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一番星のしたで

[読了日記☆] カテゴリの記事

全61件 (61件中 1-50件目)

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西の魔女が死んだ　☆　梨木香歩

めっさ久しぶりに更新です。今日は午前中小さい本番があって、夕方まで時間が空いたので今は実家に戻ってパソさんに向かってます。窓から差し込む日差しがまぶしい・・・さて、最近も変わらず図書館へ通ってちょっとずつ本読んでるのですが、先日、久しぶりに古本屋で本を買いました。それがタイトルの本。前から気にはなっていたんですが、文庫で安く売っていたので、図書館で借りてもいいかな、とは思ったんですけど、ついで、今日読み終わりました。前評判通り、ホカホカ、あったかい陽だまりに包まれたみたいな読了感少しだけ切ない、だけど前向きになれる本です。短くてさらっと読める本なので、皆様もゼヒ梨木さんの「裏庭」も今度探して読んでみようと思います。

Dec 1, 2007

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記憶のある限り

なんだか最近更新するたびに「久しぶり」という単語を使う気がするので、今日は使いません！！！ところで最近「読了日記」をまったくといっていいほど更新していないのが気になってきて・・・いや。本は読んでるんだけどね。更新するのがね。めんどく・・・なかなか時間が取れなくってということで、昨日までで読んだ本を一気にリストアップしてみたいと思いますでも、ずいぶん前からだからとっくに記憶から消し飛んでるのが多いと思う・・・とりあえず、タイトルだけで。著者を覚えるのが苦手なのです・・・思い出したら書くことにしよう。前に書いたのとかぶってたらすんません。風に舞い上がるビニールシート（森絵都両性具有迷宮（西澤保彦ねじまき鳥クロニクル（村上春樹猫街（萩原朔太郎殺してしまえば分からない（射逆裕二みんな誰かを殺したい（射逆裕二情けは人の死を招く（射逆裕二君の名残を（朝倉卓弥四日間の奇跡（朝倉卓弥本格推理委員会（日向まさみちみずうみ（いしいしんじ格闘する者に○（三浦しをん図書館戦争（有川浩図書館内乱（有川浩図書館危機（有川浩レインツリーの国（有川浩切れない糸（坂木司エンドゲーム（恩田陸ぼくは悪党になりたい（笹生陽子あかん・・・思い出せない・・・図書館の貸し出し記録も捨てちゃったし・・・今度から取っておこうかな。うん。そうしよう。ということで、今読んでるのは、ラッシュライフ（伊坂幸太郎です。なかなか面白い・・・☆最近週に一度図書館に通ってます。今の時期はエアコン効いてるから、快適な環境でじっくり読めるし♪さて、そろそろ帰ってご飯食べます（会社のパソコンで更新中・・・爆）今度ここに現れる頃には、秋になってるかも・・・（苦笑

Aug 27, 2007

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七つの黒い夢　☆　乙一　恩田陸　北村薫　誉田哲也　西澤保彦　桜坂洋　岩井志麻子

アンソロジーです。７人の中で読んだことある人は乙一さんと恩田陸さんだけ。北村薫さんとか西澤さん、岩井さんは名前は聞いたことあるけど。。。というぐらいで、どんな話を書くのか全然知りませんでした。ホラーというか、ダークファンタジー・・・？表面上はなんともない日常。なのに、ちょとした瞬間、ずれていびつに歪んだ世界が覗く。じわじわと崩れていく現実。気づいたときには、もう手遅れ。振り返ると、恐怖が全てを呑み込んでいる。この子の絵は未完成　乙一赤い鞠　恩田陸百物語　北村薫天使のレシート　誉田哲也桟敷がたり　西澤保彦１０月はＳＰＡＭで満ちている　桜坂洋哭く姉と嘲う弟　岩井志麻子「天使のレシート」の最後は怖かった・・・こうなっちゃうの！？という結末。「１０月はＳＰＡＭで満ちている」は推理小説みたいで面白かった☆新しい作家さんを見つけるときはアンソロジーっていい手段になります♪

Nov 9, 2006

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陰日向に咲く　☆　劇団ひとり

随分前から気になっていた本。会社の営業さんが貸してくれました！！！ありがとう先輩！連作小説です。私の大好きな恩田陸さんが、帯に「ビギナーズ・ラックにしてはうますぎる。あと二冊は書いてもらわなきゃ」と書いています。読み終わった後、なるほどな、と思いました。もっと読んでみたい、と思います。この人が書く物語を、もっと読んでみたい、って。５つのお話でつづられているんですが、どれも英雄とは程遠く、ヒロインとはかけ離れていて、ひっそりと路地裏に咲いている小さい花のようなそんな人たちが主人公。嫌なこととか苦しいこととか、逃げ出したいこととか、そういうものが溢れた世の中から全てを諦めてなんだかよく分からない流れに流されながら生きていた人たち。妙なところでプライドがあったり、かっこつけたり、意地になったり。でもきっと、世の中の大部分の人が主人公たちと同じ気持ちを持っていて、同じように感じているところがあると思う。だからこそきっと、色んな人が読んで、驚いて共感できるんだと。本が苦手な人でもきっと読めると思う。リズミカルで、笑えるとこもあるし。ぜひ、読んでみて欲しい一冊☆ちなみに私は４つ目の、「Ｏｖｅｒｒｕｎ」が一番スキでした。

Nov 8, 2006

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格闘する者に○　☆　三浦しをん

三浦しをんさんのデビュー作です。これからどうやって生きていこう？マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。マンガ大好き→漫画雑誌の編集者になれたら・・・いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気溢れる小説デビュー作。と、文庫の裏に書いてあります。漫画大好き→漫画雑誌の編集者、なんて安易な考えで就職を考えてしまえる可南子ですが、それなりに悩んだり考えたりもすることだってあって。いびつな家族関係に頭を抱えたりしながらも、どこか一歩ずれたところで冷静に（？）意見を言ってみたり。就職の行方も、恋の行方も、家族の未来も、どうなるのか全然分からない。分からないけど、悪い方向に行くのは困る。困るから、なんとかもがいてみるけど・・・女子大生一人の力じゃ、そんなに簡単に上手くいかないように出来てるのが世の中。合否だけで全ての物事は片付かない。ｙｅｓ　ｎｏだけじゃ、語れない。スキも嫌いも夢も現実も全部が全部あいまいで、どっちかなんて選べなくて。どっちにも進めないけど、後戻りもできない。別に、それは悪いことじゃない。自分のこと信じて、自分が信じた方へ向いて自分の信じるリズムで進むべきだ。急いで先回りしても、ちょっとサボって遠回りしてもゴールが一緒なら。何もしないより、何かして、自分なりに戦ってみる。勝てなくても、勝負が付かなくても。三浦しをんさんの、始まりのお話。読んでよかった。

Nov 7, 2006

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光の帝国　常野物語　☆　恩田陸

実はこの本、高校で一度読んだことあるのですが、続きの本を読もうと思って復習がてら借りてきました。あなたのまわりにも彼らはいる。不思議な能力をもつ一族の物語。穏やかで、知的で、権力への志向を持たずにひっそりと生きる人々。時を越えてよみがえる風景。彼らが生かされている場所と帰るべきところは・・・？長い歴史の中で、ひっそりと守られてきた能力。誰にも知られないように、気づかれないように。時が来るまでは。一度読んだときは、「光の帝国」とタイトルが付けられたお話が好きでした。せつなくて泣きそうになったのをこらえた記憶があります。授業中だったので（苦笑）読み返すとどんな物語だったかおぼろげに思い出すんですが、タイトルだけじゃどんな話だったか全然さっぱり分かりませんでした。不思議な能力を持つってどんな気持ちなんだろう。超能力とか、予知夢とか、聞いたことあるけど、私は持ってないし・・・でも、何時の時代でも、何か「特殊」な能力を持つってことはやっぱり特別で、それが良い方向に向くかどうかは分からない。たぶんたいていの場合で、悪い方向に向けられることのほうが多い気がするけれど。どこかで、もしかしたら直ぐ近くで、常野の人たちがひっそりと息をしているのかも知れない・・・続編、早く読みたいよ～

Nov 4, 2006

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老人と海　☆　ヘミングウェイ

キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず小船に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。四日にわたる死闘ののち、老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、船にくくりつけた獲物は見る見るうちに食いちぎられていく・・・老人と、海のお話です（そのままやん）食べモノもない、水もない、傷ついた腕は痛むし、獲物は一向に弱る気配を見せず、何処まで行けばいいのかも分からない。このまま獲物に引っ張られて行ったとして、果たして島へ帰れるのだろうか。もう諦めて、そろそろ島へ戻ったほうがいいのではないか。こんな獲物一匹のために、ここまで来てしまった。いや、こんな誰も来ない遠い海まで来たのだからこそ、この獲物を島へ持って帰り、自分がまだ大丈夫だということを証明しなければならない。それにしても、いったい何時になったらこの戦いは終わるのだ・・・小さな船で、一人きり。話し相手もいない、手伝ってくれる仲間もいない。太陽は容赦なく彼の体力を奪い、夜の寒さは彼を暗いところへ引きずり下ろそうとする。自然の強さと、恐ろしさ、そして情け容赦ない弱肉強食の世界。奪わなければ奪われる。殺さなければ、殺される。たった一人で老人が立ち向かうのは、広い海と自分自身。自然と闘いながら、本当に勝たなければならい相手は、紛れもない自分だった。ギリギリの所で戦い続けた老人の数日間。なんとも長いお話でした。ページ数にしたらたいしたことないんだけど、読むのにものすごい時間かかってしまった。どんな内容なのか気になったから借りてきたんだけど・・・中身をきちんと把握するにはあと数回読まなきゃいけない気がする。絶対無理だろうけど（苦笑）

