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青き天体研究所

青き天体研究所

第六話  決意

リュウセイ達はクロガネ内にあるシュミレーションルームの中にいた。

「リュウセイ、ブリット!狙いが甘いぞ!!死にたいのか!?」

「そんなこと言われても・・・」

彼らはゼンガーの指示のもと、パーソナルトルーパーの操縦訓練をしていた。

「いいか。戦い方は色々あるが、何事も基本が重要だ。それを怠れば死に繋がるぞ。」

流石にインスペクター戦線で生き残っただけあって言うことは矛盾していない。

「よし。これなら!」ブリットはコツを掴んだのか次々と撃墜していく。

一方、リュウセイは自分勝手な戦い方をし微妙にバランスが悪いように見えた。

「・・・よし、そこまでだ!!今日はこの辺で終わりとする。」

「「助かった~。」」

「だがしっかり筋トレはしておけ。」

「「了解!」」

そう言ってリュウセイ、ブリットは急いで部屋から出ていく。

そして入れ代わりにレーツェルが中に入ってきた。

「どうだい、ゼンガー。あの二人は?」

「粗い所はあるものの二人とも優秀だ。

ただ、リュウセイは自分なりの戦い方をするため危ないところもあるがな。」

「君がそこまで言うとはな。」

ゼンガーの言葉にレーツェルは素直に驚いた。

この前まで一般人だった彼らがここまでやるとは思わなかったからだ。

その時セインもシュミレーションルームに入ってきて、レーツェルと同じように結果を聞いた。

セインの方はその結果に満足している。

「セイン。彼らの機体はどうするんだ。」

「その事なんだが、俺はリュウセイにはアレを操縦してもらいたいと思う。」

「アレだと!?」

どうやら二人ともアレを知っているらしく、セインの発言に少し戸惑っている。

「そう・・・SRX計画の機体の内の一つ、R-1を。」

「だがアレは・・・まだ出来てないんだぞ!」

「それまでビルドラプターに乗ってもらう。」

「しかしだな・・・・」

セインとレーツェルの口論している中、ゼンガーが口を開く。

「セイン・・・。奴の可能性を信じているのだな。」

「いや、可能性なんかじゃない。確信を持っているんだ。」

セインは不敵な笑みを浮かべた。すべては計画通りであるように・・・・

「ならば、口出しするわけにはいかないな。ブリットの機体は?」

「ヒュッケバインMK-2を乗せようと思っている。」

その言葉を聞いて、ゼンガーは少し笑みを浮かべ

「分かった。・・・・提案なんだがセイン、お前がリュウセイに教えてみろ。」

「何を言っているのだ、友よ。」

「そこまで確信しているのならやらせた方が良い。ブリットは俺が見とくがいいか。」

「分かった。その代わりリュウセイが化けていても知らないからな。」

そう言ってセインは部屋を出て行った。少しばかし笑みをこぼしていたのが気になるのだが、

「友よ・・・。本当に大丈夫なのか。」

「何がだ。」

「セインの言っている物はこの地球の切り札といってもいい物だぞ。それをあんな子供に・・・。」

レーツェルの言葉にも一理ある。

セインの言っていたSRX計画の機体はマオ・インダストリー社とテスラ・ライヒ研究所が共同して作られている。

重要度はSSS級であり、その計画が成功すれば世界が大きく揺らぐとまで言われているのだ。

それを今までただの学生であった少年に託すというのだから止めるのが普通である。

「確かにな・・・だが、あのセインが何も考えずに決めているとは思えん。それに・・・」

「それに何だ?」

レーツェルはゼンガ-の言おうとしたことを尋ねる。

「・・・いや、何でもない。キョウスケでは無いが分の悪い賭けをしてみようと思ったしな。」

そう言って、ゼンガーはシュミレーションルームから出て行った。

「ゼンガー。君は何を考えているんだ?」

レ-ツェルはそう呟いた後、部屋から出て行った。





そのころ、リュウセイ達はと言うと・・・・

「お前達・・・ここで終わらせてもらうぞ。」

リュウセイ、ブリット、エクセレンはキョウスケの方を見る。

あたりの空気が緊迫の渦に包まれた。

「・・・・ロイヤルストレートフラッシュだ。」

「はい!!!」「全換えでしてたのに!!」「ありえないわよ!!」

リュウセイ達は一斉に声を上げる。

どうやらキョウスケとエクセレンに誘われてポーカーをしていたようだ。

「これで俺の16勝だ。まだやるか?」

キョウスケは参加者全員に尋ねる。

「もう止めましょ。キョウスケの悪運には勝てないわよ。」

「そうですね。もう止めましょうか。」

エクセレンの提案に乗るブリットだが、リュウセイだけは違っていた。

「誰が逃げるか!もう一度勝負だ!!」

「いいだろう。何を賭ける。」

