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青き天体研究所

青き天体研究所

第三十九話  戦闘開始

明朝、地球では太陽が昇る頃、ついにシロガネを率いるFATESがマオ社に進行を開始した。
戦艦の数はシロガネを含み10艦ほど。その中に何体の機体が収容されて何時のかさえ分からない。
その艦隊を見下ろす三体の影が見える。

「さて、お手並み拝見と行くか。天使級の実力と人間達の底力とやらを・・・。」

その内の一人が呟くとそれに続くかのように他の二体も笑みを浮かべる。
そしてその三体は宇宙の漆黒の闇に溶けていく様に消えてしまった。







「距離算出確認。このまま行けば約15分後には接触すると思います。」
「総員第二戦闘配備!各員は戦闘配置に就け!!」
「了解!!」

マオ社から出撃したクロガネはいち早く戦闘準備を展開していた。
敵との戦力差は1:10の割合。
クロガネ側にとってはどちらが先に先手を打てるかどうかで勝敗が決する戦いとなっているのである。

「・・・いよいよね。」
「ああ、その様だな・・・」

その緊張感は各機体に乗るパイロット達にも感じていた。

「これで今回の戦争は全て決着がつく。だが今までものより辛いものとなっているだろう。」
「そう・・・ですね。ですが負けられません!」
「・・・だな。アサルト1、セイン機より各機へ。全員死ぬ気で生き残れ!間違っても死んでも倒すと思うな!以上!!」

セインの掛け声を聞き一部苦笑を隠せないものの、その言葉に多くの者が賛同した。

『スティール1より各機へ。FATES軍接触まで後五分を切った。各機出撃し戦闘準備を整えろ。』
「アサルト1よりスティール1へ。了解した。これより順に出撃する。・・・行くぞ!」





シロガネ側の方でも各機出撃、戦闘準備が行われていた。
リー自身は一度もテツヤ率いるクロガネ――ディバインクルセイダーズとは戦闘を行っていないがそれでも警戒は怠らないでいた。

「随分熱心に準備しますね。そんなにあのクロガネが脅威ですか?」
「まさか・・・。念のためですよ。ナンバー2が私に勝てる訳が無い。」
「足を掬われない事を祈りますよ。」

サディケルは皮肉の意味も込めてリーに助言をする。
しかしリーは聞く様子は無い。
自分がテツヤなどに負ける筈が無い―――そう信じきっていた為である。次の瞬間まで・・・





テツヤは各機体が完全に出撃した事を確認し、呼吸を整える。そして・・・

「全衝撃砲発射準備。目標、目の前の敵戦艦!」
「了解!・・・・・・エネルギー充電完了、いつでもいけます!」
「よし、撃てぇぇ!!」

テツヤの言葉とほぼ同時にクロガネから高出力の光線が発射された。





クロガネから迫り来る光を肉眼で確認したリーはすぐさま命令を下す。

「Eフィールド展開!各員衝撃に備えろ!!」

その言葉に従い、すぐにシロガネの周りにバリアのような物が張られていく。
そして張り終えかけた次の瞬間、高出力の光線が轟音と共にシロガネや他の戦艦にぶつかって行く。
そして数十秒後、その轟音と大きな衝撃が収まり始める。

「ッ・・・。やってくれましたね。まさか半分以下まで戦力が落とされるとは思いませんでしたよ。」
「・・・・・。」

サディケルは面白がっていたがリーの表情は真剣そのものであった。
クロガネの連続的に放たれた衝撃砲によって焼く6割の戦力が落とされたのだ。
恐らく当たり所が良かったのだろう。その幸運でさえもリーの鼻に付く。

「如何するんですか。このままじゃやられてしまいますよ?」
「・・・各員に通達。全機出撃。出撃確認後、本艦はクロガネの元に行き決着をつける。」
「そうですか。では僕も出るとしましょうかな。人形達の調子を直に見ておきたいしね。」

