負けだ。ぐずぐずやっても、キーを取り

上げられちゃあこの場所から動けないから。

「おい、あほうども、いくらやハウマッチ？」

もう一人に聞けと、指をさす。うん？少しは気弱になったか、片方のポリは。

で、片方に、２０００リエルでどう？と札を出すと、

「ノー、ノー。ユーは交通違反をしたんだ、なんたらかんたら-------」

もう一方が、キーを出して、見せびらかしながら、５ドルでどうだ。ときた


てめえら、一律、５ドルで統一しとるんか？ばかぽりが！

めんどくせえ！と５ドル札（ちょうど財布にあるんだな、これが。）を出して

ようやく、キーを奪取。

でも相手も、５ドルはさっと引っ込めた。

目線が合い、火花がバチ！バチ！と飛ぶ！わきゃない。

「おい！くそったれのうんこやろうども、絶対忘れんからな。」顔は普通で

思い切り言ってやる。

「おう、友だち！」などと、笑顔で手を出してくる。もう一人にも

「たわけやろう、夜道に気をつけろよ！のうたりん！」

「おう、友だち！」などと、同じく笑顔で、手を出してくる。



握手はしない。「ばーかやろー！」そういって帰った。

あーあ、気分悪ーー。

どこか、たれこみ電話とかないかな！ほんまに。

停止線を越えて停止したら、違反かい？

道路を逆走しても捕まらんのに。やってられんわ。

これで、一勝一敗。でも勝っても一円にもならんし、

負けは払うだけ。こんな割に合わんことないわ。