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カテゴリ:Guitar
一番初期のSGは22フレットでボディとジョイントされています。このジョイント方式はそのプレイアビリティと引き替えに強度に乏しくなっています。ネックがボディに接着されている面積が小さいからです。上の写真を見てください。手前は弟の69年製レス・ポール、奥は62カスタムです。ネックのボディへの「めり込み度合い」がお判りいただけるでしょう。レスターのネックエンドを見るとネックエンドにほぼくっついたような位置にピックアップがあります。これはネックがボディにかなり食い込んでセットされているため、ネックエンドでスパッと切った形で接着されても問題なく強度を確保できているからです(50年代のレスターはロング・テノンなのでフロントピックアップキャビティの中にまでネックが一部入り込んでいます)。ところがSGはネックエンドをスパッと切ってセットするとボディと接着されている部分がかなり小さくなってしまって強度を確保できません。そこで苦肉の策。ネックエンド部分を延ばしてボディに埋め込んで接着面積をかせいだわけです。しかもロング・テノンにしてフロントピックアップキャビティの中にネックが入り込んでいます。ネックエンドを伸ばしたので、仕方なしにフロントピックアップはネックエンド延長部の長さ分リアピックアップ寄りに移動してマウントされたのです(どの道そうしないとダブルカッタウェイの部分にかかってしまうので実質的にフロントピックアップはマウントできない)。すると、今度はそのネック延長部分がボディトップから丸見えになってしまいます。これでは高級感が損なわれる!カスタムのような塗りつぶしなら綺麗に表面を仕上げて塗ってしまえばいいのですが、スタンダードはシースルーのレッドで隠れません。それにどうしてもトラスロッドを埋めたラインは残ってしまう。そこでこれまた苦肉の策としてプラッチックの化粧板を貼ることにしたのでしょう。トップの写真は62カスタムのもの。この時代のはまだ名前が正式にはレス・ポール・カスタムなのでそう書いてあります。トラスロッド・カバーにもそう書いてあるのです。ちなみにこの時代のスタンダードにはトラスロッド・カバーにレス・ポールとあります。 60年代の半ば、65年頃のSGはネックジョイント部はボディがせりあがった形で延長された部分に接着されるため60年代前半よりは強度があるように思われます。左が68年製のネックジョイント裏側です。右は94年製。 こちらは62年製のネックジョイント裏側。書いて説明できませんが、このネックジョイントはかなり凝った加工がなされているのです。ヒール部はスムーズそのもの、ハイポジションのプレイアビリティは最高です。 結局SGのネックジョイントは弱いです。ジョイント部にクラックがあるときは要注意。割合簡単にバキッとボディもろとも割れるそうです。あるいはボディ内にネックの一部を残して折れます。上の写真はエピフォンG400の無様な写真。エピフォンG400は60年代前半のコピーですが、ネックの接着面はオリジナルより小さく、しかもルーズにセットされている模様です。左は僕のG400で、手元に届いた時の状態。ネックが折れた感じですが、ネックの一部はボディについています。右はETSGに載っていた別のG400の写真。こちらはボディごと割れています。エピフォンめ。 こういう悲惨な状態のTVイエローのSGスペシャルがオークションに出ていて、「オレが修理してやる!」と入札しましたが、この状態のものを高い金額で落札している人がいました。ちょっとアツくなりすぎだぜ、ボーイ。 70年代のSGはネックがボディにめり込んでセットされるためネックエンドをスパッと切った形で接着されています。従ってフロントピックアップはネックエンドに近いところにマウントされているわけです。写真はギブソンではありませんが、70年代のSGをコピーしたバーニー(フェルナンデス)製。めり込んでる・・・。ある意味ディープジョイントだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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