177571 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

熱帯香粧館

熱帯香粧館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

2004.09.18
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
突然に、予期せず訪れてくるもの。
それだけは、無力に受け入れざるを得ないもの。
ほんとうにほんとうに、どうすることもできず、ただ言葉を呑んで立ち尽くすしかできない。

相方の父上が、今日自宅で息を引き取った。
享年85歳。
自分の墓碑銘も、お葬式の段取りも、完全に自ら手続きを済ませていた。
相方の姪御さんが食事を運んできたときには、すでに眠るようにこと切れていたのだそう。
グランパ。
男じゃねぇか!
日系二世の誇りを貫いて、実に男らしい逝き方だったね。
誰の手も煩わせず、誰にも甘えないで、淡々とクールに最後までキメてくれた。
相方も泣かない。
涙ひとつ見せもしない。
ただあるのは、急を聞いて駆けつけた、肉親達の手厚い抱擁だけだ。
無論私だけが生粋の日本人。
私以外に、相方の親族のうちで日本語を解するのは、二世以上の老いた年代の人達と、我が子等だけだ。
相方の母君が、訛りのある日系人日本語で
「…鳳ちゃん、これで明日から、喧嘩する相手がいなくなったや…」
と、力無く微笑んだその言葉を聞いて、思わず涙が込み上げた。
母君の髪を撫で、抱擁するしか私にはできない。
親戚一同、相方だって、誰一人号泣している者はない。
しみじみとした邂逅と、静かな談笑だけがそこにある。
「何年グランパと一緒に過ごしたのですか?」
と訊ねたら
「もう何年かも忘れるくらい一緒にいた。毎日毎日、酷い喧嘩ばっかりしながら」
と、彼女はただ微笑んでいる。
亡骸は、今死亡確認や、遺体の処置やらで自宅を留守にしている。
もうグランパのベッドに、グランパの姿は永遠に無い。
なんかもう、これだけは、どうにもこうにも誰でもが無力で、抗うことなんかはできやしない。
………
こんちくしょ。
キーボードに涙が落ちやがる。

グランパよ。
たどたどしいカワイイ日本語を、私には一生懸命喋ってくれた。
無口な人で、相方と大喧嘩するたびに、どこの馬の骨の日本から来た小娘を、いつも庇って擁護してくれた。
煙草もお酒も、とうの昔に絶った人なのに、私の作ったカクテルだけは、必ず旨そうに呑んでくれた。
結構遊び人だったそうで、若い頃のお写真は、まるでワクイエミちゃんの元の旦那さん、オギワラだかハギワラだかマサトにクリソツであった。
私が子宮筋腫の手術を受けたときも、心配そうに、病院まで迎えに来てくれた。
悲惨なことに、どうしてだか相方は、オギワラだかハギワラマサトに、似ても似つかないのは何故なのグランパ?

友よ。
相方から一報があったとき、一緒にいてくれてありがとうね。
あのときもし、私一人だったらと思うと、今更目眩がするようよ。
今日行ったHACKFELD'S、ちょっと落ち着いたら、またいつか食べにいこうね。
せっかくお寿司も美味しかったのに、急な展開になってごめんね。
姐やんは生粋の日本人なので、今夜は故人を惜しんで通夜代わりの酒を汲む。
「飲み過ぎないでください。お姐さんが、そんなに嘆くことはないです」
という相方の言葉も遣り過ごす。
普段だったら、過剰反応を起こして、フライングアタックになるところなのだが。
今、後ろに来て「何を書いているの?」という。
………
さあ来い。
がっつり抱擁してくれる。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004.09.19 20:49:28


Headline News

Comments

鳳珠@ Re[1]:CLARINSの「Instant Smooth」(02/06) lumi6765さん >もうさっそくHP行ってみ…

Favorite Blog

プーさん大好きな忘… 春咲詩音さん

© Rakuten Group, Inc.
X