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青き天体研究所

青き天体研究所

第四十三話  二羽の鳥が飛翔する時

(私は何を考えているのだろう・・・・・・)

黒い機体―ラピエサージュ―に乗るオウカは自分の行動に疑問を抱く。
自分の最愛の義兄弟の名を使うパイロット達に挑発をし、他人に邪魔されない場所へと誘導した事までは成功している。
しかし問題はそこからだ。
自分が何故誘導したのかが分からないからだ。
彼等と決着を着けたいと言うのももちろんあるだろう。
しかし自分にも分からない感情がある事もまた、事実である。

(分からない――何故私は彼等に助けて貰いたがっているの!?)

そう、何故かは知らないが彼等に助けて欲しがっている。
心当たりの無いこの感情に顔には出さないものの、やはり動揺は隠せない。
もしかしたら彼等の言う事は・・・・・・

(もう遅いわね。今更・・・・・・)

オウカは何を思ったか瞳を閉じる。そして彼等が追い付くのを待ち続けた。







一方ラビエサージュを追い掛ける機映が3体―ビルトビルガー、ビルトファルケン、ヒュッケバインMk-2カスタムの姿が確認された。
ラピエサージュが速いのか、それともこの3体が遅いのか。
いずれにせよ急いでいる様子はひしひしと伝わってくる。
そしてその3体が遂に、ラピエサージュに追い付いた。

「オウカ・・・姉さん」
『やっと来たわね。さぁ始めましょうか。殺し合いを!』

ラピエサージュはO・O・ランチャーを構え、何時でも引き金を引ける様にする。

「待って姉様!話を・・・・・・」
「危ない、ゼオラ!」

ラトゥーニの声にハッとなった時には既に遅かった。
ラピエサージュのO・O・ランチャーがビルトファルケンに向かって発射されたのだ。
反応が遅れた為、回避運動が出来ない。
あと少しでビームがコックピットに直撃する瞬間、ビルガーがファルケンを掴み回避させた。
まさに間一髪であった。

『話す事なんてあると思う?さぁ決着を着けましょ!』
「オウカ姉様・・・・・・」

躊躇いの色を隠せないラトゥーニとゼオラ。
スクール時代もっともオウカを慕っていた二人にとってそれは酷と言うものなのだろう。
例えオウカにその記憶が無いとしても・・・・・・

「何戸惑ってやがる!やるしかねぇだろうが!」
「アラド!?だってアレは・・・」
「オウカ姉さんだって言いたいんだろ!?だが相手が殺る気ならそれに応じる訳にもいかねぇだろうが!」
「・・・・・・・・・・・・」

ラトゥーニとゼオラは言葉を失う。
確かにアラドの言う通り、オウカが自分達を殺す気でいるならそれに従う訳にもいかない。
だがやはり躊躇いと言うものが二人に突き付けるのだ。

「絶対にオウカ姉さんを元に戻す!そう決めたんじゃねぇのか!?」
「!?」
「当たって砕けろだ!細かい事は後で考えろ!!」
「アラドが使い方を間違え無いなんて・・・・・・」
「ゼオラ、着眼点が違う。でもアラドの言う通りだね。」

そう言ってラトゥーニ、ゼオラは自機をラピエサージュに向ける。

『やっと戦う気になったのね?さぁいきましょうか!』
「ゼオラは後方支援、ラトは援護を。俺は接近戦で行く!」
「うん。」
「了解!死ぬんじゃないわよ、アラド!」

その掛け声がゴングの鐘となり、戦闘が開始された。






三対一と言う有利な状況を上手く利用し攻撃をしていく。
だがラピエサージュの装甲、スピード、攻撃力がすば抜けて高い為か、中々行動不能に出来ずにいた。

『マグナムビーク、セット!ウイング展開!』

右腕に収容されていたクローを展開し、物凄いスピードでビルガーの方へと向かう。
そしてそのクローを突き刺そうとした瞬間、ビルガーはコールドメタルソードを抜き、クローにある爪と爪の間にソードをいれ回転する要領で回避した。
ビルガーが回避した事を確認するとゼオラはのオクスタンライフルのEモードをラピエサージュに撃つ。
その弾道に気付いたオウカはすぐに回避行動に移り、回避する。

