2005/11/17(木)02:11
独立性
前回の数式は、各銘柄が独立に動くということが前提でした。しかし、実際には、円安の時には他の通貨はこぞって円に対して高くなるわけで、独立に動くとは言えません。そこで、仮に絶対的な基準が存在して、それに対して各通貨が独立に動くと考えてみます。分散は σ^2/2 とします。すると、ドルが σ^2/2 で動き、円も独立に σ^2/2 で動くので、ドル円レートは σ^2 で動くことになります。この考えでは、 n 種の通貨にそれぞれ pi の割合で投資した場合の円に対する値動きの分散は、 n 種それぞれ pi^2σ^2/2 に円が σ^2/2 で、計 (1 + Σpi^2)σ^2/2 となります。全て円を売って他の通貨を買っている分、分散投資の効果が薄れていると言えます。さて、この場合は前回の式は、 pi = (c′(μi-Σμj/n) + 1) / n は変わらず、 c′^2(Σμi^2/n-(Σμi/n)^2) + 2c′Σμi/n - (n + 1) = 0 と変わります。 c′ = (√((n+1)Σμi^2/n-n(Σμj/n)^2)-Σμj/n)/(Σμi^2/n-(Σμj/n)^2) = (√(nV(μi)+Σμi^2/n) - E(μi)) / V(μi), pi = ((μi - E(μi))(√(nV(μi)+Σμi^2/n) - E(μi)) / V(μi) + 1) / n と、少々複雑になります (E(μi) は μi の平均、 V(μi) は分散)。また、前回の完全に独立な場合に比べて配分のばらつきが大きくなります。これは、分散をそれほど小さくできなくなったために、平均を高める方向が強く出たということでしょう。