Nov 1, 2006

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チョコレートコスモス　☆　恩田陸

なんだか最近、どっぷり活字中毒ですな・・・毎日本読んでる気がする。そんな暇があるなら練習しなさい！って怒られても文句は言えない（汗）なんだか、怖いようで、不思議で、でも何故か先が気になって仕方がなくて、ずばーっと読み進めてしまいました。大まかなあらすじは、一人の少女が世界に抱いてる「疑問」を「芝居」を通して知っていく、というような感じ、かな。ごくごく普通の少女が演じる芝居は、今まで見たどんなものとも違う、何か「特別」なものを持っていることを感じさせます。舞台上で繰り広げられるその芝居が、回りの人々を畏怖とも驚きとも違う気持ちにさせているのに、主人公の少女は、あくまで「普通」その「あまりにも普通」なことが、余計にその芝居の「異質」さを際立たせてる。少女が抱いている「疑問」の答えは、芝居の世界の向こう側にあるのだろうか？話の展開を語るのは、おもに少女を取り巻く人たち。脚本家だったり、売れっ子の女優だったり、少女が所属する劇団の仲間だったり。少女自体が語ることは、ほとんどない、かな。回りの人が、「すごいすごい」ってはやし立てるばっかりで、少女自身はそんなこと少しも思ってない。何にもないんだな、というのが、少女に対しての感想。純粋すぎる、というわけじゃなくて、なんにも無い、のほうがしっくりくる。何でも出来ちゃうロボットみたい。やれ、って言われたら、はい、ってすぐ出来ちゃうロボット。多少の感情はあるんだろうけど・・・今まで読んだ恩田さんの本の登場人物とはちょっと違う感じがしたかな。裏の顔が合ったり、絶望したり、犯罪をたくらんだり、とか。そういうのとは全く縁の無い、カラッポな人みたい。「何かある人」を書くのも難しいと思うのに、「何も無い人」を書いちゃうなんて、とびっくりしました。本文中に、役者のオーディションや実在する芝居の台詞なんかも出てきて、芝居なんて全然知らない私ですが、ちょっと「かじれた」かな、なんてちょっと得した気分です。

Oct 25, 2006

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むかしのはなし　☆　三浦しをん

死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか。わたしを記憶する人はだれもいない。わたし自身さえ、わたしのことを忘れてしまった。胸のうちに、語り伝えよという声のみが響く。これはたぶん、思い出のようなもの。あとはただ、ゆっくりと忘れ去られていくだけの。誰もが知っている昔話、かぐや姫や、桃太郎、花咲かじいさん、などなど。そういう昔話を現代風にして、ちょこっと砂糖やら塩を加えて、ミートソースで一緒にしたら、こんな風になりました、っていう感じかなぁ。７編の短いお話が収録されていますが、そのすべてが、こちら側へ向かって語りかけられるようにつづってあります。まるで、昔話の主人公が、自分の体験した話を語ってくれてるような。最初、それぞれのお話は別々の物語のように思っていたのですが、４話目から次第に流れが見えてきて、最後のお話で、最初の物語とのつながりが見えてきました。そういうぐるっと回る感じのお話、個人的には大好きなのです。最後まで読んで、また最初に戻って読み返す楽しみができるから。私たちが知っている昔話は、「日本昔話」に出てくるようなお話できっと皆が共通認識できてるはずだけど、たとえば５００年後。そのときになって語られる「昔話」って、どんなんだろう？と思う。私たちが知っている浦島太郎や天女の羽衣とか、そういう話を５００年後の子供たちは、知ってるんだろうか？新しい昔話が語られるようになるのかな？私たちの知らないような物語が、当たり前のように語られてるのかな。それとも、私たち自身の話が、昔話になってるのかな。短編それぞれに結末を見つけようとすると難しいかもしれないけど、一冊を通して読むと、なんだか大きい輪っかの中身が見えてきます。しょせん、私たちのいるこの時間は、ほんの一瞬でしかないんだって。余談ですが・・・タイトルの「むかしのはなし」を英訳した「Ａ　ＬＯＮＧ　ＬＯＮＧ　Ｔｉｍｅ　ＡＧＯ」という言葉が、なぜか無性に好きです。英語と日本語って、やっぱりちょっとニュアンスがちがったりするけど、この「Ａ　ＬＯＮＧ　ＬＯＮＧ　Ｔｉｍｅ　ＡＧＯ」は、なんだか「むか～しむかし、あるところに・・・」という日本語と同じにおいがする・・・気がするだけ。

Oct 20, 2006

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人生激場　☆　三浦しをん

なんだか恒例になりつつある三浦さんのエッセイ。今回も楽しく読ませていただきました。人生劇場、世の中のいろんなこと（ほんとにいろんなこと）について、妙な視点から切り込みを入れる三浦氏。そうくるか！という妙な驚きと、確かにそうだよな、と納得してしまうところがあるのに、きっとハメられてるんだと思う。昼ドラとか、マンガとかワールドカップとか、読んでると、「この人、毎日楽しそうだなぁ」と思う。実際は沿うじゃないかも知れないんだけど、この人普段からほんとにこんな風なのかな、とちょっと心配になったりさえする。それが楽しみで読んでるんだけどね・・・

Oct 18, 2006

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４ＴＥＥＮ　☆　石田衣良

最近ちょっとはまりつつある、石田衣良さんの本です。８編の短い物語が収録されています。主人公は１４歳の４人組。東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学二年の同級生４人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける。もしかしたら、空だって飛べるかもしれない・・・友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受け止めて成長してゆく１４歳の少年たちを描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作です。私は、↑こういう○○賞とか、あんまり気にして読んだことないのですが、この本のタイトルは、ずいぶん前から知ってたような・・・本屋とかで見かけたりするからだろうけど。内容までは気にしたことなくて、最近石田さんの本をよく読むようになったから、今回もたまたま借りただけなんですが。懐かしくて、ちょっと切ないです。それぞれのお話を通して、少年たちが少しずつ大人になっていって、その途中で、いろんな壁にぶつかって、遠回りしたり、飛び降りてみたり、無理やりよじ登ってみたり、諦めたり。一生懸命な４人はいつも一緒で、一緒に悩んだり戦ったり泣いたりする。海の香りのしない風を受けて、埋め立てられたコンクリートの街を自転車で駆け抜ける。中学二年生の頃、私は何をしてたっけなぁと、思い返してみると、まぁ、楽しくやってたような気がする。部活も充実してたし、友達もいた。男の子と女の子じゃ、成長の早さが違うっていうけど、でも突然子供から大人になる人なんていなくて、みんなみんな、こういう過程を経て、少しずつ、大人ってどういうものなのか知っていくんだ。・そういう過程があるのに、大人は子供に向かって「もっと大人になりなさい」とか子供は大人に「子供のことをぜんぜんわかってくれない」とか言っちゃうんだよね。子供と大人が交じり合う時期って、一番不安定で、どうしていいかわからないと思う。でも、いざ大人になってみると、そういう時期があったことを、あんまり覚えてないのかな。少なくとも私は覚えてない。気づいたら、こんな風になってた（笑）４人組の、みんなを思う強さみたいなのが、台詞の端々から滲み出てて、こういう友達がいるって、いいなぁ、と思った。うらやましい・・・

Oct 16, 2006

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ミタカくんと私　☆　銀色夏生

銀色夏生さんの本、高校のときに一冊読んだきりで、それからしばらく触れることなかったんですが・・・図書館で見つけて、mitumameさんのブログに載ってたのを思い出して面白いのかな、と借りてきてました。文庫で、薄っぺらいので直ぐ読めるかな、と。すぐ読めました。一見とっつきにくいけど、顔がいいから女の子にモテる。幼稚園から一緒だったという理由で、いろいろな人にミタカくんの事を聞かれたりする私の家に、ミタカは日常的に居ついている。うちはママと中学生の弟ミサオ、パパは家出中。だからいつも四人で、ごはんを食べたり、テレビを見たり、日々は平和に過ぎていき、これからも続いていく。ナミコとミタカのつれづれ恋愛小説。恋愛小説、というと、なんか三角関係だったり、障害があったり、別れたりくっついたりする感じだと思うんですが、このお話は、何にもないです。ほんとに何にもない。同じ毎日が、同じように続いていくだけ。でも、同じような毎日の中に、ほんの些細なことがあるだけで、ちょっと悩んでみたり、感動したり、怒ったり笑ったり。それで、そんな毎日が退屈に思える。こんな本です。退屈しのぎに読んでみるにはいいかも。ほわんとした気分にさせてくれる本でした。

Oct 13, 2006

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ねじの回転　☆　恩田陸

またもや恩田さんです。図書館でちょっと立ち読みしてたら面白くて・・・「不一致。再生を中断せよ」近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった二・二六事件の首謀者たち。彼らは国連の意図に反して、かつての昭和維新を成功させようとするが・・・「本当に、俺たちは負けるんでしょうか？」「なんだと」栗原の大胆な発言に、安藤は戦慄した。この先、この男が何を言い出すのかが恐ろしかった。しかし、栗原の発言は、彼の心の声でもあった。恐ろしくても、聞かずにはいられない。「俺たちは昭和維新に失敗し、処刑される。そのあとどうなったかは、奴らに聞かされた話でしか知らない。俺たちは、世界の人間を助けるために、もう一度この四日間をやり直すとしか聞かされていない。この四日間が、歴史の転換点として選ばれたのだと」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（本文より）歴史ＳＦで、ちょっと苦手な分野かな、と思っていましたが、そんなことちょっとも気にせずに最後まで読めました。もしも、時間をさかのぼれたら。過去には戻れないとわかっている。でも、もしも。もう一度やり直せるとしたなら・・・一度はみんな、考えたことあることですよね。あの頃に戻れたら、あの時あんなことをしなければ、あの時、どうして、あんなふうにしてしまったんだろう、とか。主人公たちは、二月二十六日未明、雪の中から、もう一度歴史を再生するために戻ってきた。歴史は、同じ道をなぞるはずだった。過去は、変えられないはずだった。ところが、予想外の出来事がひとつまたひとつと重なっていく。「不一致」になるだろう出来事が、そのまま過去として「確定」されていく・・・歴史が、食い違い始めたそのとき、主人公たちは、思い直す。これはチャンスだ。もう一度、私たちに機会が与えられた。一度狂い始めた歴史なら、いっそのこと、自分たちの望む形に変えていけばいい。過去と現在と未来が交じり合い生じた亀裂は、次第に大きくなっていく。改革を望むもの、それを弾圧しようとするもの、それぞれの思いが入り混じり、絡み合って、二・二六事件は何度も繰り返される。中学の歴史の授業で聞いた二・二六事件を、まさかこんな形で思い出すとは予想してなかくてしかもその授業をあんまりきちんと覚えてなかったから（汗）時代背景とかにちょっと遅れを取りましたが、本文中できちんと土台は説明されてるので、歴史大好き！な人じゃなくても読めると思います。主人公たちの望む結果に終わらなかった二・二六事件を再生させるなんてけっこう可愛そうなことさせてるよな、と思いました。歴史は変えられない。成功しないとわかっている維新を、もう一度やれと言う。誰だって、二回目のチャンスが与えられたら最初よりうまくやりたいに決まってるのに。過去を変えたひずみが、現在と未来にどういう影響を与えるのか、それは想像の中の話でしかないわけだけど・・・二・二六事件についてちょっと勉強できたかな。なかなか忘れられない一冊になりそうです。

