2010/09/02(木)08:23
「「白紙召集」で散る」 笹 幸恵
「白紙召集」で散る価格:1,680円(税込、送料別)
戦争というのは赤紙で召集される兵隊ばかりでなく、
白紙で召集される、武器を持たない設営隊も
戦っていたのだということを、恥ずかしながら、
本書を読んで、思い知らされた。
「餓」島といわれたガダルカナル戦を扱った書物は
多くあると思うが、設営隊の視点で見たものは
少ないのでは。
突貫工事で作った飛行場を、友軍機が使う前に
米軍に乗っ取られ、その奪還に向かう無念はいかばかりか。
しかも、補給の船が次々沈没させられ、食い物もなく
武器も持たない設営隊員は飢餓と逃走にあけくれる
という、なんともむなしい状況に置かれていた。
物量戦といってもいいのでは。
同じ戦場での米軍側の記録があれば読んでみたいな。
給与は兵隊より設営隊のほうが高かったらしいが、
裏を返すと、軍人は死んだら恩給もでるが
設営隊員は死んだらそれまで。
海軍も陸軍も一日ひとり当たりの基本食というのが
決められていたようだが、内容を見ると結構立派。
しかし、彼ら何日くらい、こんな食事できたのだろうか。
生きて帰還できたのは、奇跡とか運としか言いようがない。