カテゴリ:投資信託
投信関連の掲示板など見ていると,投資信託では分配落ち後に安くなるので,その安いタイミングで購入するのが得,といった記述をたまに見かけます。たしかに,高配当株やREITでも配当落ちは結構重要なイベントで,配当落ち前に買って配当をもらうべきか,配当落ち後に安くなってから買うべきか迷うところです。しかし,投資信託の場合はどうでしょうか?
いま仮に基準価額8,000円の投信があったとします。次の日も投資先に変動がなく基準価額も変化なしとなる状況を想定します。ただし,2日目はちょうど決算日で40円の分配金を出し,基準価額は分配金の分だけ低下して7,960円になるものとします。この場合,分配落ち前の8,000円で買って,分配金をもらうのが得か,分配金はもらわず,分配落ち後の安いところで買う方が得かと言うことです。 10万円で購入するケースを2通り考えてみましょう。手数料は別に支払うこととしますが,どちらのケースでも同額です。 1万口あたり8,000円で10万円分購入すると,125,000口購入できます(100,000÷8,000×10,000)。次の日には,分配金40円(1万口あたり)が出ますので,500円の分配金と言うことになります。基準価額は7,960円となりますから,全額非課税の特別分配金で,個別元本も基準価額と同じく8,000円から40円下がって7,960円になります。分配金再投資コースだったとすると,500円が全額再投資(手数料無料)されますので,口数は628口(500÷7,960×10,000)増えて,125,628口,個別元本7,960円という状態になります。 一方,分配落ち後の7,960円のときに10万円分購入すると,125,628口購入できます(100,000÷7,960×10,000)。すなわち,125,628口,個別元本7,960円という状態になり,上の場合となんと全く同じです。 実は,投資信託の場合,分配落ちのタイミングは特別なイベントではありません。それは受給の思惑で基準価額が決定するシステムではないためです。通常の株やREITでも配当落ちが配当の額と全く同じであれば,前で買おうが後ろで買おうが同じことになりますが,実際にはいろいろと思惑があって,配当金額より大きく下落してみたり,あるいはほとんど配当落ちしなかったりさまざまです。しかし,投信の場合には,40円の分配金を出す場合は,きっちり40円分配落ちしますので,前後どちらで買っても大勢に影響なしと言うことになります。 ですから,投資信託の場合,分配落ち後の安いところを狙って買うのが良いと考えるのは完全な誤解です。毎月決算型など,決算間隔が短い場合には基本的には決算日などあまりとらわれず,とにかく安いときに買うという態度であまり間違いはないと思われます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/07/19 05:16:49 PM
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