Oct 12, 2006

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娼年　☆　石田衣良

ぼくを、買ってください。リョウ、大学生、男娼。夜ごと誘う恋なきエクスタシー。二十歳の夏の、光と影を描く物語。「シャワーを借りてもいいですか」ぼくの声は少しかすれていたかもしれない。影の中から彼女は言う。「だめ。私はあなたの髪や体、それに性器のにおいを確かめておきたい。いつもどれくらい清潔にしているのか、あなたの習慣も」ほとんどの女の子は、清潔なほうがいいといっていた。だが、それが彼女の趣味ならぼくは別にかまわなかった。物語は、淡々と、あくまで冷静に進んでいきます。いろいろな嗜好を持った女性との行為は、何故かいやらしさを感じなかった。それよりも、リョウがいろんな女性を通じて、幼い頃に遠くへ行ってしまった母親の面影を出会う女性のどこかに探しているのが印象的でした。「お客さんのいいところを探すのが上手ね」という台詞が出てくるのですが、それもきっと、リョウが母だった人の一部分をその女性の中から読み取ろうとしているからなんだな、と。面白いとか、面白くないとか、そういう雰囲気の本じゃないような感じがします。読んだ人それぞれの捕らえ方しだい。楽しむための本じゃない、といえばいいのか・・・？大体の人は本を楽しむために読むんだろうけど。好き嫌い別れそうな本でした。

Oct 10, 2006

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透明な旅路と　☆　あさのあつこ

気になりつつもなかなか本が読めないあさのあつこサンの本です。だって図書館にあんまり置いてないんだもん人気だから貸し出し中ばっかり。予約しようか迷うんだけど、ほかの人の本見つけちゃうから、まいっか、って二冊目、かな。こないだ読んだ恋愛アンソロジー入れると３作目になるけど。内容は、ミステリーです男は、血管が透けて見えるほど白い頸を絞めて、女を殺す。男は、車で逃げる。月の光が注ぎ雨の降る夜。少年と幼女が、男の運転する車の窓を叩く・・・「女性の死体が発見されました。昨夜、○○区○○ホテルの一室で、女性が殺されているのをホテルの従業員が発見し、１１０番通報しました。女性の年齢は三十歳から・・・・・・」逃避行（？）です。人を殺した男は、山奥の温泉街へ向かうため車を走らせる。しっとりと雨の降る山道を分け入り、トンネルへたどり着いた。そこでであった少年と少女。ある場所へ行くために車に乗せてほしいという。兄妹ではないという二人。ほとんどが闇に包まれて何も分からず、見えるのは目の前にある実態だけ。背後の景色も、音も、過去も、謎の二人。男の走らせる車が行き着く先は・・・？結末は、想像してたのと半分あたりで半分はずれ、でした。主人公は逃げる立場にあるので、警察の姿が見えたりとか、宿帳に名前を書くところとか、嫌に冷や冷やしてしまいました。もし男が捕まったら、少年と少女はどうなるんだろう？とか。「透明な旅路と」というタイトル通り、いろんなものが透明な膜に包まれてて、分かったような分からなかったような、変な感じ。本は終わってるけど、物語は続いてるような。ここから先は、ご自由に考えてください、っていうようなラスト。嫌いじゃないですけどね少年と少女の見てみたいです。少女がとりあえずかわいい少年は色白で美形っぽいし、なにより名前が素敵☆名前、気になる人は読んでみてください（笑）こんな名前の人、現実問題いないでしょ、と思うんですが、最近の小さいこの名前って、解読不能なのが多いから・・・もしかしたらもう既にこの世にいるかも（苦笑）あさのあつこさん、「福音の少年」も含めて、なかなか好みのタイプアタック開始しようかな（笑）

Oct 3, 2006

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いちご同盟　☆　三田誠広

国語の教科書に載ってましたよね、このお話。中学校のときだったかなぁ。15歳のときだから、中三だったけ。全文は載らないから途中抜粋した形だったんだけど、図書館で見つけたので、全部読んでみようと。「北沢、お前は、自殺したがっていただろう」僕は答えなかった。「死ぬなよ」と徹也は言った。「お前は、百まで生きろ。俺も、百まで生きる」徹也は僕の腕をつかんだ。「百まで生きて、その間、直美のことをずっと憶えていよう」つかんでいた腕を、徹也はぎゅっと握った。「わかった」信号の下で、徹也は僕の顔をのぞきこんだ。「同盟を結ぼう。俺たちは十五歳だから、《一五同盟》だ。男と男の約束だぞ」何の接点もなかった徹也と、ひょんなことから関わることになってしまった北沢良一。そして、徹也の幼馴染の直美のことを知る。入院している彼女の元へ見舞いに通ううち、北沢は、知らず知らずのうちに彼女に想いを寄せていた。受験、就職、家族、友達。中学三年生、同じ分岐点に立っている三人は、同じ場所にいながら違うところを見つめている。自分がどうしたいのか、何をしたいのか、どういう将来を思い描けば良いのか分からずにいた北沢だが、直美との交流で、今までの考えに変化が訪れていた。１５歳というと、５年前ですね（懐）もう当時の記憶はあんまりありません（汗）でも、自分の人生が、あの時点で終わってしまっていたら、と思うと、ものすごく怖くなりました。高校生活とか、就職、トランペット、いろんなことが、１５歳でストップしてまってたら・・・やりたいと思ったこともやれず、悩んだり考えたりする将来が、私には与えられなかったら。そう思うと、今こうやってのほほんと日記を書いてることが、実は当たり前のことなんかじゃなくて、たまたま偶然「生きてる」からできることなんだって。生きようと思って生きてる人って、いるのかな。生きたいと思って生きてる人、少ないと思う。どうして生きてるのって聞かれたら、答えられない。死にたくないから。死んでないから生きてる。自分の死が間近に迫ったときに、ようやく「生きたい」って思うのかな。明日とか、明後日とか、カレンダーに書いてある日付が、誰にも平等に与えられるものじゃないんだって、少し思ってしまいました。明日や明後日を知らずに、今日で時間が止まってしまう人だって、いる。ちょっと重くなってしまいましたが・・・１５歳の時に読んだときよりちゃんと読んだせいか、「こんな重い話を読んでたのか・・・」とびっくりしてしまいました。。。国語の教科書に載ってるお話、割と好きでした。一番気に入ってるのは「羅生門」その次は・・・いろいろ（苦笑）

Sep 30, 2006

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いつかパラソルの下で　☆　森絵都

久しぶりの森絵都さんの本です。高校の図書館に、森さんの本が何冊かあって、友達の薦めもあっていろいろ読みました。ＤＩＶＥ！←大好きですでも実は4巻がまだ読めてない・・・最初から読み直さないと忘れちゃってるよー今度見つけたら絶対借りてこなきゃ（笑）今まで読んだ森さんの本の主人公って、カラフル、とか、永遠の出口、とか、割と子供が多かったような気がするんですが、今回初めて大人の女性が主人公の本でした。こういう話も書くんだ・・・と、ちょっと驚きです。「裏切られた気がした。でも本当は、私が先に父を裏切ったのだ。病的なまでに潔癖で、傍迷惑なほど厳格だった父。四十九日の法要が近づいた頃、私は父の生前の秘密を知ってしまう。主人公「柏原野乃」は、天然席を売る店で働く二十五歳の独身女性。厳格な父の教育に嫌気が差し、成人を機に家を飛び出していた。その父も亡くなり、四十九日の法要を迎えようとしていたところ、生前の父と関係があったという女性から連絡が入る。世間一般にはごくありふれたエピソードなのかもしれないが、柏原家にとっては驚天動地の一大事。兄と妹にこのことを知らせると、真偽を確かめるため、兄妹三人で父親の足跡を追うことになってしまうのだが・・・」　　（帯より）こんな感じのお話です。誰かの秘密を知ってしまうのって、すごくわくわくしちゃうけど、反面、ちょっと後ろめたいような肝しますよね。それが自分の父親の秘密を知ってしまったら・・・きっとどうしていいか分からなくなりそう。父親と子供の関係って、まだあんまりよく分からないけど自分の今の状況を、親とか家族とかのせいにしてる人、私も含めすごいたくさんいると思う。もしかしたら確かにそうなのかもしれないけど、そうじゃない事のほうが多いと思う。親とかのせいにして、現実から逃げてるだけで、結局自分では何も決められなかったりする。都合のいいときだけ親を悪者にしたり、被害者ぶってみたり。。。誰でも経験あることだと思う。ただ、そういうのをいつまでも引きずっちゃ駄目なんだ。完璧な親がいないように、完璧な子供だっていない。いろいろあったって、時が経てば自然に風化してしまうものだし、少しずつ、恨みとかしがらみとかを忘れなきゃ、最後まで近づけないままさよならすることになっちゃう。今は無理でも、そのうち。なんだか不思議な本でした。自分のことも、両親のことも、これからのことも、いろんなことを考えてしまいました。

Sep 27, 2006

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ハチミツドロップス　☆　草野たき

児童書ですが、初めての作家さんです。大好きないしいしんじさんの本はもう児童書のところにはなかったので・・・表紙がかわいらしくて借りてきてしまいました。主人公の水上果豆子は中学三年生。ソフトボール部に所属しているものの、部員数５人。別名「ハチミツドロップス」という呼び名でとりあえず集まってお菓子を食べたり思い思いのことをするだけのマイニチ。たまに練習はするけど、試合に出るためのものじゃなく、内申点稼ぎ。所属してないよりは、どっかに入ってたほうが良いに決まってるから。そんなぬるま湯みたいにとろりと甘いハチミツドロップスに、崩壊の危機が訪れる。果豆子の妹が、友達を引き連れてソフトボール部に入部すると言い出した。部員数が９人になったら、試合に出なきゃいけなくなる。それに、妹はソフトボールやる気満々。ハチミツドロップスだなんて、言ってられなくなってきた。ところが、そんな矢先に、果豆子の恋人の直斗から、電話がかかってきた。どうやら元気がないみたい。いつもと違う様子に、戸惑いながらも「いつものカズ」を演じる果豆子。「来週の土曜日、会えないかな」そういう直斗に、「どうして今週じゃ駄目なんだろう」とは言えないまま。そうこうするままに、ハチミツドロップスは解散。甘い日向ぼっこができる場所を失った５人の部員たちは、居場所をなくした「痛み」を抱えて、どこにも行けないまま、じっと立ち止まって、失ってしまった場所をどこかに探してる。友情とか恋とか家族とか、いろんなものが果豆子を「カズ」に仕立て上げていく。本当の自分は、どこにいるんだろう。「カズらしく」いることに、ふと頭をもたげた疑問。笑ってごまかしてやり過ごすことは得意。でも、それじゃいけないこともある。交わしてばっかりじゃ駄目なんだ。ぶつかって初めて見えてくることがあるから。暖かい場所にばっかりいちゃだめなんだ。冷たい雨に打たれたり、風に吹かれたりして、そうして少し大きくなれるんだから。思ったよりも面白かったです。児童書読むと、絶対その頃のこと思い出しますね。あー私の中学時代・・・はぁ。

