昨日の日記のコメントの中で、「私も先生に往復ピンタ頂戴していたクチでして・・・」と書きましたが、そうなんです、あれは中学のときの話です。 中学のときの担任はとにかく厳しくて、生徒はしょっちゅう叩かれていました。
この先生、当時は30代だったので、まだ生きてるだろうから実名は挙げられません。 仮にイトセンということにしておきましょう。
イトセンは、社会と体育が専門の先生でした。 暴力的でしたが、ひょうきんでもあったので、結構生徒に慕われていました。
しかし、毎日下校前に行われる「学級の時間」では、イトセンはいつも一人の生徒を本日の「いけにえ」として選び、竹刀片手にその生徒にクイズを出すのです。
クイズに答えられなければ竹刀が振り下ろされます。 たとえ答えられたとしても、その答えが面白くなかったりすれば、これまた竹刀で叩かれるのです。 叩かれるか否かは、イトセンのその日の気分次第でした。
ある日の学級の時間、「さ~て、今日は誰にすっかなぁ」と言ってクラスを見渡すイトセン。 みんな目を合わさないように、下を向きます。 緊張の一瞬です。
「よ~し、A吉、前へ出ろ!」
ああ、かわいそうに、今日のいけにえはA吉君。 みんな自分が選ばれなかったことに安堵すると同時に、A吉君の身を案じます。
A吉君は恐怖のあまり、猫以上に猫背になって立ちすくんでいます。
「いいか、今日は英語の授業があったな? では問題だ。 『パン』は英語で何と言う? 答えろ!」
イトセンはそう言って、キラっと銀歯を光らせ、A吉君の背後で竹刀に「フっ!」と息を吹きかけます。
A吉君、今日の問題は簡単でよかったね。 A吉君なら答えられるよね?
・・・がしかし、A吉君はもぞもぞしているだけで答えません。
「どうした~? わからないのかー!」 イトセン、今度は竹刀を両手で挟んでストレッチを始めます。 まさか、A吉君、本当にわからないの? "ブレッド" だよ、"ブレッド"、ほら、今日授業で教わったでしょ? と誰もがA吉君に念力を送ります。 すると、A吉君、パっと顔を上げて、目を輝かせて言いました!!
「レーズン」
・・・やっちゃった・・・
その後、A吉君がイトセンの餌食となったのは言うまでもありません。 そういえば、今日の給食、レーズンパンだったねA吉君。 でも、レーズンはパンじゃないのよ、気持ちはよくわかるけど。
こんな学級の時間が、当時は毎日行われていたのでした。