『その程度で・・・』
「落ち着くのは早い!」

後方から聞こえてくる声にハッとなり、後ろを振り向く。
そこにはロシュセイバーを抜いたMk-2カスタムがラピエサージュを向かって振り下ろそうとしていた。
反応が遅れた為回避不可能と考えたオウカはとっさに出しっぱなしにしていたマグナムビークのクローでロシュセイバーの斬撃を防いだ。
ぶつかった所からスパーク音が鳴り響く。
ぶつかり合うヒュッケバインMk-2カスタムとラピエサージュ。
押し合いでは負ける―そう思ったラトゥーニはロシュセイバーでクローを薙ぎ、一旦離れた。

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」
「大丈夫、ラト?」
「うん、何とか・・・・・・。」
「流石、て事かよ。3人でやっているってのに全然隙を見せてくれねぇや。」

余程集中をしていたのか3人とも肩で息をしていた。
3人であると言う事を利用し、波状攻撃、同時攻撃等をしてきた。
だがその攻撃も全てラピエサージュ―オウカに防がれてしまっている。
諦める訳にはいかない―その思いが3人を焦らせ、思考を鈍らせていった。





一方オウカも肩で呼吸をしていた。
自分でも思いつかない方法や、3人である事を利用された攻撃が全て予想外であったからだ。

(何とか全部防ぎ切ったけど、恐らく次は・・・・・・)

実際、彼等の攻撃を紙一重で回避を行っていたオウカ。
その為かかなり焦りの表情を隠せないでいた。

(どうする。どうやって彼等に・・・・・・!?)

打開策を考えている時、突如全身の筋が切れたような感覚に襲われる。

(な、何これは!私が私じゃなくなる!?)

その痛みに何とか耐えているが、何時意識を失ってもおかしくない状態である。
目も虚ろになって来て、焦点もハッキリしなくなる。

(あの時と同じ・・・・・・嫌・・・嫌・・)
『嫌ァァァァァ!』





ラピエサージュから聞こえて来た叫び声にアラド達はすぐに反応した。
何が起こっているのか分からない。
だが確かな事はオウカが苦しんでいると言う事だけである。

「一体どうしたんだよ?突然・・・。」
「オウカ姉様!?駄目、全然返答しない!」
「・・・・・・・・・(この症状、何処かで・・・)」

ラトゥーニ以外心辺りが無い様で何をして良いのか分からない様子であった。
心辺りのあるラトゥーニはすぐにラピエサージュをスキャンし、とある物を探す。
そして・・・・・・

「やっぱり。でも何でこんな物が・・・」
「ラト、心辺りがあるのか!?」
「うん。アラド達も知っている筈だよ。これは・・・」

『ゲイムシステム。そこに居るオウカ=ナギサが君達を逃がす事にした理由の物だよ。』

「だ、誰だ!?」

突然聞こえて来た聞き覚えの無い声に警戒をする。

『警戒なんてしなくて良い。僕の名はサディケル。天使級でゲイムシステムを復元した者だよ。』

少年のような声から発せられたその一言に衝撃が走る。
アラド達にとって初めてFATES、それも天使級に接触したからだ。
隙を見せないよう警戒を怠らない。

「何で・・・何であんなマン・マシン・インターフェイスを復元したの!?それがどんな結果を生んだのか・・・」
『分かってるさ。スクールの大多数の人物を失ったと言う事もね。だが必要だったんだ。君達を、あの全てを破する存在、セイン=ブルースウェアを殺す為にね。』
「貴方達は・・・・・・」
「な、何を言っているんだよ2人して。俺達にも分かるように説明してくれ。」

