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こちらは 映画や小説などの感想文(レビュー)です。

2010.08.19
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蛇にピアス
「蛇にピアス」
集英社文庫
金原ひとみ


2004年、第130回芥川賞を受賞した金原ひとみ氏の事をよく覚えている。ニュース番組は、二十歳という若さと危うさまでおも感じさせる美貌を持つ金原氏を大きく取り上げた。浮かないオジサンが芥川賞を取るより魅力的な記事で視聴率が保証されるからだった。
6年前の当時、僕も金原氏に注目した。芥川賞という純文学の新人賞に似合わない今時な雰囲気の女の子。その娘がPOPなワンピースを着て手を後ろに組み、カメラのフラッシュを浴びている姿は圧巻だった。堂々としている。決して小生意気な女の子のイメージは無く、きっと、ありのままの自分に自信を持っているんだろうなぁと感じた。
そんな金原氏を覚えている。

でも、その作品には興味が無かった。「蛇にピアス」という題名から、純文学というよりも“不良少女日記”という印象が強かったからだ。当時の僕は、アウトローな作品から得るものなど無いと思っていたから読む事すら無駄と思っていた。“不良少女日記”は映画やドラマで事足りる。

金原作品を無視し続けた6年間だったが、数年前から新聞のコラムで彼女の記述を熟読するようになった。これが不思議な魅力をもっていた。普通のコラムは「問題提起―思考―結論」となるのだが、彼女のコラムには結論という意見が無い。問題提起だけして自分の感想をちょっと述べてオシマイ。だからなのか、思考を読者がするようになる。

最近流行のカツマーがよく使う手法「こういうデータがあります。ああいうデータもあります。だからこうすべきです。」という文章には魅力なんか全く感じない。自分の主張したい目標方向に導くために資料をピックアップしているだけのトリックは市役所や警察の広報並みのものでしかない。

その点、金原ひとみ氏は、この新人賞作「蛇にピアス」に於いても既に思考を読者にさせている。ここが凄いのだ。
主人公ルイが爬虫類のようなスプリットタンに憧れた理由も読者が考えなければならない。刺青を完成した時の反達成感、理由なんか書いていない。自分の彼氏を殺害したであろう男と結ばれたい思う気持ちも自分で考えろって感じ。
人は美術館で一枚の絵を観ながら色々感じ考える。芸術作品に作者からの説明文は無い。アートって、そういうものなのだ。

蛇足だが、当時の金原ひとみ氏が大学の文学部に進学していたとしても無理があったと思う。それどころか、現代文の受験科目で合格点を取れなかったと妄想する。そういうタイプの一流アーティストもアリなのだ。


横尾けいすけ Yokoo Keisuke
mail to cayman450s@yahoo.co.jp







最終更新日  2010.08.19 22:59:55
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