16rh 1つの決着 もう1つの戦い戦闘は攻防の繰り返しが続いていた。ヴェスタが2体を操り攻撃。それをリーベルが回避し反撃。瑞樹も回避を続けリーベルをサポートする形をとっていた。リーベル 「け・・・結構避けたけど、今どんくらい経ったッスかぁ!?」 瑞樹 「ざっと2・3分って所かしら・・・」 リーベル 「・・・うへぇ、もうばてそう・・・」 デビル 「おいおい!ばてるにはまだ」 サタン 「早い!!」 2体が同時に突進。この攻撃は避ける事が出来なかった。リーベルに直撃し、壁に激突した。 瑞樹 「リーベル君!!」 返事がない・・・ ヴェスタ 「終わったか・・・」 サタン 「あっけない・・・」 デビル 「あ~あ、つまんねぇ。これならこいつ放っておいて二挺拳銃使いを追った方が・・・」 ヴェスタ達3人は1人の異変に気づく。瑞樹が苦しんでいた。 ヴェスタ 「・・・・何だ?」 瑞樹に近づこうとした瞬間、壁の一画の煙が一気に払われ、そこから目に焼きつくほど恐ろしい紅蓮の炎が現れた。 デビル 「お、おいおいおいおい!!」 サタン 「まさか・・・」 瑞樹 「り・・・リーベル君。」 頭の先から足元まで全てを炎に包ませている青年。リーベルだった。だがリーベルの目は完全に白目を剥いていた。 リーベル 「使イタクはナカッタけド・・・使ウシかナイみタイ。」 今までのリーベルでは考えられないドスの効いた声。ヴェスタ達はもちろんの事、瑞樹でさえ驚きを隠せなかった。 瑞樹 「リーベル君・・・あなた・・・それ!」 リーベル 「ゴメん・・・アマリ・・・話セナい・・・制御・・・デキナイから・・・ヨロしク。」 今のリーベルは自分で自分を制御できてない。だからこちらの供給も半端じゃない量なのだ。瑞樹はそれに気づき、笑顔で返す。 瑞樹 「私の事は気にしないの・・・思う存分やっちゃいなさい。アナタの力と・・・私の力で。」 リーベル 「アリガトう・・・」 リーベルがヴェスタ達3人を捕らえる。その目には先ほどまでのあどけなさが残ってない。 ヴェスタ 「チッ!ここまで来て隠し玉かよ!構うなオレの全てをくれてやる!アイツを何としてでも止めろ!!」 デビル 「がってん!」 サタン 「面白い!!」 2体の精霊は再び突撃を開始する。 直撃・・・・そして爆発。ヴェスタは勝った気でいた。・・・・だが 瑞樹 「・・・・甘い!」 噴煙は一気に払われ、そこには精霊の達の頭を鷲掴みにしているリーベルが存在した。 デビル 「イテテテテテ!!」 サタン 「なっ!?ぐっ!」 リーベル 「フゥゥゥゥゥゥ・・・」 ヴェスタ 「嘘・・・・だろ?」 ヴェスタが驚きの言葉を発した次の瞬間・・・ リーベル 「ウワぁァァァぁァ!!!!!」 頭を掴んでいたリーベルの両手のひらが異常なまでに赤く発光し、精霊達を燃やし始めた。2体は苦しむ暇も叫ぶ暇もなく灰と化した。 戦いが終わり、リーベルは元の姿に戻っていた。呆然と立ち尽くすヴェスタを一瞬だけ見たが リーベル 「先を・・・急ぐッス。」 瑞樹 「え・・・えぇ。」 上へ向かおうとする2人。それをヴェスタが止めた。 ヴェスタ 「おい・・・勝負はついたんだ。・・・オレをこのままにしてていいのか?」 リーベル 「・・・・・」 ヴェスタ 「オレをこのままにしておけば・・・またお前を狙うかもしれねぇぞ?」 瑞樹 「・・・リーベル君。」 リーベル 「狙いが刻真君から変わるんならそれで構わないッス。」 ヴェスタ 「!・・・何だと?」 リーベル 「あの人は・・・何だかんだで忙しい人ッス。僕は・・・」 ヴェスタに顔を向け笑いながら話を続けるリーベル リーベル 「僕は年がら年中暇だから、いつでも相手になるッス!まぁ、返り討ちにしてやるッスけどね。」 瑞樹は呆気にとられた。今までにない程の自信に満ち溢れた顔つきのリーベルを見て。ヴェスタも同じだった。 ヴェスタ 「・・・へっ、言ってくれるじゃねぇかよ。」 リーベル 「でも今はもう相手にできないッス。待ってるからね・・・みんなが。」 そう言い残してリーベルは階段を駆け上がる。後を追うように瑞樹も慌てて階段を上り始めた。 ヴェスタ 「・・・・敵わねぇなぁ。」 