リュウセイが乗ってきてくれ、嬉しそうにするキョウスケ。

「今日の晩飯のメインディッシュ、霜降りのステーキだ。」

「いいだろう。行くぞ!」



そして数分後・・・・



「俺の勝ちだな。ストレートフラッシュだ。」

「フォーカード・・・。負けた・・・霜降りステーキが・・・・。(泣)」

またもや負けてしまい、本気で残念がるリュウセイ。

「約束だ・・・。ステーキは頂くぞ。いくぞ、エクセレン。」

「はいはい、それじゃあね♪」

そう言ってキョウスケはエクセレンと一緒に何処かに行ってしまった。

キョウスケ達と入れ替わりでセインとフィスがやって来た。

「何してるんだ、お前は。」

「どうしたんですか?あの落ち込みよう異常ですよ。」

状況がいまいち分かっていない彼らにブリットが説明をする。

「・・・お前が悪いんじゃねぇか。」

「うるせぇ。負けたままでいられるかよ。」

「だからって楽しみにしていたステーキを賭けて負けるなんて・・・・。」

フィスの一言で更に落ち込んでしまった。

セインは本来の目的を思い出し、リュウセイ達に向かって話す。

「お前達、今日から別々で特訓してもらう。」

「今日からって、いつ決まったんですか?」

「お前達の朝練が終わってからすぐだ。ブリット、お前はゼンガーのままだ。」

そう言い終った後、セインはリュウセイの元へ近づく。

「リュウセイ、今からお前の乗る機体を見に行くか?」

「いきます。連れてって下さい。」

セインの言葉を聞いたとたん、すぐに元気になったリュウセイ。

その根性、ある意味尊敬に値するだろう。







「これが、お前の乗る機体。ビルドラプターだ。」

「すげー。これが俺の乗る機体かよ。」

そこには白と赤で色づけられている機体があった。

「パーソナルトルーパーでは初の可変型の機体だ。戦況に合わせて飛行形態と陸上形態にと変わることが出来る。」

「知ってるぜ。確か飛行型パーソナルトルーパーの前身となった機体だろ。」

リュウセイの言ったとおりビルドラプターはヴァイスリッター等の飛行可能の機体の前身となった機体である。

この事実を知っている人は少なく、リュウセイが知っていることが不思議なくらいである。

「リュウセイ。今からお前に機体の操作を教える。」

「でも、俺はゼンガーに教えてもらっているぜ。」

「今日から俺に代わったんだ。・・・どうする?」

「何がだ?」

セインの真剣な声を聞いて尋ねる。

「俺はお前を死なせないように特訓する。お前は何のために戦うのか決まっているのか。」

「どう言う事だよ!?」

「心無き戦いはただの殺し合いだ。常に己の決めた信念の元、戦うことで意味が違ってくるんだ。」

セインの真剣な表情からふざけるのをやめ、真面目に聞く。

「もしお前が何も考えずに戦いに望むのなら、俺はお前に教える気はない。どうなんだ、お前は。」

セインの問いかけに少し悩むリュウセイ。

そしてリュウセイの口が開いた。

「セイン、俺はもう犠牲を出したくないんだ。」

リュウセイの話を黙って聞くセイン。

「あの時、お前やフィスが戦っているとき何も出来なかった自分が腹立たしかったんだ。

自分の好きな町、大切な人、それらを自分の手で守りたいんだ。だから・・・、なんていうかその・・・。」

「わかった。お前の気持ちがな・・・。」

「えっ!!」

そのときのセインの表情は優しい、何かを見守るような顔をしていた。

「・・・明日から特訓を始める。今日はゆっくり休んでおけよ・・・。」

「じゃ、じゃあ・・・。」

セインは何も言わずに自分の部屋に入っていく。

「ありがとう・・・。セイン・・・。」

そういった後、セインの部屋に向かって一礼し自分の部屋へと向かっていった。

(やはりあいつは・・・リュウセイは見込んだとおりの人物だな。何事も真っ直ぐだ・・・。)

いつの間にか零式のコックピットで聞いていたゼンガーはそう思った後、コックピットから出て行った。

「あいつは俺に似ているんだよ。レーツェル・・・。」

そう呟いて、向こうに行ってしまった。










「さて、ここに集まってもらったのは他でもない。ディパインクルセイダーズのことについてだ。」

「ディパイクルセイダーズ。厄介なものを作ってくれたな、ビアン=ゾルダークは・・・。」

「確かに、このままでは我々の計画が潰れてしまうかもしれないな。」

薄暗い部屋の中、何人かの男達が集まって話していた。

服装を見ると、連合軍のものであった。

「ならば本格的に潰すとしますか。」

「それがいい。超えられない障害になる前にな。」

「すべてはこの星のために!」

その言葉が部屋中に響いていた。


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