Sep 24, 2006

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乙女なげやり　☆　三浦しをん

三浦さんのエッセイ二冊目です。「なげやり」ってタイトルにいれちゃうあたりがなんかもう力が抜ける感じですね。表紙絵を描いてるのが「のだめカンタービレ」の作者の二宮さんだったのにびっくりでした。なんだかもう最初っから最後まで脱力で、ぐだぐだ読んでたらあっという間に一日終わっちゃったよ（泣）イケメンの歯科医師とか、少女マンガについて５時間延々と語り合うとか、旅番組のキャストのこととか、もうあまりにも日常的過ぎることを、「そうくるか！」という視点でズカズカ掘り下げてくから、もう「この人には近寄れない」オーラが出てること間違いない。間違いないんだけど、なんか「分かる」んですよ。すくなからず私にも「近寄れない」オーラが出てるのかしら。こういう人もいるんだな、と、しみじみ思ってしまいます。楽しいことって、意外と身近にたくさんあるのかなって、よく考えたら、そんなに毎日大変じゃないのかなって、ちょっと元気になれる（かもしれない）本でした☆また今度三浦さんのエッセイ借りてこよう～

Sep 23, 2006

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Ｑ＆Ａ　☆　恩田陸

今まで読んだことないスタイルの本でしたひたすら、問いと答えが繰り返されていくんです。登場人物は質問者と回答者の二人だけ。何の前触れもなく、突然、質問が始まります。郊外にある「Ｍ」というショッピングセンターでおきたある事件。大勢の死傷者を出したその事件だが、その原因は不明。そのときショッピングセンターの中にいた人たちさえ、いったい何が起きたのかは分からないままだった。分からないまま、ただひたすら逃げ惑う人々。伝染する恐怖。失われた表情。火災か、毒ガスか、細菌兵器か・・・しかし、そのどれもショッピングセンターからは発見されず、数十名の人々が死ぬ原因は、どこにも見あたらなった。少しずつ、いろんな角度からじわじわと物語が展開されていくのはすごい面白かったですね。しかも一番核になる事件の原因はいつまでも霧に包まれたままだし。これ、映像化されたらどんな風になるんだろう・・・久しぶりの恩田さんでした。

Sep 22, 2006

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アキハバラ＠ＤＥＥＰ　☆　石田衣良

最近映画になりましたね、このお話。会社のボードに貼り出されてる映画のチラシに載ってたのを見て、なんとなく借りてきてしまいました。石田さん、気になってた作家さんだったし。舞台は秋葉原。「おたく」の聖地のような場所。そこを住処として生活している６人の男女。登場人物は、みんなどこか「病気」を持っていて、世界にうまく適合できていなかった。独りで細々と、退屈な毎日を送る生活。ところが、あるサイトがきっかけで、６人は互いの存在を知る。そして、ひょんなことからその６人でひとつのプロジェクトを立ち上げることに。その名も「アキハバラ＠ＤＥＥＰ」それぞれの得意な分野をフルに使って、彼らは一日に数万件のアクセスのあるサイトを作ることに成功した。狭くてぼろい事務所の中で、壊れた玩具のように画面に向かう毎日。熱に浮かされたように、朝だろうが夜だろうが関係なかった。今までとは、何かが大きく違っていた。しかしあるとき、彼らの成功を耳にしたある男が、静かに忍び寄り、そしてついに彼らが生み出した全てを突然奪い去ってしまった。全国に店舗を持つ相手と、たった６人の零細企業。力の差は歴然だった。熱が急速に冷めていく。もう、手遅れだった。全ては、自分たちの手元から滑り落ちていった。目的を失い、ただのろのろと過ぎていく時間を送っていた６人の元に、ある日、変化が訪れる。戦うことを決意した６人は、自分たちが生み出したものを開放するために、「悪」と戦う準備をし始める。という、まぁこんな感じですね。コンピュータの用語がちょこちょこ出てきて、？？？と思う場面もありましたが、わからなくてもたいして問題にはなりません。彼らの日常がそういう中にあるんだから、そういうもんなんだな、と。６人とも恐ろしく「おたく」です。びっくりするくらい。アニメ、音楽、コスプレ、パソコン、えとせとら。でも。みんなそのことに対しては、ほんとに真正面から向き合って、突き詰めようしていくんですね。それがなんか素敵でした。「起承転結」でいうと、「結」の部分が個人的にはなんだか物足りなかった感があるけれど、「承」「転」のところは、面白かったです。二転三転して、逆戻りしたとおもったらスキップしたり。映画、どんなんだったんだろう？ＤＶＤでたら借りてみようかな。「未来」は誰の元にも落ちてくるもんじゃない。「未来」を作り上げていける人の所にしか、落ちてこないんだ。最初は何も持ってなかった。また振り出しに戻っただけ。悔しかったら戦えばいい。憎むのではなく、楽しく、戦う。キミたちは、サイコーの仲間になるよ。

Sep 20, 2006

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潮騒　☆　三島由紀夫

タイトルだけは知ってたんですけど、どういう内容なのか、いまいちわからなくて・・・国語の授業とかで頻繁に解答欄に名前を書いた本ですね。こういう本って、ちょっと苦手で・・・でもそんなに分厚くなかったから、ためしに読んでみました。内容は・・・恋愛小説になるのかなぁ。歌島という、小さな島で生まれ育った主人公の新治は、ある日島にやってきた美しい少女のことが気になって仕方がありません。その少女は、島の金持ちの家の末っ子でした。何もない島で暮らす新治は、少女に対する妙な感覚が何なのかは知りもしないし、ましてや女の人のことを考えるのはまだ早いとすら思っていました。いずれ自分の船を持って、弟と漁に出るのが、考えられる一番の将来でした。ところがどうも、彼女のうわさを耳にすると、心が落ち着かなくなり、くだらない世間話に真剣に耳を傾けてしまう。そしてある日、何の偶然か彼女とばったり出会い、知らず知らずのうちに、二人は惹かれあっていきました。とまぁ、彼女とのやりとりがメインのような感じでストーリーは進んでいくんですけれども、読んだ後、どうも恋愛小説のような感じじゃなかったんですよね。どちらかというと、小さな島の事しか知らなかった新治が、それまで見たことも考えたことも無かったような世界のことを少しずつ感じ始めて、自分の将来が予想していたよりもずっと遠くて広いところにあるんだと思い知っていくような・・・その中に、恋愛というものが含まれていただけの話、という感じ・・・含まれていただけ、というと否定的な感じだなぁ・・・恋をすることによって、今まで知らなかったものが見え始めてきた、と言ったほうがいいのかな。時代背景が過去だから、二人の仲の進展具合が「だ～！！！まどろっこしい！！！」と思わなくもないですが（笑）久しぶりに「冷静に」本を読めた気がします。あくまで読者、という立場でね。共感できる部分があんまり無かったからだろうな。たまにはこういう本を読んでみるのも良いもんですね♪

Sep 14, 2006

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青空のルーレット　☆　辻内智貴

久しぶりに辻内さんの本です。前に読んだ「帰郷」いらいかな。俺たちはビルの窓拭きだ。俺たちは今日もビルの外に浮かんで、窓を拭いている。気楽な稼業、呑気な商売。ときどき危険、死んだ奴アリ。俺たちが窓を拭いているのは、メシを食うためだ。しかし、俺たちが窓を拭いているのは（誓ってもいい）、夢を見るためだ。燃えるような夢を抱いて、都会の片隅で働く男たちの篤い友情を描く感動の物語。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）男同士の友情って、熱いですね・・・学生の時はすごく不思議でした。女の子は直にグループとか作って、放歌になると教室に３つか４つぐらいの輪ができて、何をするにしてもそのグループで一緒。だけど、男の子はグループなんてなくて、いつも大体バラバラ、なようでいて塊、みたいな。そりゃ、特別仲がいい人とかはいるんだろうけど、女の子みたいに縄張り意識がないというか。。。男の子って、そういうものなんかなぁ。この本も、男同士の篤い友情の物語です。夢を見ながら毎日ビルの窓を拭く彼ら。地上数十メートルに浮かびながら、自分たちの住む町を見下ろしていろんな汚いものを目の当たりにして。きれいになった窓ガラスに映る、汚れた世の中。それでも、その世の中で生きていくしかなくて、そこで見た夢を、追いかけ続けた。夢で飯は食えないかもしれない、けれど、生きているから、夢を見られる。夢を見たいから、生きていける。夢をかなえることよりも、夢を見ることで、人間は人間でいられるんだ。表題作のほかに、太宰治賞受賞作の「多輝子ちゃん」も収録されてました。このお話は、またガラリと違う雰囲気で、そしてちょっと切ないお話でした。大人の国で、うまく生きていけなかった「大人になれない子供」。純粋すぎる気持ちは、美しくて、時に残酷で。一途な心は、いろんなものを視界に映らなくしてしまうから。

Sep 12, 2006

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I LOVE YOU ☆　伊坂幸太郎　石田衣良　市川拓司　中田永一　中村航　本多孝好

恋愛アンソロジーです。ミステリーのアンソロジーは今まで何度も読みましたが・・・恋愛物は初挑戦☆本多さんと伊坂さんのお名前があったので、つい借りてきてしまいました。人の数だけ、恋愛の形もあるんだなぁと。そんなことをしみじみ思ってしまったしゅりんぷです。人の数だけ、いろんな恋があって、片思いも両思いも、三角関係も、出会いも別れも、そこには自分の気持ちがちゃんとあるはずなのに、その自分の気持ちが、うまくコントロールできなくて、素直になれなかったり、思いが伝わらなかったり、報われない思いだと諦めてしまったり。自分がしたこともないような恋が、本の中でじわじわ進展していくのが、なんだかすごく楽しかったです。こんな素敵な恋愛してみたい、って恋愛小説を読むと時々思ってしまいますが、きっとそれは、本の中だからだってわかってるからでしょうね。だって、ほんとに小説みたいな恋をしてたら、体がいくつあっても足りないし、その前に、いろいろ問題が起こりすぎて、恋をする気がうせてしまいそう・・・なんて、ちょっと冷めた目で見てみたりして。でもやっぱり、羨ましいお気に入りは、石田衣良さんの、「魔法のボタン」こんなボタン、ほんとにあったら、あんなことやこんなこともできるのに・・・（笑）たまには恋愛物もいいですな～