サディケルとラトゥーニの会話についていけないアラド達はつい尋ねてしまう。
それを聞いたラトゥーニは少しため息をつき、説明する。

「ゲイムシステムはマン・マシン・インターフェイスの一つなの。搭乗者の基礎的な運動能力を向上させる代わりにその搭乗者の精神を破壊してしまうと言う効果の。そして表沙汰にはなっていない事だけど、ゲイムシステムには何十何百もの犠牲が払われた。その大多数が・・・・・・」
『スクールにいた人物だよ。どうやら君達は別のクラスだったみたいだから、知らないのも無理は無いけどね。』
「ほ、本当なの?ラトゥーニ・・・」

ラトゥーニは首を縦に動かす。
何も言わない事と合わせても恐らく肯定なのだろう。
アラドとゼオラは少なからずショックを受ける。

『それよりそのままで良いのかい?後数分でそこに居る実験台はゲイムシステムの犠牲者になってしまうよ?』
「言い訳ねぇだろう!?そのゲイムシステムとやらを外しやがれ!」
『無理だよ。一度発動してしまったら二度と止まりはしない。パイロットが死ぬまでね。』
「そんな・・・・」

サディケルの一言で落胆してしまうゼオラ。
サディケルの口元には笑みを浮かべている。

「いや、ゲイムシステムを直接破壊すればまだ間に合う。だからまだ諦めるのは早いよ、ゼオラ。」
「えっ?本当なの、ラト?」
「うん。ただある場所も大体検討は付いてる。ただ場所が・・・・」
「場所が如何したんだよ?」

ラトゥーニはほんの数秒考える。
そして重々しくその唇を開いた。

「コックピットの真下だよ。失敗すればオウカ姉様ごと・・・」
『そう言う事だよ。ま、諦めるんだね。』

サディケルは再び笑みを浮かべる。
恐らくここまで彼の思惑道理に動いているのだろう。
それ故かかなり余裕があるように見える。
そんな中アラドが何かを考えていた。
そして、何か浮かんだのかアラドはファルケンとMk-2カスタムにプライベート通信を入れた。

「ラト、俺とゼオラで奴を抑えるからお前はグラビトンライフルでゲイムシステムを打ち抜いてくれないか?」
「な、何を言っているの!?そんな事、私には・・・。それにそれだったらゼオラがやった方が・・・。」
「恐らくファルケンのオクスタンライフルじゃ装甲を貫いてゲイムシステムを破壊する事は出来ないわ。グラビトンライフルを借りて撃つって方法もあるけど、企画に合っていないと思うから無理なのよ。」
「そんな・・・。もし失敗したら・・・・・・・。」
「そんな事考えていても仕方がねぇだろ?やってみるしかないんだ。」
「そうね。それに私達は絶対にラトがやってくれるって信じているから。」
「そう言う事。じゃあ、頼んだぜ!」

言いたい事を言い終えるとアラドとゼオラは通信を切った。
そしてアラドの作戦とも言えない行動のためにビルガーとファルケンがサディケルの元へと向かって行った。
その姿をしばし呆然と見るラトゥーニ。

「・・・・・・勝手な事を言って。でも!」

ラトゥーニはMk-2カスタムのバックパックに収容されていたグラビトンライフルを取り出し、即座に組み上げていく。
組み上がったグラビトンライフルを両腕で構えた後、照準と出力を計算し始めた。

「成功させて見せる!アラドとゼオラが信じてくれたから!!」

その目には何かを決意した意思が込められていた。






その頃、サディケルの足止めに入ったアラドとゼオラの戦闘が始まっていた。
やはりその行動も予測道理なのかサディケルには幾分か余裕が見える。

「スタッグビートル・クラッシャーセット!食らえ!!」
『そんな鋏、食らうと思っているのかい?』

ビルガーの突き出したスタッグビートル・クラッシャーを軽々と避ける。
勿論そんな行動アラドも良く分かっていた。
なぜなら本命は別にあるからだ。

「オクスタンライフルWモード、食らいなさい!!」

その本命であるファルケンから大量のミサイルと弾丸、そしてエネルギー弾がサディケル機に向かって発射された。
その数の多さに少し驚くサディケル。
だがすぐにサディケルは自機に装備してあったエネルギーフィールドを展開し、何とか防いだ。
防ぎ切った事を確認するとサディケルは一息付いたかのように動きを少し停止させる。
その隙をやはり逃さない。

