2019/06/24(月)23:18
生き残れるか?!行政書士
福岡県行政書士会が、電子申請について県や市と協議に動いているのか、動いたのか、さっぱり分からないので、博多支部で独自に動くことになった。で、午前中は、それについての市への要望事項や協議事項をまとめていた。
単にまとめればいいというものではなく、そもそも電子申請になったら行政書士にどういう影響が出るのか、そこら辺をまず身内の行政書士自身に分かってもらわなければ、単にパソコンオタクの訳の分からない技術談義になってしまうので、パソコンにも疎い行政書士にも分かるようにまとめていたら、思いの外時間を食ってしまった。
電子申請になったら行政書士は生き残れない。こういうことをマジに言っている行政書士が結構いるから驚く。それではそう言うあなたは、電子申請をどれほど経験したことがあるのですか?と聞きたい。ほとんどの人がやっていないはずだ。だって電子申請自体始まってごく間もないばかりか、利用している人なんて数えるほどしかいないのだから。
やったこともない電子申請を、頭の中で勝手に想像し、行政書士なんて不要だな、と思うことほどバカなことはない。送られた書類が改ざんされていないことはどうやって証明するのか?送られた時間はどうやって証明するのか?送った人間が本当に送るべき資格を持った人間なのか?そのことを証明するのはどうやってするのか?セキュリティーはどうなっているのか?代理人が送るときはどうなるのか?個人情報の管理はどうなっているのか?電子申請が抱える問題点は、実は山のようにある。
もちろん技術的な側面がそれらの諸問題を解決する。しかし、電子申請を扱う人間が、まったくそれらのことを知らないで申請するのと、ある程度分かってて申請するのとでは、安全性に決定的な違いがある。
第一、現行の紙での申請だって、本人がやろうと思えばやれるのだ。それをなぜわざわざ行政書士に頼むのか。それを考えれば、電子申請に移行したらたちまち行政書士の仕事が無くなると考えているのは馬鹿げている。
非常に誤解されやすいのだが、行政書士の仕事というのは書類を作ることでは全然無い。一番重要な仕事は、例えばある業種の許可を取ろうとしたとき、その許可が取れるように、法的な側面を整えられるようアドバイスすることなのだ。書類というのは、その結果でしかない。その許可を取れる法的な要件は十分整っていますよ、という証拠を示して出すのが書類なのだ。
そういったアドバイスは、電子申請になったとしても不要になることは全くない。むしろ、今まで紙で出すことに慣れていた人たちが、急に電子申請になり、逆に戸惑う、下手すれば誤った情報を入力してしまう場面が増えることさえ予想される。
現に、私が盛んに勧めている電子定款認証だって、相当注意を払ってやらないと、紙でやるより面倒だったり、余計にお金がかかったりするのだ。
電子申請になったからと言って、行政書士の仕事が無くなるなんてことは、電子申請を知らない人の戯れ言だ。逆に怖いのは、何も知らないまま(知ろうとしないまま)電子申請に白旗を上げたがために、行政書士自身が電子申請社会から置き去りをくらうことなのだ。