Sep 11, 2006

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月魚　☆　三浦しをん

三浦しをんさん、３冊目の本です。以前から気になっていた本で、昨日図書館で見つけたので、早速読んでしまいました・・・どういうお話かぜんぜん知らずに読んだんですが、もう大当たり！！！乙女心をくすぐる内容で主人公の瀬名垣と真志喜は、ともに古書店の店主。その世界では名の通じた「無窮堂」の３代目の真志喜と、店を持たず、仕入れた古書を市で売りさばく、その業界ではあまり良いイメージを持たない瀬名垣。二人は幼いころからの友人で、ともに本に囲まれて生活をしてきました。けれど、二人の間になるのは、単なる友情だけではなく、罪の意識と、共犯者めいた言いようの無い不安。二人の仲を縛り付けているものが過去の過ちであり、それに対する償いであるように感じていながら、どちらもそのことに触れられずにいる。そのことを少しでも口に出してしまったら、自分たちは、もう二度と顔を会わすことなく互いの名を呼ぶことも無くなってしまうだろうから。友達であると同時に、加害者であり、被害者でもあるのだから。夢を見ることも、希望に胸が踊るようなときめきも、すべて食らいつくしたいと思う野心も、真志喜に会ったあの夏の日に生まれたのだ、ということを。真志喜の問いかけに、瀬名垣は笑って答えなかった。瀬名垣という人間を、真志喜がこの世に生み出したようなものだ。何も恐れることなどなかったのだ。あの夏の日からずっと、真志喜は瀬名垣のそばにいてくれたのだから。そしてたぶん、これからも。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）友達と、それから、家族。瀬名垣と真志喜は、きっと友達以上で、家族だったんだなぁと思いました。二人の微妙な位置関係と、その二人のいる「無窮堂」。ハッピーエンドなのかどうかはわからなかったけれど、二人を縛り付けていたものが少しだけほぐれて、すれでも繋がりは強くなって。二人はきっと同じ場所に帰っていくんだろうな、と思いました。

Sep 8, 2006

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ｻﾝﾈﾝｲﾁｺﾞ　☆　笹生陽子

久しぶりに笹生さんの本です。児童書のところにあったので、つい借りてきてしまいました・・・表紙がかわいいですよ☆ある朝、学校一のトラブルメーカーが、隣の席に座っていた。くだらない日常。灰色の毎日。やることなすことカラ回りのアタシ。が、いつの間にか友情の三角関係の中にいた・ごくごく平凡、内気で目立たない森下ナオミは、どういうわけか、学校一の強者柴崎アサミと一緒に学校の屋上にいた。なんだかよくわからない展開のままどうやら事件は発展しているらしく、ナオミの知らぬところで、抗争が勃発しているらしい。スプレーギャングとマスコット狩り。平凡で灰色でおだやかだったはずの、アタシの毎日は、急速に色を変え始めて、その変化にナオミはただただ、呆然とするだけ。家族、友達、学校、大人。いろんなものがうっとうしくて、汚くて、卑怯に思えて。誰も自分の味方になんてなってくれないと思っていた。友達なんて、クラスが離れたらおしまい。ほんとのことを言い合える仲なんて夢のまた夢だと思っていた。そうじゃなかったのに。味方にならなかったのはアタシ自信。ほんとのことを言いたくないと思っていたのも、言われたくないと思っていたのもアタシ自信。一番卑怯で、ずるいやりかたで、アタシはアタシを必死で守っていただけだった。児童書って、懐かしい気持ちにさせてくれますね。すっぱい感じ。自分が中学生だったとき、こんな風にすごせたら、今自分はどうなってるんだろう、とこんな友達がいたら、どんな毎日を送っていたんだろうと思ってしまいます。本音で語り合える友達とか、口うるさい両親とか、うわべだけの付き合いの大人とか、自分がちょっと素直になるだけで、いつもそばにいる人が、ぜんぜん違って見えるはず。青春って、大事ですよ。

Sep 7, 2006

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夏の名残の薔薇　☆　恩田陸

濃厚恩田さんワールドです☆夏の名残・・・なんて、まさしく今の季節ですよね。ところが、お話の舞台は紅葉も終わり、雪の吹きすさぶ山の中・・・涼しくていいけどさ。毎年開かれる、あるパーティー。その主催者である3人の姉妹が繰り広げる「ゲーム」パーティーの参加者は、息を飲み、彼女たちのゲームの邪魔をしないように、慎重にあたりを見回す。広い屋敷で、謎の死を遂げる人々。繰り返す情景。交錯する思い。ゲームに勝つのは、誰か？三姉妹か、それとも参加者なのか。果たしてゲームに終わりはあるのか？そして、死んでいく人々の謎は・・・？と、まぁ、ミステリですね。大筋は４つに分かれていて、すべて語り手が違います。男と女の駆け引きとか、血の繋がりのしがらみとか、裏で動く闇の力とか。いろんなものがぐちゃぐちゃになって、物語の世界を構成してるので、後半になってこないと、なかなか全体像がつかめません。話の途中で、また厄介なことに映画の引用みたいなのも出てくるので、いろんなところで思考がそらされて、かき乱されて・・・もう、煮るなり焼くなり好きにしてくれ。なかなか濃いお話でしたが、私の中の恩田さんのランキングだと、上位５つには入らないかな。。。登場人物のキャラは好きなんだけど。

Sep 6, 2006

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雪屋のロッスさん　☆　いしいしんじ

いしいしんじさんの短編集です。全部で30の、ほんとに短いお話が入った一冊。ひとつの物語は、ページにすると、大体2～3ページ分ぐらい。長いのだと、6ページとか。物語が始まったなと思ったら、すぐに次のお話になっちゃう感じ。関連性の無いお話がふわふわ、雪みたいに落ちてきてるみたいでした。いろんな職業の、いろんな人が主人公で、その人が体験したほんの一時の出来事だったり、その人の一生だったり。中身はさまざまで、十人十色というのがいいのかな？うまく説明できないですが・・・短編が好きな方にお勧めです。ほんとに短いから、まるで絵本みたいでした。絵は無いんだけど・・・ちなみに、私が好きなのは、「象使いのアミタラさん」「棺桶セールスマンのスミッツ氏」「雨乞いの「かぎ」」「見張り番のミトゥ」「玩具作りのノルデ爺さん」です。ほかにもいろいろあるんですけど。。。あえて選ぶなら。いしいさんの独特の世界観が、ぎゅーっと詰め込まれた一冊だと思いました♪

Sep 3, 2006

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陽気なギャングが地球を回す　☆　伊坂幸太郎

会社の後輩に貸してもらいました。少し前に、映画化されましたよね。気にはなっていたんですが、あえて自分から読もう、という気はしてなくて。でも、後輩に借りて正解でした☆あっさりしてたけど、意外と面白くて。４人のギャングは、ある日いつものように銀行強盗を決行します。ところが、思わぬハプニングに巻き込まれ、借りを返すために、その事件について検証を始めるのでした。まず、登場人物がなかなか個性派揃いで、好みが分かれそうですね。誰が良い、というのは無いけど、４人それぞれ違うことやってるのに、実は役割分担できてる感じが、ギャングっぽくなくて素敵です。彼らは、一応ギャングだけど、悪人ではないらしい。人を傷つけるなんてもってのほか。彼らの目的は、あくまで銀行強盗。そういうあっさりした感じ、ギャングなのにヒーローみたいで、矛盾してるけど、面白かったです。映画は見てないのでどんなんだったのかわからないけど、映像にしたらどんな風なのか、ちょっと気になりました。続編、出てるみたいですね。気が向いたら読んでみようかな。

Aug 29, 2006

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しをんのしおり　j☆　三浦しをん

今回はエッセイです。前に、この人の「私が語り始めた彼は」という本を読んだのですが、今回はやっと念願のエッセイを手に入れることができました。面白いって評判だったので・・・あっさり1日で読めました。さすがエッセイ。頭を悩ませなくてもいいので、忙しいときには最適です。さて中身はどうだったかというと、確かに面白かった☆わっはっはと笑うようなことは書いてないんですが、思わずムフフとなるようなことがたくさんです。マンガおたくで妄想族な感じの人なので、いろいろ共感できるところがあったりして。個性派、というか、書いてあることに共感できる人とできない人で分かれてしまいそうでしたが、私は前者だったので・・・♪思わずムフフ、と笑えるので電車の中とかで読むと怪しまれるので要注意です。ちなみに私は一人、自分の部屋でムフフ、と笑ってました（怪）

Aug 28, 2006

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ポーの話　☆　いしいしんじ

いしいさんの長編小説です。今まで読んだいしいさんと、また少し違った世界の本でした。深い、というか、不思議な気持ちになりました。うなぎ女に育てられたポーは、怪盗メリーゴーランドに連れられて、夜の街をさ迷い歩く。ところが、500年ぶりに村を襲った大洪水はすべてのものをずっと遠くへ流していってしまった。深く静かに流れる泥の川の中でポーはゆったりと、世界に耳を傾ける。故郷の村から遠く離れた場所で懐かしい泥の味を思い返しながら。償いとは、何なのか。本当の償いとは。何のために？どうやって？生きていくことは、償うということなのか。償うために、命を捨てるのか。ポーの手のひらが掴んだ一握りの泥の塊。ポーの運命はゆっくりと、まるで静かに流れる泥の川のように、誰も知ることのできない下流へと運ばれていく。今までのいしいさんの登場人物より、はるかに個性的、というか、独特でした。でも、一人ひとりが、なぜかすごく心に残るんです。読み終わった後、余韻がすごくて。今でもいろんな場面が思い浮かびます。いしいさんの世界観、ぐっと掴まれてるようで、実はそっと包まれてるような。つらい現実と、夢見たいな出来事の滲んだラインが一番の魅力、なのかなぁ。

Aug 25, 2006

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佐賀のがばいばあちゃん　☆　島田洋七

クレッカーさんに貸してもらいました。ずいぶん前に読み終わってたんですけど、なかなか書く時間が取れなかったので、今頃。簡単に言うと、作者と、おばあちゃんのお話です。幼いころ、母と一緒に暮らすことができなかった作者は、佐賀のおばあちゃんの家で生活することに。貧乏だった。ご飯が食べられない日があるほど。それでもばあちゃんは、お腹がすいてるのは気のせいだといって笑う。金持ち＝幸せ　だなんて、間違いじゃないけど、本当じゃない。貧乏だったけど、友達もいたし、たまには遠くに住む母にも会える。読み始めたら、すぐに最後まで行ける本です。最近こってり物語ばかり読んでたので、こういうのを間に挟むと、なんか新鮮でした。つらいことが無い人なんていないし、夢をあきらめてる人だって、たくさんいる。でも、つらいことのあとに、楽しいことは絶対あるはずだし、夢ならいくらでも、見れる。所詮、夢なんだから。大事なのは、今じゃなくて、今この瞬間が、どういう明日に繋がるか、どういう明日に繋げたいかっていうことなんじゃないか、と。思ったのでした。面白いけど、ちょっと切なくなる本です。嫌な事があった日に読んでみるといいかも。クレッカーさん、ありがとうございました☆

