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青き天体研究所

青き天体研究所

学園生活 文化祭編

7月、文化祭に向けて企画を出す為ホームルームの時間を使って企画を決めていた。

「誰か文化祭の出し物考えてきた人、順次に黒板に書いていけ!ダブったものは書かなくても良い!!」

クラス委員でもないのに何故かまとめているセインが生徒に向かって言い放つ。

そう言われた生徒達はぞろぞろと黒板に書いていく。

その中にリュウセイ、クスハ、ブリット、フィスの姿もいた。

『お化け屋敷』『フィーリングカップル』『縁日』『舞台劇』など、多数の企画が書かれていく。

39人全員が書き終わり、セインは黒板に書かれた企画を見ていく。

「よし!ではこのクラスは『喫茶店』で行く。」

『ちょっと待てや、ゴルァ!!』

セインの決定に39人異口同音で突っ込み始める。

「何処にも喫茶店なんて書いて無いじゃん!」

「いくらマグネイト=テンがある程度自由だからってそれは無いだろう!!」

「それ以前に最初ッから決めてただろ!!」

数々の突っ込みを聞きながら、リュウセイ達は頭を抱える。

セインに関してはその様な突っ込みを受け流しているように見える。

「別に良いだろう、喫茶店でも。沢山稼・・・ゴホン、沢山の人に楽しんでもらうにはこれが良いではないか。」

今明らかに「稼ぐ」と聞こえたのだが、39人全員が呆れ始め突っ込む気力が無くなって来た。

「安心しろ!脳内に構成が出来ているんだ。それに俺に逆らえる者など誰もいない。」

クククっと笑いながら企画書をまとめ始める。

実際にセインはこの学園の影の権力者である為、誰も注意できないのだ。(一部を除く)

その話はまた今度話すとしよう。

企画書を書き終わったのかセインは廊下へと出て行こうとする。

「後で美味い紅茶の入れ方と接客の仕方を教えてやる。後のことは俺に任せて君達は夏休みをエンジョイしたまえ。」

既に顔が悪っぽくなっているセインはそう呟いて行ってしまった。

クラスには重たい空気がしばらくの間流れていた。





「無事に企画も通った事だし、さっさと役割を決まるぞ!」

「有無も言わさずにか?」

「では20人ほどウェイター又はウェイトレス、10人ほど調理、後は宣伝な。」

「無視か・・・。」

ブリットの質問も無視し、どんどん決めていくセイン。

ふと気が付くと既に役割が決まっていた。

「ではヨロシク♪」

「ちょっと待て!俺はまだ聞いていないぞ!!」

その言葉も無視し、とっとと教室から出て行った。

その後、ブリットがキレて教室を半壊させた事は闇に葬られた。

(リュウセイとフィスが何とか鎮圧。負傷者15人の大惨事となっていたが。)












夏休みに突入した瞬間、セインの行動が始まった。

クラス全員を別荘に連れて(拉致って)特別合宿を行っていたのである。

料理の仕方から客の正しい接し方までこの合宿中に学ばせようとしたのだ。

当然逃げ出そうとした者も沢山いたのだが、セインの戦略により見事失敗に終わった。

(リュウセイ、ブリットは何とか逃げ出したようだが、クスハによって捕まってしまう。)

「いい加減にしろ、セイン!!俺たちを死なす気か!?」

「人間その位では死にはせんよ。物事は全て完璧にしなければならないからな。」

「だからと言ってな!それに今まで思ってたんだがお前、祭りとなると性格が変わってるぞ!!」

「祭りは盛り上がらなければならない!!その為なら俺は・・・鬼になる!!