笑みを浮かべたヴェスタはその場に倒れこんだ・・・ 一気に階段を駆け上がる刻真達。 ファナ (レオンからアナタの事を全部聞いたわ。おかげで私に振り向かなかったのも納得できたわ) 英明 「・・・・・・・。」 ファナ (でもアナタは幸せそうだった・・・・。何でかしら?人でもない[物]を貰って喜んでる。分からないわ) 英明 「・・・・・・・。」 急に英明が立ち止まった。異変に気づく渚が話しかける 渚 「英明・・・どしたの?」 英明 「・・・・・・。」 刻真 「・・・・大丈夫か?」 英明 「あ?あぁ、大丈夫だ。いやぁ、俺も年だなぁ。少し疲れちまったわ」 麻都 「じ、自分で認めちゃったらそこまでじゃあ・・・」 刻真 「もう少し頑張れ、もう出口だ。」 英明 「そうか・・・なら行くか!」 再び英明が走り出す。不意を疲れたスタートに全員が遅れて走り出す。 刻真達が出口に着いた。1階と同じ作りの広間だった。何故か英明が戦闘態勢を取っている。 刻真 「どうした?」 英明 「・・・・・・。」 渚 「・・・・居るの?」 英明が静かに頷く。[敵]の事だとわかった刻真達も戦闘態勢を取る。 英明 「わりぃんだけどよぉ、刻真・・・ここは俺らに任せてくれねぇか?」 英明の提案に刻真は銃を降ろした。 麻都 「ちょっ、刻真!?」 刻真 「任せていいんだな?」 刻真の質問に笑いながら答える英明。 英明 「へっ、誰に聞いてんだよ。それに・・・コイツは俺が相手しなくちゃぁいけねぇんだよ。」 刻真 「・・・そうか。」 刻真はさらに上へ続く階段に向かい歩き出す。慌てて麻都も後を追いかける。 麻都 「ちょっとちょっと!本当にいいの!?」 刻真 「アイツが望んでる事だ。オレにとやかく言う権利は無い。」 麻都 「そりゃあそうかもしれないけどさぁ・・・」 英明 「刻真の言うとおりだ。」 麻都 「え?」 英明 「お前らにはお前らの獲物が居るだろ・・・早く行け。」 英明に後押しされて刻真は走りだす。麻都も戸惑いながらも後を追う。 英明 「・・・さぁて、邪魔者は居なくなった。そろそろ出て来い!ファナ!!」 空間に響く英明の声。すると背後からあの[変幻自在に動く鎖]が飛んできた。間一髪でかわす英明。 鎖が主の元へと帰って行く。ファナだった ファナ 「・・・・・。」 英明 「よぉ。」 渚 「今日こそ引導渡してあげるからね、性悪女!!」 ファナ 「アナタは黙ってて、この紛い物。」 渚 「なっ!!」 渚の顔がみるみる赤くなっていく。 英明 (精霊でも赤くなるんだなぁ・・・・) 渚 「なんて事言うのよ!!大体こんな体にしたのはアンタでしょうが!!」 ファナ 「頼まれたからやったの。でなきゃアナタなんて見たくもなかったわよ。」 英明 「おい・・・」 渚 「こ、こっちだって同じよ!!アンタの顔なんて見たくなんかないわ!!」 ファナ 「なら[具現化]を解けばいいでしょ。まさか・・・出来ないの?」←含み笑い 渚 「何よその笑いは!!解くくらい出来るわよ!でも居なくなったら英明が可愛そうでしょ!!」 英明 「お前らいい加減に・・・」 ファナ 「アナタが居なくなっても変わらないわよ、その人は。」 渚 「アンタになんでわかるのよ!!」 英明 「いい加減にしろ!!」 再び、だが今度のは耳鳴りがする程の大きな声が響いた。ファナと渚は静かになった。 英明 「ふぅ・・・。各々言いたい事はあると思うが、俺は急ぎたいんだ。さっさと始めねぇか?」 ファナ 「そういう性格・・・人によっては嫌われるわよ。」 英明 「渚に嫌われなければそれでいい。」 渚 「アタシ・・・そういうの苦手。」 英明 「・・・・・我慢しろ。」 怒りで眉がピクピクと動いていたが、それでも戦闘態勢を崩さない英明。ファナも戦闘態勢を取った。 英明 「渚・・・」 渚 「何?」 英明 「言いたい事は戦闘中に言え。支障のない程度にな。俺もそうする。」 渚 「・・・・・わかった。」 渚の言葉を聞いた英明はその手に握られている太刀 漣(さざなみ)を強く握った。 ジャンル別一覧
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