Aug 24, 2006

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ぶらんこ乗り　☆　いしいしんじ

しつこいですが、いしいしんじさんの本です。もう、夢中です（笑）この本は児童書のコーナーにあったのですが、迷わず手にとってカウンターへもって行きました。主人公の「私」と、弟のお話です。小さいときから、お話を作るのが好きで、それからブランコをこぐのがすごく上手だった弟。家の庭に生えた木に、父さんが作ってくれたブランコに登って、そこで書くお話を、弟は私に聞かせてくれた。優しい声で。私は、弟が大好きだった。自慢だった。何よりも。ところがある日、空から降ってきた一粒の塊が、すべてを奪ってしまった。それが悪意だったのか、偶然だったのか、運命だったのかはわからない。けれど、一粒の塊は、確かに私から、何かを奪ってしまった。弟から、何かを奪ってしまった。弟が書く物語は、いつもへんてこで、おかしくて、幸せなお話。いつも私を笑わせてくれた弟は、消えてしまった。いろんなひどいことの後で。弟にとっても、私にとっても、それはひどいことで、誰も質問なんてしちゃいけないくらい、酷いことだった。酷いことなんていうのは、ある日突然、前触れも無くやってくる。誰も予期していないところで。私たちは、何の準備もできず、その酷いことを、ただ受け入れるしかない。ただ、受け止めるしかない。嵐が通り過ぎるのを待つように、その酷いことが、私たちを通り過ぎて、やがて周りが静かになる日をじっと、待っていなければならない。ブランコの上で欠けていく月のように、弟は消えていった。静かに、何かの、月の引力に引っ張られるように。世界にただ一人、取り残されたように感じていたのだろうか。たった一人で、サーカスのブランコ乗りのように、自分の手をつかんでくれる人が現れるのを待っていたのか。どういえばいいのか、ちょっとわかりません。切ないのに、幸せで、やるせない感じ。こんなのかわいそうすぎる、と思うのに、私と弟が、すごく羨ましく思えたり。たった一人のぶらんこ乗りは、さかさまに揺れる世界の中で、どういう気持ちで私たちを見下ろしてるんだろう。。。

Aug 23, 2006

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オカルト　☆　田口ランディ

エッセイ、と言っていいのか、短編集といえばいいのか・・・ちょっと分類はよくわからないんですが、田口ランディさんの本は、なんだか突然読みたくなります。初めて読んだのが強烈過ぎたのかもしれないけど、この本は、割とさらっと読めました。話が短いせいもあったとおもいます。この方のお話、突然、ふっと怖くなります。お化けとか、そういうものじゃないんだけど、その話の中にある空間が、すごく怖くなる。捻じ曲がってるのに、それが当たり前のように受け入れられてる世界が、突然怖く感じるときがあるのです。迫ってくる恐怖、というわけでもなく、突然。今回の本は、それほど怖くは無くて、それよりも不思議な感じでした。フィクションなのかノンフィクションなのか、曖昧で。ランディさんにはきっと見えてる物を書いてるんだろうけど、私は見たことがないから、それが本当にあるのかどうかわからない。そういうものが存在するのかどうかも知らないし、考えたことも無いようなところから、いろんな音が聞こえてきそうな。読んでる本から、突然何かが這い出してきそうな、そんな不気味な気配がしたり、かと思えば、あぁ、そういうことなのかもなぁ、と納得させられたり。好き嫌いは分かれる作家さんだと思うのですが、私は、割と好きです。でも、暗くて狭いところでは読みたくないかも。明るい誰かのいる部屋で読みたいな、できれば。

Aug 22, 2006

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プラネタリウムのふたご　☆　いしいしんいじ

懲りずにいしいさんの本です。重松さんと、いしいさん、なんだか離れられそうにありません。とうぶんこの二人が中心の活字生活になりそうでし。星の見えない村で生まれ、ひとりは手品師になり、ひとりは星の語り部になった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）いしいさんの世界って、いつも閉ざされた場所なんですよね。名前も知らない小さな村。そこで繰り返される風習と、そこに割り込む新しい光。守りたい、受け入れたい、そのどちらも、村人達の手では決められなくて・・・そういうものなんだ、と、諦めに似た感情でゆだねてしまう感じが、なんだか切ないです。星の見えない村にあるプラネタリウムで生まれた双子の少年。星の名前をつけられた二人は、夜空に広がるはずの星空のドームの中で育ち、やがて、偶然が必然が、別々の場所へと引き裂かれることになります。手品師として旅を続ける少年と、霧の立ち込める村の中で星を語る少年。二人別の場所に居ても、見上げているのはきっと同じ、幼い頃からいつも見上げていたあのドームの星空。はるか昔から語られる神話の中の神たちの、その広い腕の中にいる。物語の随所に出てくる、星座にまつわるお話が印象的でした。中でも、第三章の中で語られる、異国の人たちの故郷で見える星空の場面。ちょうど電車の中だったのでこらえましたが、きっと自宅だったら号泣確実です。少年の村の工場に、遠い国から働きに来ていた異国の人たち。この地に、何を求めて、夢見て故郷を離れたのでしょう。ドームの中に映し出された四つの星座。元は一つの大きな船だったというこの星座は、ある日、旅にでました。宝物を求めて、大勢の勇者をのせて。長いたびにでたのです。いつ帰れるか分からない、長い長い旅に・・・そして、極楽にいるといわれる「風鳥」別名、極楽鳥。では、極楽とは、どこにあるのか？南の島？南の海？この世の果て？どこにいたって、楽園はそこにある。誰も胸のうちに、楽園が、宝物が、ひっそりとある。　　　　　　　　　　　　　（本文より）いしいさんの物語、せつな過ぎる、と、読み終わったあといつも思います。でも、少し経ってから思い返すと、切ない中に、暖かいものが混じってる。プラネタリウムの星空を一心に見上げる子供のように。目の前で繰り広げられる手品にすっかりだまされてしまうように。今夜、曇り空の向こうは、どんな星座が私たちを見下ろしてるんだろう・・・？

Jul 9, 2006

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ナイフ　☆　重松清

ただ今はまり中の重松さんの本です。割と初期の本になるのかな？表紙があっさりしてて、なんとなく借りてきてしまいました。真っ白な中に、ぽつんと下を向いてたたずむ少年。真っ赤な字で「ナイフ」なんていうのかな、駅前で何にも言わずに黙ってうつむいてるカップルみて、わけありだな・・・みたいな感覚（笑）顔を上げろ、少年。小さな幸福に包まれた顔族の喉下に突きつけられる、”いじめ”という名の鋭利なナイフ。日常の中の歪みと救いをビタースィートに描き出す出色の小説集。無意味でやるせない強がりかもしれない。だが、その強がりを失ったとたん、真司は彼を取り囲む世界に対してうなだれてしまい、もう二度と顔を上げることはできないだろう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）重いテーマです。”いじめ”なぜか、小学生の頃、同じクラスだったおとなしい男の子のことを思い出しました。彼がいじめられていたとか、そういう記憶はないんだけど・・・よく言われるように、いじめた側はすぐに忘れるけど、いじめられた側は一生かけても忘れられない、ということなのかもしれないですね。「いじめてた」記憶はないですけど「いじめてない」という記憶も、正直なところないんだし・・・なんかちょっと・・・複雑な心境です。5編の物語が収録されていますが、一番すきなのが「エビスくん」というお話。素直じゃないにも程があるだろ！って思いました。いじめる側も、いじめられる側も、傍観者も、みんな。変なプライドとか約束にグルグルにされて、結局足を踏み出すことも自分で解くことも出来なくなっちゃってる・・・難しいテーマだけど、奥の深いテーマです。。。

Jul 8, 2006

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禁じられた楽園　☆　恩田陸

久しぶり（？）に恩田さんの本です。笹生さんの児童書から一転して、こんどはコッテコテの恩田さんワールド。表紙があまりにもキレイで妖しかったので・・・つい。現代の語り部が贈る、めくるめく幻想ホラー超大作。さあ、新しい恐怖を語れ。大学生平口敏し捷は、同級生で世界的な天才美術家烏山響一から招待を受けた。聖地・熊野の大自然の中に作られた巨大な”野外美術館”へと・・・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）まず、怖いです。恐い、というより、怖い。幼い頃の、封印していた記憶。思い出さないように、無意識のうちにしまいこんでいた記憶が、無理やり、そして突然引き出される恐さ。そしてその記憶が、何度も何度も目の前に現れて・・・熊野という、山の中の非現実的な舞台で、烏山響一の作品にぶつかるたびに、次第に薄れていく現実感と、それに反するように染み付いて離れない心の中の本当の自分の一面。描写が美しくて、余計に怖いのです。人間的じゃないというか、どこか違う世界の力が加わったような、美しい歪みみたいなものが、文体から滲み出てくる感じ。後半はもうほんとにドキドキしっぱなしでした。いつどこで、どんな「恐怖」が現れるのか・・・ホラー好きな人にお奨めです。夏の夜にはいいかも知れません。

Jul 6, 2006

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ぼくらのサイテーの夏　☆　笹生陽子

今月二冊目の笹生さんの本です。カテイホウカイ。ハハ、イエデ。デッカイヤシキニ、ネズミウジャウジャ。これが、栗田の家のウワサ。どこか問題ありって感じだけど、ぼくの家だって・・・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（表紙裏より）夏休みを目前に控えたある日、「階段落ち」というゲームで盛り上がっていたぼくは、運悪く手首捻挫と前歯を欠くという惨めな状況に。しかも、先生に『危険だから』という理由で遊び場になっていた階段は使用禁止になり、罰として、夏休み中プールの掃除をさせられることに。一緒に罰を受けるのは、「階段落ち」でぼくを負かした、ひょろっとでかい栗田。最初のうちは、なんだか気に食わなくて、ぼくは栗田が嫌いだった。でも、ある夜を境に、ぼくの栗田に対する印象が変わり始めて・・・小学生の夏です。夏真っ只中、という感じのお話。プールなんて、5年くらい入ってないよ・・・小学校のとき、夏休みに開放されるプールに毎日通ってたのがなんだか凄く懐かしく思い出されました。ラジオ体操して、習字教室に行って、宿題して、お昼ご飯を食べて、プールに行って、帰ってきて遊んで、夜ご飯、という単調な夏休みをなんだか物凄い満喫してた10年前の自分・・・若いなぁ（笑）学校の中で回るウワサって、いろんな種類があるけど、どれもやたら拡張されて尾ひれのつきまくった話ばっかりで、嫌なウワサだけは長々と続くのって、なんででしょうね。人の不幸は、子供も大人も美味しく感じるのかな。でも、そのウワサを真に受けちゃう人と、ウワサでしょ、と切り離せる人とは大きな違いで。栗田との出会いで、一つの夏を追えた主人公の「ぼく」は、一皮も二皮も向けた男の子になります。小学生から中学生にあがるとき、なんだか自分がすごく大人に近づいたような気分になる。でも、それだけじゃなくて、内面的な、精神的な部分で。人生、そんなにおもしろおかしいものでなくても、いい。たとえ無縁が苦しくなるほど、嫌なことがあったとしても、一月のうちに2回か3回、お腹をかかえて笑えるような、ゆかいなことがあったら、それで、何とかやっていけると思う。（本文より）「人」が「生」きる、ということは、算数みたいに計算すれば答えがでる、というような、タンジュンなものじゃないからだ。人生って、難しいのね。生まれた瞬間から、その人の人生はその人のもの。「人」が「生」きる、とかくけれど、「人」が「生」まれる、とも書くことに、今さっき気がつきました。人が、生まれて、生きていくということ。あみだくじみたいに、くねくね曲がったって、いいと思う。どっかにたどり着くはずだもん。

