雛乃、初外出!
明日はドール同伴で細やかなお茶会。買出しに寄った100円ショップに入ると最初に目に付いたのがハロウィンコーナーだった。ハロウィンの雰囲気が好きな僕はドールサイズのアイテムがないか探してみることにした。最初に見つけたのがパッチン付きの小さなハット。フィット感はイマイチだがサイズは良さそうだ。更に手に持たせるべくホウキがないかと見回すと、あるある。200円(税別)で思わぬ収穫があったわいと内心大喜びなのであった。帰宅すると早速ほたるの前に荷物を広げる。「キミは精霊だけど、明日は魔女になってもらうよー」話しかけていると妙に背中に圧力を感じた。「ウーッ、魔女ならワタシにやらせてーっ。」「ゲッ、雛チンかー。一番の写真ブスだから、ちょっとなー。」「ウーッ、やらせてけろーっ。」「エーっ、マジでー?」うんうんうん。(激しく頷いている)しょうがない、写真はあきらめてお笑いにするか。「ウーッ、連れてけー」という訳で、初の雛乃さん外出となった翌日。ハットとホウキだけでは寂しいから、黒い色画用紙を切り抜いてコウモリ羽を作り、いざ出陣。「わーい、わーい、お出かけお出かけー!」雛乃は外出用(?)のドレスを着て、車の助手席にちょこんと座っている。「あんまり、はしゃぐなよ。」「全然はしゃいでないもーん。」「いや、テンション高いし。」今日は天気がいい。車のウィンドウを下げると、風で雛乃のスカートがヒラヒラと揺れた。「なにー、見たいのー?」「いや、全然。」「またまたー、好きなく・せ・に。」「いや、ホント、見たくないから。」「ガマンしなくてオッケー。見せてあげるワよ」ピラッ、ピラッ、ピラッ。「後でゼッタイ後悔すると思うぞ。」「コーカイなんてしないもーん。」ほんとに止めて欲しいのだが、雛乃は気にせず、はしゃぎまくっている。だから連れてきたくなかったんだよなー。お茶会の会場は近所の山小屋。山の中なので人目を気にせず、撮影ができるという訳だ。古い建物だが、ドール好きが集まるには丁度いい。ふと雛乃を見ると、元気がない。「どうした、せっかく着いたのに。」「うー、穴があったら入りたい・・・。」だから後悔するって言ったのに。山小屋のリビング。テーブルの上に雛乃を立たせ、ハロウィングッズで飾る。予想通り写真写りは悪いが、このコスプレはウケが良かった。先刻の後悔などアッという間に忘れ、上機嫌な雛乃さんであった。