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青き天体研究所

青き天体研究所

第九話  ひと時の休息

「シュウ=シラカワだって!あの有名な科学者を探しているのか!?」

「知っているのか!?シュウの事を!!」

マサキはその答を聞くと物凄い勢いで問い掛ける。

「シュウという名はこの世界でも有名だからな。」

「奴の居場所を教えろ!早く!!」

ついに我慢できなくレーツェルに掴みかかってしまう。

それを見た一同はマサキを止めるため押さえ付ける。

「くそ、放せ!早く教えろ!!」

「しかし我々でも彼の所在までは・・・」

その言葉を聞きマサキは力無く床に倒れてしまう。

「せっかく手に入れた情報なのに・・・奴には近づけないのかよ!!」

「マサキ・・・」

マサキはそう叫び、シロがそう呟く。

するとセインが意外な言葉をいう。

「そうでもないぞ。」

「な・・・に・・・」

「少なくともクロガネに乗っていれば会えるかもしれないぞ。」

「どう言うことだ!?」

マサキの質問にセインは答える。

「シュウ=シラカワはディパインクルセイダーズのメンバーだからな。」

セインの一言はその場にいる全員に衝撃を与えた。

あのシュウ=シラカワがディパインクルセイダーズのメンバーである事が信じられない様子なのだ。

「本当か!?本当にそうなのか!?」

「ああ、これが証拠だ。」

そう言ってセインはあるモニターを出す。

そこには確かにシュウ=シラカワの名前があったのだ。

それも技術班として・・・。

「済まないがシュウに会うまでこの戦艦に乗せてくれないか?」

マサキは遂にたどり着いたシュウへの近道を離さないためそのような提案をした。

「別に構わないが君達の機体や素性も調べさせてもらうがそれでもいいなら・・・」

「ああ、構わないぜ。」

「マサキ、何いってるニャ!」

「そうなるとラ・ギアスの事も・・・」

シロとクロがそのように反論するが、マサキはシロとクロの話に反論する。

「遂に見つけたシュウの手掛かりなんだ。それを逃すわけにはいかない。それに必要以上のことは話す気無いしな。」

「でも・・・。」

シロは未だ反論しようとするが、マサキにはもう聞こえないと確信しこれ以上は話さなかった。

「本当にいいのか?」

「ああ。」

そう言うとレーツェルはマサキに手を指しのベて・・・

「そういうことなら歓迎するよ。」

「よろしく頼む。」

マサキは指しのばした手に握手した。







その様子を見ていた一体の機体があった。

その機体は全身青で強調されており、パーソナルトルーパーの倍以上の大きさであった。

「どうやらマサキはクロガネに乗ったようですね。そうなると彼に会うのに少し大変になりますね。」

そのパイロットはそう呟き、何処かへ移動してしまった。







しばらくすると、マサキはクロガネのメンバーに馴染んでいった。

特に同年台ということでリュウセイ、ブリット、クスハ、フィスとはすぐに仲良くなったのである。

マサキが言うには彼はラ・ギアスという世界から来て、サイバスターと呼ばれる機体でこちらの世界に来たという。

サイバスターは精霊の力を宿しており二つ名が[風の魔装機神]と呼ばれているらしい。

シロとクロはマサキの深層意識が具現化したものでファミリアと呼ばれるものだと言う。

にわかに信じ難い話だがあの時の戦いを見てしまったため信じざる負えなかった。

「精霊か・・・信じられんな。」

「だがあの力を見る限り本当の事だろうな。」

クロガネのブリッジに残ったメンバーは未だに話している。

「それよりテツヤ艦長、そろそろ物資が無くなる。何処かで物資の補給を・・・。」

「そうだな・・・・・。エイタ、ここから一番近い町は?」

テツヤの問いかけにエイタはすぐにコンソールをたたき調べ始める。

「ここから近い町は中立地帯のハワイぐらいですね。」

「そうか・・・。今からハワイの向かう。ただしクロガネは約5m離れておけ!」

「了解!」

中立国はインスペクター戦線後の出来た機体であり、連合軍でも手の出せない地帯である。

最初に発足したのはルクセント王国でそれに賛同するものが中立にしていくのであった。

自衛権を持っており、もしその国に被害が加わるようなことがあれば対抗する位の軍隊を持っているのである。

テツヤはそのことを気にかけクロガネをなるべく被害がかからないような場所に停泊しようとしたのである。

テツヤの命令を受けたエイタはクロガネをハワイに向けて進行させたのであった。






「え、セインのことについて教えて欲しい?何でまた。」

一方マサキを案内しているリュウセイ達はマサキの質問を繰り返す。

「ああ、何かよくわからねぇがセインの感じがシュウと同じように感じるんだ。まるで何かを隠しているような・・・・・。」

リュウセイ達はその質問に疑問を感じたのかかしげたが、フィスは少し肩を動かした。

「そうだなぁ、セインは結構暴れていたな。よく学校で騒ぎを起こしていたし」

「そうそう、フィスと双子でよく似ているから女性扱いされるとキレて学校を半壊させたっけ。」

「そういえば年中コートと薄手の手袋をつけているけど暑くないのかしら・・・・。」

口々に思ったことはしゃべるリュウセイ、ブリット、クスハ。

(何でだ。シュウとは違う何かを感じるんだがわからねぇ。)