「弾丸全部持って行け!食らいやがれ!!」
『!?』

至近距離からマシンガンと三連ガトリング砲を乱射し全弾命中させる。
その衝撃がかなり物だったのか、サディケル機には大量の銃痕が残ってしまった。

『本当に諦めが悪いね、君達は!?君達が助けたがっている実験台はもうすぐいなくなると言うのに!!』
「ウルセェよ!諦めが悪くて何が悪い!?」
「それに貴方は気付いていなかったかも知れなかったけど、こっちは既に完了しているのよ!」
『何を・・・・・・』

そう言われた瞬間、サディケルはやっと誰かが足りない事に気付いた。
そして気付いた時には既に遅かった。
そこにはラピエサージュにライフルを構えたMk-2カスタムの姿があったのだ。






「照準確認、0,01コンマまで修正。」

そう言って次々と発射準備を進めていく。
恐らく時間も残り僅かしかないだろう。
だがより確実に成功させたいと言う気持ちもある為、迅速かつ丁寧に合わせていく。
ラピエサージュからは未だにオウカの叫ぶ声が聞こえてくる。

「これで良し・・・。待ってて、オウカ姉様。今、助ける!」

その言葉と同時にグラビトンライフルの銃口から紫色のビームが発射された。
真っ直ぐとコックピットの真下へと向かっていく。
そしてゲイムシステムがあるであろうところに当たり機体を貫いた。

『あああああああああああああ!!』

苦しそうな声が響き始め、一瞬失敗したかと思った。
しかしラピエサージュが爆発しない所を見ると恐らく成功したのだろう。
様々な不安が脳裏に浮かんでいく。

『・・・・・・ここは?私は確か・・・』
「オウカ、姉様?」
『ラトゥーニ、なの?何でそんな機体に?それ以前になんで私はこの機体に・・・』
「もしかして姉様、記憶が・・・」
『記憶?何のこt・・・』

その声を聞き不安が一気に消え、安堵へと変わっていった。
その上オウカが消されてしまった記憶も元に戻っていたのだ。
ラトゥーニは溜まらずMk-2カスタムをラピエサージュの元へと接近する。
そしてコックピットを開け、ラピエサージュのコックピットへと向かって行った。
オウカはその行動にすぐ気付いたのか、ヘルメットを被った後コックピット開ける。
近付いてくるラトゥーニを捕まえる。

「オウカ・・・姉様・・・姉様!」
『・・・・・・』

ラトゥーニの目には涙が零れた。
オウカはその姿を黙ってみる事しか出来なかった。
ラトゥーニに何があったのか良く分からない。
だが自分に出来る事はラトゥーニを抱きしめる事しか出来ない。
そう思ったオウカは黙って抱きしめた。







その様子を見ていたサディケルは苛立ちを隠す事が出来なかった。
ゲイムシステムのみを撃ち抜き、更にオウカの記憶が戻る事は予測外だったからだ。
認める訳にはいかない。だが実際に起こってしまっている。なら・・・

『認めない・・・。僕は認めない!そんな結果など!そんな結果など、消滅しろ!!』

そう言うとサディケル機から大量のミサイルが発射された。
ミサイルの進路から見て狙いは恐らくラピエサージュだろう。
だがそのラピエサージュはパイロットが居ない為行動が不能。
更にその近くにはラトゥーニとオウカの姿が。
ゼオラはすぐにそのミサイルを全弾破壊しようと思うが、いかんせん数が多すぎた。

「駄目、数が多すぎる・・・」

そう言って諦めかけたその時である。

「させるかァァ!!」

ラピエサージュに当たる瞬間、ビルガーが間に入った。
ミサイルは全てビルガーへと降り注ぐ。
全てのミサイルが連鎖的に爆発し、その場が煙で立ちこめていった。

「アラド!!」

あの大量のミサイルを一体の機体で受けきる事など不可能だ。
恐らくビルガー、そしてアラドは・・・・
その様子を見てサディケルは満足そうな笑みを浮かべる。
だが・・・・・・