Jul 4, 2006

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私が語りはじめた彼は　★　三浦しをん

またもや新しい人ですこの人も少し前から気になってた人で、すごい面白いエッセイを書くって雑誌に書いてあったので、エッセイを借りてこようかと思ったんですが、生憎貸し出し中ばっかりで・・・また今度探します。今回の本はエッセイではなくて小説。胸は痛む。幸せなときも、そうでないときも。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）6編の短編が収録されているこの本。物語は、ある一人の男（私が語りはじめた『彼』）を軸に繋がっていきます。彼の教え子とその妻。彼が開く講座に通う一人の女性と、その夫。彼の息子。彼の再婚相手の連れ子の娘と、一人の男。彼の義理の娘の姉と、その婚約者。そして、彼のかつての教え子だった男と、その妻。一人の男をめぐって、裏の裏をかくような会話が続いたり、諦めたような、全てを切り離してしまったような瞬間があったり。二人の間にある、愛だとか情だとかを語り始めたら、こういう具合にいろんなところに「しわ寄せ」ができるんだなぁと。激しい感情は書物と同じだ。どれだけ厚くても、いつかは終わりがやってくる。あとはただ、はじまりも終わりもなく続いていくだけなのだ。凄く長い時間をかけて、死んではまた星を生み出す銀河のように。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（冷血より）こういう状況に陥ったことがないので分からないですけど・・・愛だなんだっていうのは、いつの世も大変なことに変わりはないんでしょうね、きっと。ＬＯＶＥ　IS　ＦＩＧＨＴ　みたいな（笑）

Jul 3, 2006

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福音の少年　★　あさのあつこ

初めての作家さんです。この人の本だと、「バッテリー｣とか、有名ですよね。読んだことなんだけど・・・小さな地方都市で起きた、アパートの全焼火事。同級生の少女が、焼死体で発見された。それが、事件の始まりだった。それが、二人の少年を結びつけた―――「私のこと、あなたにだけは忘れてほしくない」十六歳の永見明帆は、同級生の藍子とつきあっていても冷めた感情を自覚するだけ。唯一彼が心に留める存在は、藍子と同じアパートに住む彼女の幼馴染、柏木陽だった。藍子の様子がおかしい？そう気づいたある日、母親とけんかした陽が突然泊めてくれ、とたずねてくる。その夜半、陽のアパートが火事で全焼。藍子も焼死体で発見される。だが、それは単なる事故ではなかった。真相を探り始めた彼らに近づく、謎の存在。自分の心の奥底にある負の部分に搦め捕られそうになる、二人の少年。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）一人の少女が結びつけた二人の少年。彼らは似ているようで、けれど決して互いに寄り添ったりはしなかった。失いたくない、けれど、自分のこの手で壊してみたくなるときがある。自分の本当の姿が分からない。友達、家族、恋人、すべてから自由になりたくて、けれど、全てを失っても、自由になんてなれなかった。自分の奥底でむくりと起き上がる「何か」が、次第にその質量を増してきて、飼いならすことができない。。。限界が迫っていた。自由を求めて、「何か」を押し殺して生きていくことの。同じ眼をした少年。大人びているようで、驚くほど子供っぽい一面を見せたと思ったら、するりと影のようにすり抜けて、次の瞬間には恐ろしいほど冷たい微笑をたたえている。どうすればいいのか分からない。なにがしたいのか分からない。どうしてあんなことをしたのか、全部、今はもう闇の中だ。明日のことは、誰にも分からない。闇ですな。ずーん、とした、どろどろしたものがしこりみたいになってる感じ。主人公の少年ほどではなかったけれど、こういう時期、確かにあったなぁと懐かしく思います。自分がしてることが、本当に自分の望んでやったことなのか、それとも、誰かに流されてやってただけのことなのか、とか。友達だと思ってた子が、突然どうしようもなく憎らしくなったりとか、ね。思春期、って言うと大雑把な感じだけど、流されたくなくて逆らってるうちに、どこに進めばいいのかわからなくなっちゃうような。もどかしくて、けなげで、痛々しくて、触ったら切れそうな「ガラス」みたいな彼ら。少年達は、物語が終った後、自由とか、シアワセとか、そういうのを見つけられたのかな。台風一過みたいな青空が彼らの上に広がってるといいなぁ、と少し名残惜しく思いながら本を閉じました・・・

Jul 1, 2006

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バラ色の怪物　★　笹生陽子

笹生さんの本2冊目です★私の中で児童書に火がつきました懐かしくて、思い出し笑いをしちゃったりして、うんうん、と共感したり、それからちょっと切なくなったり、子供の心は動きやすくて、それが可愛らしくていじらしくて・・・という、私の中での勝手な児童書のイメージ。ですが、今回のお話はそれほど幼い少年少女ではなく、中学生の男の子が主人公です。私から見たら随分若いのですけど。。。そこはまぁ触れずにおいておきましょう。学校の中で一人、浮いた存在の「吉川」。突然凄い色に髪を染めてきたりして、生徒からも教師からも、なんだか違うものを見るような目で見られていて・・・たいして僕はなんの特別なところも無い平凡な一人の生徒。メガネ代を稼ぐために友達に誘われた「バイト」に夜な夜な通い、少しずつ、毎日世界の中で行われているいろんなことが分かり始めてきた。順調にメガネ代が溜まってきたころ、予想していなかったできごとが僕と友達とその仲間に降りかかって・・・そんな中で吉川はいつも同じように飛びぬけたことをしていた。彼女は言う。「子供の真の敵は、子供なんだよ」ここにも、そこにも、名も無い小さな怪物たちがうごめいている。頭がいいことか、運動が出来ることか、いつも仲間の先頭に立ってることか・・・思い返すといろんな子がいたなぁって、しみじみ思ってしまいます。自分のポジションがなんだか微妙に思えたり、みんなが思っているような人間じゃないと否定したり。騙したり騙されたり、信じたり、裏切ったり。そういうのの積み重ねで、人間関係ができあがっていく。喧嘩したりしたあと、少しだけ成長した自分に気がつけると、もっと相手のことが分かるようになれるはず。思ったほど悪い奴じゃないとか、見かけに騙されたとか、そんなのしょっちゅうあることだから。中学校の時に仲良かった友達のことを思い出しました。

Jun 28, 2006

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となり町戦争　★　三崎亜記

月末忙しい時期だというのに活字中毒。時期も場所も選ばず活字を求める辺りが・・・（汗）最近新しい作家さんの本を読むのがマイブーム（死語？）名前は聞いたことあるんだけどな～という人の本を手当たり次第にあさってる次第でございます今日の本は、少し前に本屋さんでめっちゃんこ気になってました。たまたま図書館で発見できたので、さっそくカウンターへ。「第17回　小説すばる　新人賞受賞作」ですから★ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。僕は町役場から敵地偵察を任じられた。だが、音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実に進んでいた―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（帯より）「戦争という事業を進めるのが仕事です。公平に遂行した結果、誰かがしに誰かが生き残る」「どうぞ、戦争の音を、光を、気配を感じ取ってください」戦争が分からない僕には、戦争の痛みもまた分かるわけはないのだ。あの頃は、僕は人の生とか死とかってよくわからなかった。人は自然にそこに現れて、自然に消えていくものなんだっておもっていたよ。もしかしたら、あのころのぼくは間違っていなかったのかもしれない。それだったら、こうして戦争で人が死んでいくことに、僕は何も感じなくてもいいのにね。だってそれは、死んでいくんじゃなくって消えていくんだからね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　見えない戦争の見えない死者に僕は祈ることができるだろうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本文より教科書とかテレビの中でしか知らない戦争が、もし突然、こんな身近な「となり町」と行われることになったら、一体どんな気分なんだろう・・・主人公と同じように、なんの実感もないまま普通に毎日過ごせるのかもしれないし、5分先の自分の命の保障は無いような状態に巻き込まれるのかもしれない。是か非か判断を下せといわれても、きっとそれは難しいことで。どんだけ考えたって、答えなんて出ないんだろうな。みんなが同じ考えで戦争をしているわけじゃないだろうし、もしみんなが同じ考えなら、戦争なんて起こさなくたっていいはずだと思う。失いたくないから戦うのか、守るために戦うのか・・・とか。一つの面からできてるものなら簡単なのに。一つを守るためにたくさんのものを失って、その失ったものを取り返そうとして、また誰かが傷ついて、の繰り返しなんだよね。人間って複雑教科書の中での戦争よりも、非現実的なのに、なぜか、そういう風だったんだな、と受け入れられる本でした。語りだしたらキリがない「テーマ」だけに、考えさせられることも、気づかされることもたくさんありました。テロとかミサイルとか、最近テレビを騒がせているけど・・・私の身の回りはとりあえず今日も平和。世界が平和にこしたことはないけど、とりあえず、私の知ってる人が無事に夢を見られるならそれでいいのです。