マサキは彼らの会話を聞きながらも自分の考えを整理していた。

「フィスは兄妹だから何か知っているよね?」

「セイ兄は兄妹でも話しませんから、自分のことは・・・・・。」

フィスは少し悲しげな表情を浮かべる。

どうやら本当に何も知らないようである。

「みんな!これからハワイに行き補給作業を行うからしばらくの間ハワイにて自由行動が許可されたぞ!!」

突然セインが現れたので彼らは驚いたものの、そのニュースを聞き嬉しそうである。

「本当ですか!?」

「ああ、レーツェルに無理やり許可させたからな!」

無理やりと言う部分が気になるものの素直に喜ぶ彼らであった。

「フィス、一緒に見に行こうぜ。」

「はいっ!!」

フィスもセインに誘われて嬉しそうである。

ただ一人、マサキを除いて・・・・・。








ハワイに着いた一行は首都に向かって行った。

セインとフィス、補給物資を手に入れるために来て人達と分かれ、それぞれ好きな場所へと向かって行った。

「なあなあ、何見に行くか?」

「俺はプラモデルを見に行きたいんだが・・・・。」

「リュウセイ君!ハワイに着てまでそんなもの買わないの。」

と、学生らしい会話を久しぶりに行う。

ところが、シロが彼らに質問した。

「マサキは何処行ったかニャ。」

「「「え!」」」

気が付くと一緒に来たはずのマサキがいなくなっているのである。

「何処いったんだ!あいつは!?」

「やっぱりこうニャる見たいニャ。」

「本当にマサキの方向音痴には困ったものニャ。」

そう、シロとクロの言うとおりマサキは十度の方向音痴なのである。

本人も自覚しているのだがぜんぜん治る気配が見えないのである。

「くそ、俺とシロとクロはこっちを探すからクスハとブリットはあっちを!」

「分かったわ。」

リュウセイはそう言って指差した方向に行ってしまった。





「クスハ、俺たちも早く探そう。」

「待って、ブリット君!」

クスハがいきなり大きな声を出したので驚くブリット。

「そうしたんだ?クスハ・・・・。」

「私の話を聞いて。・・・・・お願いだからもうこれ以上戦わないで!!!」

「え!!」

クスハの言葉にブリットは言葉を失った。

「何でそこまで戦うの?あなたはこんなことしたくないんじゃないの?だったら・・・・。」

「クスハ・・・・・。」

「私はもう・・・・ブリット君が戦っているところなんて・・・・見たく・・ない・・・。」

クスハの目に段々涙が溜まってる。

クスハのその表情は本当にブリットのことを思ってのことであった。

「クスハ、ありがとう。でも俺守りたいものがあるから・・・・。」

ブリットのその言葉を聞きクスハの目が開いた。

「な・・・んで?どうして!?私は・・・・。」

「ごめん、クスハ。」

そう言ってブリットはマサキを探しに行ってしまった。









その頃セインとフィスは、フィスの買い物に付き合っていた。

「ねえねえセイ兄。この服なんてどう?」

フィスはそういうと二着の服をセインに見せた。

「う~ん。俺はそっちの水色のほうが好きだけど・・・・・・。」

「わかった。でもこっちも良いんだよなぁ♪」

女性の買い物が長いことは知っていたが、まさかここまで待たされるとはセインは思わなかったのである。

セインの顔が少しずつ引きつっていく。

「セイ兄、ごめんね。次行こう。」

「ああ、分かった。」

フィスはセインの反応に気付き、迷っていた服2着とも買ってしまったのである。

フィスの心配りにセインは少し苦笑する。

「セイン=ブルースウェアとフィリアス=ブルースウェアですね?」

突然黒いフードをかぶった男が前に立っていたのである。

「何のようだ・・・。事によっては・・・。」

そう言ってセインはフィスの盾となり、片手をコートの内ポケットに手を入れる。

「待ってください、争う気なんてありませんよ。」

そう言って男はフードを取る。

「ただ、話を聞きに着ただけですよ。あなた達の目的をね・・・・。」

「・・・・シュウ=シラカワか。」

そう、その男こそマサキが探していたシュウ=シラカワであった。

「ええ、その通りです。心配しないでください。先ほども行ってように争う気なんてありませんから。」

そう言ってシュウはセイン達を連れて小さなカフェテリアへと向かっていった。



「どういうつもりだ、シュウ=シラカワ。」

「シュウで結構ですよ、セイン。先ほども言った通りです。あなた達には不可解な点が多すぎますんでね。あなたたちの目的を知りたいんです。」

シュウはまるで嘘をつこうが見破られてしまうような眼光でセイン達の方を見る。

セインも嘘をついたところで意味が無いと分かり話し始める。

「良いだろう。俺達の目的は・・・・・・・・・・。」

その話をシュウは真剣に聞いていた。




「くそ、ここは何処だよ・・・。」

迷子になってしまったマサキは暗がりの道を歩いていた。

「このまま会えなかったりして・・・・・。! アレは!!」

マサキがため息をつき前を見るとそこにはシュウと話しているセインの姿があった。

「ついに見つけたぜ!シュウ、シュウ=シラカワ!!!!!」



その言葉が聞こえたのかシュウは声の主の方向を向く。


「おや、マサキではないですか?何でこんなところに・・・・・。」

「それはこちらのセリフだ、シュウ!何のつもりだ。」

「私はただセインとフィスと話がしたかっただけですよ。信じる信じないは勝手ですが・・・。」

「てめぇ!!!」

マサキがシュウの首元をつかみかかり、顔を近づける。

「何考えているかしらねぇがラ・ギアスのようなことはさせねぇぞ!!!」

「ふ、覚えておきましょう。」

シュウはマサキの手を払い、何処かへ行こうとする。

「私が個人的に興味を持った人物はあなたが初めてですよ、セイン。では、縁があったらまた会いましょう。」

そう言ってシュウは何処かへ行ってしまった。

「セイン、奴と何を話したんだ?」

マサキの問いかけにセインはただ無言であった。


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