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いっせいピョン

いっせいピョン




お母さん、
僕見たことも、聞いたことも、感じたことも、
ちゃんと頭の引き出しにしまってあるよ。でもね、
僕の頭の上でお母さんが「・・・しなさい」
大きな声で怒鳴っているから、僕頭の中の引き出しに鍵をかけたよ、
鍵はしっかり手で握り締めているよ、
またお母さんが「あんたはなぜこんなことも出来ないの」
「○○ちゃんは出来るのに」
えっ?僕その言葉嫌いなんだ。
あっ鍵落としたったどうしよう探そうかなあ、やめようかなあ、
あれ、お母さんの目、僕の前にあるよ。
お母さんの顔が大きく見えるよ。お母さんニコニコしているね。
僕お母さんのその声大好きだよ。
だって僕が生まれて初めて聞いた声だから。
やさしくて僕が何も出来なくてもどうしたいってきいてくれたよね。
僕落とした鍵を探してみるよ。
「どうしたいの」「お願いしていいかなあ」
僕、お母さんのその言葉に弱いんだ。
鍵を見つけて頭の中の引き出しをひとつ開けてみるね。
出来たよ。「ありがとう」「出来たね」「上手」
お母さん、優しい声だね。
僕今度は頭の中の引き出しもうひとつ開けてみるよ。
時間がかかってもそっと見ていてね。
いつかいろんなことが一人で出来るようになるから。



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