不敵な笑みな浮かべながら差で字ケルはブリッジを出て行く。
リーはそんな事など気にせずに命令を下し続ける。
自分より下と思っていたテツヤに一杯食わされた事の腹いせをするかのように・・・。





『敵機の数を確認した。ドールを含みPTが30、量産型ヴァルシオンが2、戦艦が4。』
「こちらも確認した。流石に相手もジョーカーを引いてきたか・・・・・・。」
「ま、予測範囲で良いんじゃない?」
「よ、余裕っすね。キョウスケさん、エクセレンさん・・・。」

クロガネの通信を聞き敵機の数の多さに驚く筈なのだが、幾分か余裕を持っているキョウスケとエクセレン。
その態度に少し困惑気味のアラドであったが、横から入ってきた通信を聞き納得する。

「キョウスケにエクセレン、ゼンガー、レーツェルはインスペクター戦線で勝ち残っているからな。それなりに場慣れしてるんだろう。」
「あ、なるほど。でもあのノリはちょっと・・・。」

インスペクター戦線時の混戦は噂なりとも知っている為即座に納得する。
だがこれから戦闘だと言うのにこのノリはどうもなれないようである。

「ま、慣れるしかないな。・・・じゃあ俺はここで。」
「エッ?何で・・・・」
「ちょっとご指名されてね。・・・他もそうみたいだな。」

そう言い残してセインが乗るスレイヤーは地球の方へと向かっていった。
そして次の瞬間、突然現れた黒い機体がR-1の肩を掴みそのまま加速して何処かへ連れて行こうとした。

「クッ・・・!何だよ・・・コイツは!?」
『何だよとは侵害だなぁ変態や朗!このテンザン様を忘れたのか?』
「テンザン!?まだ乗っていたのか・・・離しやがれ!」

リュウセイの言葉など聞かないかのようにテンザンは加速していく。
それを感じたリュウセイはR-1を動かし何とか振り払おうとするが、テンザン機が大きく振り払えないでいた。
そして段々とキョウスケ達から離れていく。

「ライディース、アヤ。早く追いかけろ!あのままじゃ不味いかも知れない。」
「ですが・・・。」

ライとアヤはその言葉を聞くが言葉を濁し始める。
この状況から考えて一人でも戦闘から抜けてしまえばその分ここの戦闘が厳しくなる事が分かったからだ。
しかし、レーツェルがそれを振り払うかのように話し始めた。

「行きたまえ。あの黒い機体がどんな性能があるか分からない以上、リュウセイが心配だ。」
「・・・・・・・」
「早く行け、ライディース!私と同じ間違いをしたいのか!?」
「クッ・・・。済まない、兄さん。」
「ライ・・・分かりました。」

そう言ってRー2パワード、R-3パワードはR-1を追いかけて行った。
その様子を見送ると今度は敵機から通信が入ってきた。

『テンザンは行きましたか。次は私達の番です、ラトゥーニ・・・。』
「オウカ・・・姉様。」

その通信の主に驚きが隠せないラトゥーニ、アラド、ゼオラ。
そのような事など知りもせずにオウカは話し続ける。

『さぁ来なさい!決着をつけましょう?』
「・・・・・御免なさい

その言葉を聞きラトゥーニは通信先の場所へと移動し始めた。
その行動に気付いたアラドとゼオラはすぐに追いかけようとする。

「ラト!?行くぜ、ゼオラ!」
「何を勝手に・・・済みません、後は頼みます!」

その言葉を残してビルトビルガー、ビルトファルケンは後を追っていった。

「人数が一気に減ったな・・・。」
「減ろうが関係無い。ただ目の前の敵を斬る。それだけだ。」
「後はセイン達が帰ってくる場所を守り、勝ち取るだけだ。」
「そう言う事です。皆さん、行きましょう!」

その掛け声に応じるように残された彼らも展開していった。


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