あなたが為に
時計は止まることを知っているけれど、
人の定めた時間は留まることもなくて。
ああ、あなたのいる場所を、私は知っているのに。
時計の所為にしていれば、私は留まっていることくらいしてしまえるの。
「ごめんね」の謝罪は、あなたへの否定にすらなりかねないのだろう。
会えないことは、私とあなたの所為なのだとおこがましく思ったりもする。
その「ごめんね」を、あなたは正しく受け取ってくれるのだろうか。
側にいたい、だなんてことを、言いたい訳でもなくて、
側にいて、だなんてことは、あまりにも身勝手過ぎて、
あなたの存在を見つけ受け入れられたことに、感謝したい。
ありがとう、と感謝したい。
この声を届ける術が、この世にあればと、願うことなどしないで、
あなたに感謝したい。
あなたが為に
私はあなたに、いつか見つけられることを願いながら。
あなたを私が、いつか見つけられることを願いながら。
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