Jun 26, 2006

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びっくり館の殺人　★　綾辻行人

出ました！！！われらが綾辻先生ですよあぁなんだかもう、綾辻という名前を見ただけで興奮してしまいます活字中毒万歳暗黒館の殺人から少し経って、リアルタイムで読むのはこれが二冊目。どんなもんか、と思ってドキドキしながら読みました。まず、あっさりしてましたね。少年少女のみなさんへ、とあとがきにあるくらいだから、少年少女向け、ということなんでしょうけど、今回のはミステリーランドというところで書かれたみたいで、そういう関係もあったのかなぁと。今までのに比べてだいぶ短いし、雰囲気もなんだか違う。でも、「館」には変わりないんですけどね。年老いた男と、内気な少年と、不思議な人形。彼らが住む館は、昔、とある建築家が設計したという。その建築家が設計した建物では、これまでに必ずと言っていいほど「殺人事件」がおきている。そして、主人公がその館に訪れる数年前、その館ではたしかに「ある事件」がおきていた。青年になった主人公の回想という形で物語は進んでいって、そして事件は思いも寄らない形で解決します。綾辻さんの館シリーズの何が良いかって、「やられた！！！うぁ～もうっ！」って思わせてくれるところですよ。本当ならありそうに無い風変わりな館が舞台で、ちょっと現実感のない設定だとは思いつつ、読み始めたらいつの間にか、どっかにこんな館があるんじゃないか、と思っちゃったり・・・暗黒館の後だったので、あれ？と正直拍子抜けしないでもないですが、そんな軽さの中にもどっしりした謎が詰まってるので、やっぱりわれらが綾辻先生だ、という結果に納まるのでした。館シリーズのおかげで、騙される快感を覚えてしまったしゅりんぷ♪です。

Jun 20, 2006

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麦ふみクーツェ　★　いしいしんじ

再びいしいしんじさんの物語です。今回は少し厚めの本です。でも中身は短編短編の連なりで一つの物語なので、少しずつ読み進められました。とん、たたん、とんとん、たたん、とんつぶれた麦は、育つ麦。くさった種は、はたけのこやし。ぜんぶの麦をひらたくふんで、麦ふみクーツェはとおくまでいく。　　　　おおきいちいさいは、きょりのもんだい。　　　　　（本文より）変わらないリズムを刻みながら時々現れるクーツェ。何の脈絡もないことをつぶやいて去っていくクーツェ。父さんとおじいちゃんと僕が過ごした島で起こったことは大きな世界からみたらささいな出来ことだったのかもしれない。それでも、その小さな出来事は、僕らにとんでもないものを残していくし、小さな出来事のおかげで、僕らはシアワセにも不幸にもなれる。僕は、僕の父さんやおじいちゃん、島の人たちは、僕が出会った人たちは、シアワセだったのだろうか？思い出したくない過去から逃げるようにして過ごしてきた毎日。本当のことの上に嘘を重ねて、時々苦しくなって。どうして？と、聞きたくなるような理不尽なことばかり起きて、世の中の全部が悲しく思えても、その中に、たとえば小さな、ささやかな、忘れなくないいいことがあるはず。いしいさんの本は2冊目ですが、なんだかやっぱり切なくて、ほろ苦くて、どうしてこうなっちゃうんだろう、って思うところがたくさんありました。読みながら、いろんなことを考えてしまいます。でも、この本、なかなか美味しい本ですよ。話の大筋の中に、「吹奏楽」というのが入ってて、いろんなところで音楽の話題がどっさり出てきます。コンクールの話、島の音楽隊、などなど。メインは打楽器な感じですが、読んでて「こんなのあり？」と思うようなこともあって、楽しかったですこの世に打楽器でないものはなにもない。　　　（本文より）という一文が、なんだか印象的でした。この人の本にはまりそうです・・・

Jun 19, 2006

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レインレイン・ボウ　★　加納朋子

随分前から気になってた本、ようやく読めました7つの物語が交錯する、爽やかな青春群像。雨のち、虹。　　　　　　　　　（帯より）学生の頃の部活仲間だった知り合いが死んだ。お通夜で久しぶりに集まった仲間達。再会がきっかけとなり、片隅に押し込めた思い出たちが、忘れようとした記憶が、少しずつほどけ始めて・・・7人の仲間の、7つのお話です。何年も経った後になって、あぁ、あの時のあれはこういうことだったんだな、と気づくことって、たくさんありますよね。何年も経たないと解からないことも、同じくらいか、それ以上にあると思います。自分が親になってみて、親の気持ちがわかる、とか。学生の頃、言いたくてもいえなかったこと、友達が自分に言えずに黙っていたこと、しょうもないことで悩んでいたり、なんの迷いもなく進めていたこと。そういうことが、分かったり、気づいたり出来るなら年を重ねるのも全然悪く無いじゃん、と思ったし、分からないからこそ、今が大事なんだな、とも思うのです。本当のことは誰にも、もしかしたら自分にも分からないのかもしれないけど・・・私の部活仲間達は今頃元気でやってるのでしょうか・・・？

Jun 15, 2006

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帰郷　★　辻内智貴

この方の本、初めて読んだのは高校の頃でした。淡々と、それでもじんわり、切なくなるお話だったような気がします。「セイジ」ってタイトルでした。それから、少し前に「信さん」という本も読みました。確かここで書いたような気がします・・・記憶が怪しい。なんだか最近毎日のように本を読んでますね。図書館に行ってから、活字中毒再発です。それもこれも、お仕事が妙に落ち着いてるせい！嬉しいことではありますけれども。ということで。今回のこの本、写真が載ってました。進んでいくお話にあわせてだと思うのですが、風景の写真がぽつぽつと。モノトーンで、いつも見ているような風景の一つを切り抜いてきたような写真です。故郷を思い出すって、こういう感じなのかな、と思ったりしました。１２０ページほどの薄い本で、３つの短編が収録されています。亡くなった主人がよく語って聞かせてくれた「故郷」へ行き、その話の中に出てきたある人に会いに行く旅。汚いばかりの人間に疲れ、ろくでもない人生を歩んできた最後に思い立った一人旅。そこで見つけたキレイな場面。だらりと溶け出しそうな夏の日に自分が生きているという状況。宇宙に確かに存在する「自分」という一つの個体についてただなんとなく、ゆるゆると、考えたことを書き綴ってみる毎日。そんな３つのお話です。切ない、とか、悲しい、とか、そういうお話ではないけれど、毎日なんとなく生活してると気づかないことに気づかせてくれるような物語でした。お気に入りは、２編目の「花」★この人のお話、割と好きです。

Jun 14, 2006

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白の鳥と黒の鳥　★　いしいしんじ

この人の本も初めてです★名前は聞いたことありましたが・・・この本も、２００ページほどの薄めの本。短編小説集で、お話ひとつずつに関連はなくて、読んでて不思議な気持ちになります。耳を澄ませば、すぐ近くに聞こえてくる、小鳥達のさえずり、住人達の笑いと息づかい。世界のはしっこで生き抜く幸福な物語シアワセの形は世の中に居る人の分だけあって一つとして同じものなんか無い。まん丸だったり入り組んでいたり組み合わさっていたり砕けてしまっていたりけれどもこの本の中に住んでいる人たちは少なくともそれぞれのシアワセの形を知っていたんじゃないかと思うのです。１９の短編小説があるのですが、私のお気に入りは「肉屋おうむ」「カラタチとブルーベル」「太った人ばかりが住んでいる村」他にもいくつかあったんですが・・・少し切ない物語。そこの住人に会ってみたいです★

Jun 13, 2006

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卒業　★　重松清

会社の先輩が、「この人の本読んでみて」といっていたのを思い出して借りてきた本です。有名な作家さんですよね。でも今まで読んだことはなくて、どういうお話を書く人なのか全然わからずに、ドキドキしながら読んでました。タイトルの通り、「卒業」するお話です。それは、学校だけではなく、全てのあらゆることから「卒業」するということ。４編のお話が入っていて居ましたが、どれも悲しくて、切なくて、読み終わる頃にようやく、ちょっとだけ暖かくなれました。親から教わったこと。子供に伝えたいこと。そして、友よ。私たちは、あと何度「卒業」の時を迎えるのだろう。悲しみを乗り越えて旅立つために。生きていくということは、簡単ではなくて、障害物だらけで、あがいてももがいても傷だらけになるばっかりで、前に進めないこともある。何度くじけて膝を折ってしまいそうになるだろう。どうすればいいのか、どうしたいのか、見失うこともあるかもしれない。人生は思い通りにはいかないけれど、さあ、前を向いて、歩いていこう。生きるということと、死んでいくということ。それは、どんなに頭を働かせたって決して解かる事の出来ないことで、わからないまま、それはもしかしたら突然、目の前に立ちふさがるのかもしれない。やがて確実に訪れるそのときに、私はいったい何を思って、その「卒業」を受け入れるんだろう、とそれぞれのお話を読みながら、ちょこっとだけ考えました。今までの楽しかった思い出とか、大事な人たちの顔とか、そういうものなのかな・・・？人生って、難しい・・・でも、この人のお話、なんか好きです★

Jun 12, 2006

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All Small Things　★　角田光代

初めての作家さんです。昨日借りてきた一冊。１２０ページ程度の薄い本だったので、数時間で読めてしまいました。お話は短編がとつとつと続いていきます。語り手はお話ごとに移り変わりますが、前のお話からテーマが受け継がれていくので、短編だけど、一つのお話に大きくまとまってる。日常と言うのは毎日の積み重ねで、それは一分一秒の連なり。何の変哲も無いその日常の中に随分後になっても忘れられない一瞬が混ざってることにそのときはみんな気づかないものなんですね。他の人がきいたら「そんなこと」と笑われてしまうような子供っぽくて、苦い思い出にしてしまうような。恋愛とか、デートとか、シアワセとか、十円の奇跡とか当たり前のようにある日常が当たり前のように思えるそのことが、実はとっても大切なんだなぁと。読み終わってそんなことを思いました。この人の本、また借りてきてみたいな★

Jun 9, 2006

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ＷＡ・Ｏ・Ｎ　～夏の日のトランペット～　★　山本悦子

タイトルからして、ラッパの本です。これも昨日に引き続き、図書館で借りてきた児童書。ぱいなぽ♪ちゃんのお奨めだったので借りてきてしまいました。昨日の楽園の作り方、がちょこっと大人よりだったのに対して、こっちはもうずばっと子供向け、って感じ。でも、今読むと、こんな頃もあったなぁ～って思いになりました小学校４年生から入った金管バンドでラッパを吹く少年が主人公。６年生になっても、未だに３番の楽譜しか吹かせてもらえない・・・他の６年生は１番か2番を吹いているのに・・・という、あんまり派手な感じじゃない男の子。その男の子が、ある女の人と出会って、夏祭りで本番を終えるまでのお話。思春期だから、切ない恋みたいお話もさらっと混ざったりして、小学校の頃を思い出しました。ちょっと気になったのが・・・出せる音について書かれた部分。博人（主人公の友達）は、３オクターブ出るのに、ぼくは２オクターブしか出ない・・・まちでちょっと目を疑いましたが、確かに３と2って書いてある・・・博人は恐ろしい小学生だよ（笑）この本読んでラッパを始める人もいるんだろうなぁ～

Apr 25, 2006

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レインレイン・ボウ ★ 加納朋子

帰郷 ★ 辻内智貴

白の鳥と黒の鳥 ★ いしいしんじ

卒業 ★ 重松清

All Small Things ★ 角田光代

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