「ウイング展開!ドライブ、全開!!」

その煙が中から突然白銀の機体が現れた。
アラドの声が聞こえて来た事から恐らくビルガーだろう。
だが色と形状が微妙に変化している為、本当にそうなのか分からない。

『な、何だそれは!?こんな物、データには・・・』
「当たり前だろうが!俺だってマオ社長に教えて貰うまで知らなかったんだからな!!」
「アラド、それ自慢にならない・・・」

白銀の機体へと変わったビルガーはかなりのスピードでサディケル機に近寄って行く。
その間アラドは説明を続ける。

「脆弱な装甲を補強する為に装備されたジャケット・アーマー。これをパージする事によってビルガーは高速機動形態変形する。そして・・・」

そう言ってアラドはビルガーの端末を動かし、ファルケンに何かを転送する。
その添付されたファイルを開いたゼオラはそのデータに驚く。

「このプラン・・・無理よ!絶対に!!」
「無理でもやるんだよ!俺とお前なら出来る!絶対にな!!」
「・・・・・・分かったわ。テスラドライブ、フルブースト!!」

ファルケンは現在のビルガーと同等のスピードを出し、サディケル機に接近していった。
その予測しなかった行動にサディケルの怒りが増す。

『何をする気かは知らないけどね、僕には、神様には効かないんだよ!!』
「神なんて居ねぇ!テメェはただのクソ野郎なだけだ!!」
「その通りよ!行くわよ、アラド!!」

サディケルが発射した大量のミサイルを全て回避しつつ、サディケル機に一気に接近する。
そして・・・・

「アインス!!」

スタッグビートル・クラッシャーの口を広げ、サディケル機の腰部を挟み込む。
逃げ出さない様にその口は徐々に閉じていき、腰部も段々と締め付けられていく。

「ツヴァイ!!」

ビルガーのスタッグビートル・クラッシャーによって動かなくなったのを見計らってファルケンはオクスタンライフルの銃口をサディケル機に付ける。
そして持っている弾丸を一気に発射する。
厚かった装甲が無残にも貫かれ、撃たれた部分に風穴が開く。

「ドライ!!」

風穴が開いた事を確認したアラドはスタッグビートル・クラッシャーを放し、サディケル機を吹き飛ばす。
吹き飛ばした後ビルガーとファルケンは追いかける様に飛翔していく。

『な、何だ!?まさか、この僕が!!』
「ああ、そうだよ。テメェの所為で色々な奴が苦しんだんだ!それを噛み締めながら・・・」
「天国に、いや地獄に落ちなさい!!」

エネルギーが収縮された為か、ビルガーとファルケンの翼が薄緑色に光り始める。
アラドとゼオラはその事を確認した後、アラドは上へ、ゼオラは横へと移動する。
そして・・・・・・・

「「ツインバード・ストライク!!」」

ビルガーの翼とファルケンの翼がサディケル機を十字に切り裂いた。
コックピット部にも直撃しており、既にサディケルは息絶えたかと思われる。
断末魔も無しに数秒後、強力な光りを出して爆散してしまった。
その姿を見送ったアラドとゼオラはすぐにラトゥーニとオウカの元へと向かって行った。
向かっている間、ゼオラはアラドにプライベート通信をかけた。

「何とか上手く行ったわね。それにオウカ姉様も・・・」
「だな。にしてもらしくねぇ事したから疲れた~。早く帰って飯にしようぜ。オウカ姉さんも連れてな。」
「ええ、そうね。」

今までの緊張をほぐしてくれる様な間の抜けた話に笑みを浮かべて答えるゼオラ。
その姿を見て安心したのかアラドはオウカとラトゥーニの元へと足早に進んでいく。
やっと叶った自分達の目的に心の中では喜びを隠せないでいる。
その事に照れを感じながらアラドとゼオラは待望の義姉に再会を果たした。


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