うずくまるもの
うずくまるもの神戸の話ね夜中、おなかがすいたのでコンビニにでかけたさその帰り、電柱の下に、ひとりの女の人がうずくまってる和服を着けた今どきちょっと珍しい人どうかなさったのですか?いえ、なんでもないんですありがとうございます女の人がすーっと立ち上がったあれっ?この着物すごく古ぼけてる柄もなんか昔風髪型も教科書にでてくる江戸時代の人みたいうわっ!この女の人、影がない!地面には自分の影はあるのに目の前の女性の足元には影がない間違いない自分にも電柱にも、くっきりと影があるそれにこの女性は、かんかん照りの日差しの中なのに暗く沈んで見える…この話はもうここまでにしときましょうね実はね、前に三回くらい友だちにこの話をしたんだけど自分も、話を聞いた友だちも、そのあとちっともいいことがなかったの事故を起こしたり、怪我をしたりと散々で…だから、これ以上は話してはいけないんじゃないかと…えっ?続きを聞きたい?じゃあ話すねある夜さっきの神戸の人が家に帰ろうとタクシーに乗ってたさ向こうに見える電柱の下に、あの、着物をつけた人がうずくまってるあっ、また居よった!お客さん、あれ、知ってるんですか?知ってるも何も、凄いですよ、アレはだって影がないんですよかんかん照りなのにおまけに身体全体が薄暗いしそうらしいですねタクシー仲間では有名でね、アレは声かけたら、とんでもない目にあうからアカンとかだからここ、じゅんにやあまり通りたくないんですこんなことがあったんだってアレにかかわったり、人に話したりしてこの話を広めたら災いがふりかかるんじゃないかって近所の人はアレを見ても知らん顔して通り過ぎるんだって神戸はこわいやあ