カテゴリ:読書
この人の小説を読むのは初めて。 もっとも、映画と同じで日本の小説はあまり読まないんだが。 前半、登場人物がいろいろ交錯し、人間関係が なかなか頭に入って行かない。 幼い頃母親に棄てられた健次は、母親への復讐という 執念をもって生きている。 いきがかりで、近所の知人の娘や中国人密入国者の子供アチュン を養うことになるが、自分の生い立ちに対する反動なのか。 偶然から運送会社の社長の妻となった母親に遭遇する。 この運送会社の社員は過去に傷を持つ人間ばかり。 復讐心を隠し、この会社に入り込む。 なんかこのへんの経緯もおかしいんだが。 種違いの弟もいたのだが、諍いから殺してしまう。 この弟を跡継ぎとして不適格と思っていた母親は 死を悲しむより、刑務所に入った健次に将来を託す。 自分の血に復讐しようとしていた健次は結果的に 血の継続に命をかける母親に返り討ちになるかたちになる。 なんとも奇妙なストーリーで、人格破綻者の物語ではないか とさえ思えて、話の展開は面白いのだが、救いがない。 ふと露地を背景にした中上健次の小説群が頭によみがえった。 こちらも血をテーマにしたものが多いが、人物に対する目線が 人間的でおいらは非常に評価しているんだけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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