「俺はファーストコンタクトの時からお前に寿命を減らされてきたけどな。」

「・・・・・・・・・・・。」

「何故黙る!?」

リュウセイは小学3年の頃からの知り合いである。

その為かなり多くの危険な目に遭って来ているのである。

その話もまた後ほどで。

「兎に角、そろそろ開放しろ!!このままだとみんな参っちまうぞ。」

「仕方が無い・・・。だが後2日程待ってもらおう。」

「? 如何してなんだ?」

「ある物が届くからだ。」




そして2日後、セインの言ってた通りある物が届いた。それは―――

「何なんだ、これは!?」

「何ってウェイターの服とウェイトレスの服だけど。」

「そんな事はどうでも良い!何でピッタリに出来ているんだ!!気色悪いぞ!!」

リュウセイの言ってた通り、服の丈から何までピッタリに出来ているのだ。

ウェイトレスの服装に関しては何だかメイド服のようにも見える。

セインはフッと息を吹き話し始めた。

「俺に解けないプロテクトなんて無いんだよ・・・。」

「つまり国連のデータベースに不法侵入し、個人データをハッキングしたんだな。」

「安心しろ。痕跡は残していない。」

「それが言いたいんじゃない!プライベートの侵害だと言いたいんだ!!」

と、口論しているとフィスとクスハがあることに気付く。

「あのぉ聞きたい事があるんですが・・・。」

「ん、何だ?」

「この服装からすると喫茶店よりコスプレ喫茶になる様な気がするんですけど・・・。」

「「アッ!!」」

何故か既に裾を通している2人の姿を見て、納得してしまう。

ちなみにブリットもこの場にいたのだが、鼻血を出して倒れている。

向こう側でわいわい騒いでる中、その場に沈黙が流れる。

「・・・・まぁ気にしない方向で。」

「気にしろよ。」

その場から離れようとするセインを捕まえて、その場を引き止めた。




「何でこんなデザインにしたんですか?」

「俺がデザインしたんではなく、業者の方がデザインしたんだ。」

「この服を作るためにかかった経費は何処へ?」

「自費だよ。文化祭を盛り上げるために・・・。」

事情聴取を受けるような形になって質問している。

何故かセインの目の前にはカツ丼が置いてあるのだが。

「このような展開になるとは思わなかったんですね?」

「当たり前だろ。メイド服で釣るような真似はする訳にはいかないからな。」

「分かりました。ではフィス、判決を・・・。」

今まで質問していたクスハの話を聞き、フィスが判決を下す。

何故裁判になっている事が気になって仕方が無いリュウセイなのだが、突っ込む気力も失せている。

「判決!この行為は事故であったと言う事で無罪とする。自費だと言うのもありますしね。」

「・・・・・・・・・・。何で裁判になってるの!?」

「やっと突っ込んでくれましたか。兎に角、このままやるしかないと思いますから異論はありませんよ。」

「こんな可愛い服ですしね♪」

そう言ってフィスはクルリと一回転する。

その様子を見て頭を抱える事しか出来なかった。

その後、開放されたクラス全員は久々の家の帰宅に喜びを感じたとか。












9月後半、いよいよ文化祭が始まった。

マグネイト=テンの文化祭は他の文化祭と変わっていて、1週間する事となっている。

マンモス校である為、一斉に文化祭をする事が出来ないからである。

高等部の文化祭は木、金曜日となっている。

セイン達のクラスは飾り付けが終わった教室の中で最後の打ち合わせをしていた。

「・・・・と言う事だ。何か質問は?」

「変更点とか無いのか?」

「役割の方は変更があってウェイター、ウェイトレスは10人、調理の方は俺とフィスがやる。その代わり3人ほど紅茶を入れる係になってくれ。その他は時間が来るまで回っててくれ。」

「つまり25人ほど暇になったって事か。もしかしてこの服のままか?」

そう言ってあの服を出す。

「もちろん、それで宣伝行為にもなるからな。他には?」

全員首を横に振る。その様子を確かめ、セインは再び口を開いた。

「最後に一つ!みんなで楽しい文化祭にするぞ!!」

『お~~!!』

その掛け声が高等部中に響いていたが、気にしなかった。



そして当日、思ったより客足が運び始めすぐに満席となってしまう。

その為かウェイター達は忙しくなり、休む暇が無かった。

『ミルフィーユセット1つ。』

『アップルティとアップルパイ、それとクッキーを』

その様な注文を受け、厨房の方も忙しくなる。

「セイ兄!このケーキは如何すれば・・・?」

「それか?10分の1にカットした後、皿に乗せそこにあるチョコレートと生クリームで飾り付けしてくれ。」

「分かりました。このアップルパイは?」

「それも同様だ。ただし飾りつけはチョコレートや生クリームじゃなく、そこのミントの葉を使うんだ。」

「ミントの葉ですね。クッキーの方は出来ていますか?」

「ああ。そこに出来ているはずだ。運ばせろ。」

と、手を動かしながら指示を下していく。

フィスも殆どの事が分かってるらしく、あまり聞かず飾りつけや生地の生成をしていたりしている。

2人で作ってると思えないほどてきぱき動いている為、客を待たせてはいない。

そこを注目すると凄いとしか言いようが無い。

「何であんなにテキパキ動けるんだろう。」

「双子だからだろ。それよりサボってんなよ、リョウト。」

「な!リュウセイじゃないんだから失礼な事言うなよ、ユウ。」

「それなら良いがな。それにしても何故こんな良い紅茶の葉が手に入ったんだ?」

「裏ルートで手に入れたとか言ってたけど・・・。」

「・・・・後で少し貰ってこよ。」

『2人ともサボってないで手伝ってよ!!』

「「はいっ!!」」

と注意される部分もあったが、結果として成功していった。

その頃、リュウセイ達はと言うと・・・・。







「フハハハハハハ!!俺にバーニングPTに勝つなんて百年早いんだよ!!」

「くっそう・・・。あんな服を着ている野郎に負けるなんて・・・。」

学校内でやっていたバーニングPTの大会に出場し、優勝を勝ち取っていた。

ブリットとクスハは別のところでお茶でもしているのだろう。

「さぁさぁさぁさぁ!!誰でもいいからかかって来いよ!!」

「勝てる訳ねぇだろ。あんな戦略見たことねぇ・・・。」

その戦略とは、いきなり突っ込んで行きダメージを食らわせた後、遠距離で攻撃すると言うものである。

もちろん関節部を狙ってる為、対戦相手は身動き取れない形になってしまうのである。

そのため、一部を除きリュウセイに勝てるものはいなかった。

独壇場となったこの大会でもうリュウセイ歯向かおうとする勇気ある者はいなかった。












喫茶店の売れ行きも良く、文化祭が終わる頃には○万円稼いだようだ。

「ヨッシャア!今から打ち上げするぞ!!」

「おいコラちょと待て!」

稼いだお金をライ○ン○ングのシ○バが生まれる時のように掲げるセインに突っ込むブリット。

ブリット以外の人はヤル気十分であった。

「その金寄付金になるんじゃないのか!?」

「いや、一割ほど寄付したら後は自由に使ってもいいんだよ。」

「そんなに自由なの!?うちの学校は!!」

「今頃気付いたのか。気を取り直して打ち上げするぞ!!」

『お~~~!!』



その後稼いだお金で打ち上げし、飲めや食えやの騒ぎとなっていた。

その騒ぎで駆けつけた警察達から逃げ出し、情報網を混乱させ、カラオケで騒いでいた事は公にならなかった。

ちなみにあの時着ていた服は、各自持ち帰りとなっていた。


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