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チラシの裏の幻視録

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カテゴリ:原子力

 こんばんは。
 明日は休みを頂いたので、単身赴任先から家に来ています。(本当は休んでいる場合じゃなのにねえ)

 何ヶ月か前、私の単身赴任先で市民団体による映画上映会がありました。
 映画のタイトルは、「ミツバチの羽音と地球の回転」。
 監督は、あの「六ヶ所村ラプソディー」の鎌仲氏。

 何回も六ヶ所村に行ったことのある(地元の人の話も聞いたことある)者として、どちらかと言ふと陰の部分にばかり目を向けている「六ヶ所村ラプソディー」に対して少し違和感を感じていた私としては、是非こちらも見に行きたかったのでありますが、残念ながら仕事が忙しくて見に行く暇がありませんでした。

 とりあえずチラシは貰って来たのですが、そこに書かれていたのはスウェーデンの再生可能エネルギーに関する事。

 今更書くまでもありませんが、スウェーデンは国民の選択により脱原発を目指していましたが、既に現政権はこれを撤回済です。(まあ、与野党が拮抗しているので、今後だうなるかは微妙ですが・・・)
 ちなみに、世論調査では数年前から半数以上の国民が「脱原発は撤回すべき」との意思を表明しています。
 また、原子力発電によって生じる高レベル放射性廃棄物についても、既にエストハンマルに地層処分場が建設されることが決まっています。

 これらの動きが映画の公開と前後しているなら、チラシに書かれていても仕方ないかなぁ、と思うのでありますが、そのチラシの置かれていた施設には、手書きで「スウェーデンのエネ政策に学ぼう」みたいなことが書かれた紙も張られていて、「えええええっ?」と思ってしまったのであります。



 ・・・確かに、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の決定については、我国も学ぶべきところがあります。それも、大いに

 今回はその辺りのことについて触れてみたいと思うところです。


 さて、先に書きましたとおり、スウェーデンではエストハンマルへの地層処分場の建設が決定しました。
 我国ではその前の前の段階、文献調査でさえも七転八倒している訳ですが、実は建設箇所決定に関するスウェーデンの方式は我国とそうは変わらず、基本的に「自治体側からの申し出を受け入れる」方式であります。

 我国でもこれまで複数の自治体において誘致に関する話がありました。実際に手を挙げたところもありますし、検討中である旨を公にしたところもあります。
 しかしながら、反対運動(とくに町外からの)の激化や県知事の「作らせない」発言、それどころか少しでも誘致の可能性について言及しただけでも(まるで誘致決定であるかのやうに)マスメディアが大きな報道してきた影響もあってか、これまで全て失敗に終わっています。

 これに対して、スウェーデンでは募集に対して複数の自治体が誘致を表明、最終的に二つの自治体に絞られ、その中からエストハンマルが選定されました。
 町に落ちる莫大な補助金のおかげでしょうか?・・・実は、補助金の3/4は、最終選考に落ちた方の自治体に渡されました。その(落ちた方の)自治体では補助金の額が増えたことを喜んでいるかと言ふと、さうでもない様です。
 現地で誘致担当者に直接インタビューした方によると、担当者は「誘致が叶わず非常に残念だが、町はよい経験をした。この経験は、今後の他の問題解決にも生かされるだろう。」と語ったとのこと。
 決定した自治体の方が補助金の額が小さいのは、建設による雇用の確保や地域経済の活性化が期待されるからです。


 では、我国とスウェーデンでは何が違ったのでしょうか。

 答えは、国民の問題意識、そして廃棄物基金の使い方にあります。


 スウェーデンでは、チェルノブイル事故の余波(←北欧には放射性物質が他より多く拡散しました)により、一度は国民の意思で脱原発を決めました。
 その時に出てきたのが、「脱原発と言っても運転中の原子炉を直ぐには停止できないし、停止しても放射性廃棄物はなくならない。ではどうしようか?」と言ふ考え。
 脱原発政策が結果として高レベル放射性物質に関する国民の問題意識を喚起する結果となったわけです。

 そして、大きく違うのが廃棄物基金/補助金の使い方。

 スウェーデンでは、NPOや自治体が自主的に勉強、検討する段階においても、(最終的に誘致に至らなくとも)その費用が廃棄物基金によって賄われるシステムになっていました。
 これに対し我国では、地層処分の文献調査に名乗りをあげて初めて、その自治体に補助金が渡る仕組みになっていました。
 我国にも地層処分を勉強したり誘致を目指したりする市民団体は複数存在しているのですが、例えば専門家を招いての地層処分に関する勉強やJAEAの研究施設の見学と言った、誘致に至るまでの検討の段階においては、これまでは補助は全く出ず、その団体の負担だったわけです。


 この違いが、スウェーデンと我国の最も大きな違いなのであります。
 (なお、フランスにおいてもエネルギーや原子力に関する市民レベルでの勉強には補助が出るようになっているさうです。)



 ・・・さて、私は上に、「これまでは補助は全く出なかった」と書きました。

 実は、我国でも(誘致とは関係なく)地層処分に関する自主的な調査や検討、勉強会を行う自治体やNPOに対し、補助金を出す制度が始まっています。
 既に応募は締め切られ、9団体に対して各200万円までの補助金が出ることが決定しています。
(自治体も3箇所、各600万円までの補助が出ることになっていましたが、こちらは決定した旨の発表がないところを見ると、応募はなかったのでせうか??)


 スウェーデンの成功を見習ったこの活動は、来年度以降も継続実施することを考えているそうですので、興味のある市民団体の方は是非応募していただきたいと思います。
(先日、誘致を検討している市民団体の方の話をお聞きした時に、この事をご存じなかったようなので、来年は是非・・・)



放射性廃棄物の地層処分事業に関する地域の自主的な勉強会支援
http://www.jaero.or.jp/data/01jigyou/2010sien/index.html

「地層処分事業推進のための自主的な勉強会等の支援事業」の支援先の決定について
http://www.numo.or.jp/topics/2010/101217.html


 ただ反対するだけではなく廃止後の廃棄物問題についても自ら考えるなんて、やはりスウェーデンの国民は凄い! と思います。

 ね、鎌仲監督っ。





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最終更新日  2010年12月24日 03時55分19秒
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