ベヒシュタイン オーバーホール L型 製造1926~28年(推定)
2013年夏、ドイツに住む日本人の方から、オーバーホールの依頼があった。ベヒシュタインL型で、ロシアで購入し、ドイツへ持ってきて、それを日本に送りたいのだが、現地の技術者に聞いたら、修復が必要で、日本ですべきとアドバイスされ、、以前日本で別件でお仕事をさせていただいた関係から、私に相談が来た。写真で見る限り、本当に修復する価値があるのだろうかと思い、正直にお客様に尋ねたところ、思い出があるのでどうしても、という事だった。送られてきた写真中は、ひどい。外も。写真をみて、見積もり回答し、お客様のGOが出て。ドイツからはるばる工房に送られてきた。外装がこれ以上剥がれないようにとテープが張ってあり、痛々しい感じがした。国境を大きく越して、当然環境が変化し、、、卵の殻をむくように大屋根の塗装は剥がれてしまった。全塗装を決断してくれた。作業開始。まず、掃除して、弦を外して、鉄骨を外したら、番号が出てきた。ボディーの番号と同じ番号が。このピアノ、製造番号が鉄骨の再塗装の際に消されてしまってた。ボディーの番号でだいたい年代がわかるけど正確ではない。アクションの製造年はわかった。当然この年月よりも遅くに出荷されたのだろうけど、このころ忙しかったし、遅くても一年以内に出荷したと想像できる。今回のメインは、ピン板と、駒上面の交換。それと外装(委託した)。ピン板。まずは、確認。高音部は、もはや機能不全。調律不能。ピンも簡単に取れてしまうほど割れてた。全てを切り取り、オリジナルを参考に、ドイツから輸入した楓のピン板を加工した。単純なコピーはしなかった。これだけ割れるのは、恐らく製造でピン板の加工が甘かったからと考えたため。宛てには出来ない。