ハイネの森

2021/04/04(日)19:33

Étoiles フランス・バレエのエレガンス

Ballet(116)

♪『ベニスの踊り』よりサタネラのパ・ド・ドゥ    シャルリーヌ・ギゼンダナー / ヤニック・ビトンクール Bプロ初日で幕開けなので少し緊張気味で固めに感じたが、堅実な踊りだった。 若手注目株のビトンクールは手足が長くて恵まれたプロポーションの王子様体型。意外に優等生タイプの踊りだったので、素材の良さそのままにダンスール・ノーブルの道を邁進してほしい。パリオペは古典王子様がはまる人材が意外に少ないので貴重な存在だろう。 ♪『カラヴァッジオ』第1幕より    ミリアム・ウルド=ブラーム / マチュー・ガニオ 優等生といえば本家本元のマチュー・ガニオ。肌色パンツ一丁だろうが“清廉潔白”という四文字熟語が浮かんでしまうのは、いいんだか悪いんだか・・・相手役のミリアムも清潔感のあるダンサーなので、二人が絡んで踊るとセクシーさとかエロスを感じるよりも高い精神性とか理想なんて言葉がうかぶ。 ♪『コッペリア』第2幕より    マチルド・フルステ / フロリアン・マニュネ フルステさんは調子が良さそうで(笑) 長ぁ~いバランスを余裕できめていた。 その技の見せ方とか表現過多気味のところがフランス的でないと見られるようで、鼻につくこともあったが、片足パッセですっと立っているポーズで、びしーっと1本線が入っていて凛とした佇まいを感じた。そういうとこは好きかも。それと「ここで踊っているいるのが楽しいの」という思いが伝わる笑顔で踊られると、多少「ん~にゃっ」と演歌調な表現も許せてしまう。彼女、パリじゃなくロシアだったらそれほど演歌調に感じないかもしれない。 フロリアンはまぁ無難。サポートは上手そう。 ♪『椿姫』第3幕より    イザベル・シアラヴォラ / バンジャマン・ペッシュ バンジャマンは椿姫が好きなのね。これで紫・白・黒と三色揃ったが、うーーーん、、、エレオノーラとのコンビのほうが椿姫には合ってるように思えた。 この二人からは刹那的なパッションというものが見えなかった。どちらも演技派だろうが、椿姫に関しては二人の相乗効果がなかったようだ。 ♪『ドン・キホーテ』第3幕より    ドロテ・ジルベール / ジョシュア・オファルト ふつうこの演目がトリにくるが、こないのがバンジャマン風構成か。 ドロテは黒赤のキトリのチュチュがよく似合う。バランスを見せるのに固執したのが少々残念だったが、大輪の紅い薔薇のような華やかさだった。押し出しの強い「これぞ主役様」というキトリ。ジョシュア・オファルトもドロテに負けずオーラがでてきていたのにビックリ ルグリ先生のNHKのレッスン番組の頃には「わっダサっ」と感じるほど野暮ったかったのに。きっちり5番に入り、アンディオール、爪先ピンで溌剌と踊っているので、観ていて気持ちよかった。 ♪『ランデヴー』    イザベル・シアラヴォラ / バンジャマン・ペッシュ こちらの二人は良かった。 無声映画のような雰囲気で、シアラヴォラの美貌に凄みがあり、大人の時間。 バンジャマンも女に翻弄される若者に見え、ふたりの役割がよくわかった。 シアラヴォラの脚は芸術品というかありえない美しさで、足フェチ(!)のプティ作品ではその身体的特徴が最大限に活かされていた。 ♪『ミューズを率いるアポロ』    ミリアム・ウルド=ブラーム / マチルド・フルステ    シャルリーヌ・ギゼンダナー / マチュー・ガニオ 一昨年のガルニエで観ているマチューのアポロ。その時よりも良かった。 セクシーさが足らないとかつい辛口になってしまうが、それは彼に期待しているから。踊りの美しさ端正さは比類なきもので、じゅうぶん完成されいるのはわかるが、あと一味何かが加わればいいなといつも思う。 ♪『スターバト・マテール』    ドロテ・ジルベール / バンジャマン・ペッシュ バンジャマン・ペッシュ振付の作品、これが意外に良かった。(意外なんて言ってスミマセン) 照明の変化や幕の使い方、あと宙づりで視覚的に変化をもたせて飽きさせない。 さすがアーティスティック・オーガナイザー、物事を色々な方向から見ることができる人だと思った。じゃないと公演の企画なんてできないよね。 でも~ ドロテクラスが踊らないと魅力ないかも。若手奮闘公演には向かない作品だ。 ♪『オーニス』    ジョシュア・オファルト / フロリアン・マニュネ / ヤニック・ビトンクール 何でこれがトリだったのか。観ててそればっかり考えてしまって、笑えてきた。 イケメン三人衆はいいんだけどさ、村の真ん中でイケメンが婚活もどきのフォークダンスを長々と踊っているようで・・・どこかでバージョン変わってフォークダンスから進化するのかと思ってたら、最後までそのままだった。サスペンダーは良かったけど。 いつものエトワール・ガラより若手にシフトしていたが、じゅうぶん見ごたえのある公演。バンジャマン企画公演で ずんちゃっか ずんちゃっか  ずんちゃちゃーかかずちゃちゃかちゃんっ と脳天気なコッぺリアの曲が流れてくるのも新鮮だった。 昨日のNHKBSでも流れていたが、石巻へチャリティーレッスンに出向いたりと行動派の彼ら。 そんな彼らに“ありがとう”の気持ちと“また来てね”の思いをこめて、いっぱい拍手してきた。 (1月31日 五反田ゆうぽうとホール)

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